Xbox、PlayStation、Nintendo Switchでは、対応ソフトのオンライン対戦や協力プレイを楽しむために、月額・年額サービスへの加入が必要になることがあります。
ゲームソフトは買っているのに、なぜオンラインで遊ぶには別料金が必要になるのか。不思議に感じたことがある人も多いかもしれません。
この仕組みは、インターネット接続を通じて利用するオンラインマルチプレイ、フレンド機能、クラウドセーブ、加入者向け特典などを、本体メーカーの共通サービスとして提供する形が広がったことと関係しています。
その流れを広く知られるものにしたのが、初代Xbox時代のXbox Liveでした。ただし、Xbox Liveが家庭用ゲーム機の有料オンラインサービスを最初に生み出したわけではありません。以前にも通信機能や月額型サービスの試みはありました。Xbox Liveが注目されるのは、現在の家庭用ゲーム機に近い「統一された有料オンラインサービス」の形を見せたためです。Microsoftは2002年、Xbox Liveをゲーマータグ、フレンドリスト、音声コミュニケーション、マッチメイキングなどを備えたオンラインゲームサービスとして案内していました。
家庭用ゲーム機のオンライン料金は何に払っているのか
家庭用ゲーム機のオンライン料金は、インターネット接続を通じて利用する、ゲーム機メーカー側のサービス料です。
Xbox、PlayStation、Nintendo Switchでは、対応ソフトのオンラインマルチプレイやクラウドセーブ、加入者向け特典などを使うために、メーカーのオンラインサービスへ加入する場合があります。家庭で契約しているインターネット料金とは別に、ゲーム機側のサービス利用料がある形です。
たとえば、オンラインマルチプレイ、フレンド機能、招待機能、ボイスチャット、クラウドセーブ、加入者向けゲーム、クラシックゲーム、限定特典などがサービスに含まれることがあります。内容はメーカーやプランによって違いますが、ゲーム機全体で使う共通サービスに料金が付いていると見ると、なぜソフト代とは別に料金が発生するのかが見えてきます。
ゲームソフトの代金とは別のサービス料
家庭用ゲーム機では、ゲームソフトを買っても、それだけで本体メーカーのオンラインサービス全体を使えるとは限りません。
オンラインプレイには、ゲームごとのサーバーだけでなく、本体側のアカウント管理、フレンドリスト、招待機能、不正対策、ネットワークの安定運用、サポート体制なども関わります。特定のゲームだけでなく、ゲーム機全体で共通して使う機能もあるため、メーカー側はそれを加入サービスとして提供しています。
そのため、家庭用ゲーム機では「ゲームを買う費用」と「本体メーカーのオンラインサービスを使う費用」が分かれていることがあります。
すべてのオンライン要素が有料とは限らない
家庭用ゲーム機でも、すべてのオンライン機能に追加料金が必要なわけではありません。
ストアを見る、ゲームをアップデートする、一部の基本機能を使う、無料プレイゲームを遊ぶといった場面では、加入なしで使えるものもあります。どこから有料になるかは、メーカーやゲームごとに違います。
PlayStation Plusではオンラインマルチプレイが全プランに含まれ、XboxでもオンラインコンソールマルチプレイはGame Pass系プランの機能として案内されています。一方、Xboxでは無料プレイゲームのオンラインマルチプレイは追加料金なしで利用できると案内されています。Nintendo Switch Onlineも、多くの対応ソフトの協力・対戦オンライン機能には加入が必要ですが、一部のゲームは加入なしで遊べます。
Xbox Live以前にも有料オンラインの試みはあった
家庭用ゲーム機の有料オンラインサービスは、Xbox Liveだけから始まったわけではありません。
1990年代には、ゲーム機と通信を組み合わせる試みがいくつもありました。たとえばSega Channelは、ケーブルテレビ回線を使ってSega Genesis(海外版メガドライブ)向けのゲームを配信する月額型サービスとして知られています。オンライン対戦というより、ゲーム配信に近いサービスでしたが、家庭用ゲーム機で「通信を通じてサービスを利用し、料金を払う」という考え方の早い例でした。
オンライン対戦に近い先行例としては、XBAND(エックスバンド)のような通信対戦サービスもありました。Sega GenesisやSuper NES(スーパーファミコンの海外名称)向けに展開され、電話回線を使って離れた相手と対戦する仕組みを持っていました。ただし、追加機器や対応ソフト、地域の制約があり、現在のPS・Xbox・Switchのような本体メーカー主導の共通サービスとは性格が異なります。
Dreamcastの時代には、SegaNetのようなオンライン関連サービスも登場しました。SegaNetはDreamcast向けのオンラインゲームサービスやインターネット接続と結びついたサービスとして展開され、月額料金を伴う時期もありました。
これらのサービスは、現在のXbox、PlayStation、Nintendo Switchの有料オンラインとは少し位置づけが違います。対応地域や通信環境、対応ソフトが限られていたり、ゲーム配信やインターネット接続サービスとしての意味合いが強かったりしました。
現在の家庭用ゲーム機に近い形で、アカウント、フレンド、ボイスチャット、マッチングなどを本体メーカーの共通サービスとしてまとめ、有料サービスとして定着する流れを作った存在がXbox Liveでした。
Xbox Liveが広げた家庭用オンラインの形
家庭用ゲーム機の有料オンラインサービスを語るうえで、Xbox Liveは外せない存在です。
初代XboxのXbox Liveは、ゲームごとにバラバラのオンライン機能を持つのではなく、ユーザー名、フレンド、ボイスチャット、マッチングなどを本体側の共通サービスとしてまとめた点で大きな役割を持っていました。
2002年に販売されたXbox Live Starter Kitは、1年分のサブスクリプション、Xbox Communicatorヘッドセット、オンライン試用版ゲーム2本を含む形で、米国では希望小売価格49.95ドルとされていました。
当時の家庭用ゲーム機には珍しい統一サービスだった
Xbox Liveが特徴的だったのは、オンラインで遊ぶ入口を本体側にまとめようとした点です。
どのゲームでも同じ名前を使う。フレンドリストから相手を見つける。音声で話しながら遊ぶ。対戦相手を探しやすくする。今では見慣れた仕組みも、当時の家庭用ゲーム機では目立つものでした。
この「本体メーカーがオンライン体験をまとめる」という発想が、現在の家庭用ゲーム機に近い有料オンラインサービスの土台になりました。
有料サービスとして広がった背景
Xbox Liveが有料サービスとして広がった背景には、オンラインで遊ぶための機能を分かりやすくまとめていたことがあります。
別々のゲームで毎回設定を変えるのではなく、1つのアカウントで遊べる。フレンドとつながりやすい。ボイスチャットが使える。オンラインプレイの入口が本体側にまとまっている。こうした体験は、家庭用ゲーム機でオンラインゲームを遊びやすくする仕組みでした。
つまり、Xbox Liveの料金は、単に「対戦する権利」だけではなく、家庭用ゲーム機でオンラインを使いやすくする共通サービスに対する料金でもありました。
PlayStation Plusはどう広がったのか
Xbox Liveのあと、家庭用ゲーム機のオンラインサービスは、各社で少しずつ形を変えながら広がっていきました。
PlayStationでは、PlayStation Networkの無料機能に加えて、2010年にPlayStation Plusが有料サービスとして始まりました。当初のPlayStation Plusは、既存の無料機能を置き換えるものではなく、無料で使えるPlayStation Networkと並行して提供される有料サブスクリプションとして案内されています。
最初は有料特典サービスとして始まった
PlayStation Plusは、最初からオンラインマルチプレイのためだけのサービスとして始まったわけではありません。
2010年の導入時は、無料で使えるPlayStation Networkに、ゲームや割引などの特典を加える有料サービスでした。利用者にとっては、既存のオンライン機能に追加して、より多くの特典を受けられるサービスという位置づけです。
そのため、PlayStation Plusの始まりを「オンラインプレイを有料化するためだけのサービス」と見ると、流れを見誤りやすくなります。最初は特典型のサブスクリプションとして始まり、後の世代でオンラインマルチプレイとも結びついていきました。
なぜPS4ではオンラインマルチプレイがPS Plus加入制になったのか
流れが変わったのはPS4世代です。
PS3では無料でオンラインマルチプレイを利用できるタイトルが多くありましたが、PS4では多くの有料ソフトのオンラインマルチプレイにPlayStation Plus加入が必要になりました。PlayStation公式の案内でも、PS4のオンラインマルチプレイにはPlayStation Plusが必要とされています。
PlayStationの場合は、まずPlayStation Plusが有料特典サービスとして始まり、その後PS4世代でオンラインマルチプレイの利用条件にもなっていった、という流れで見るとつかみやすくなります。
サブスクリプションとしての意味も強くなった
有料オンラインサービスは、導入から年月が経つにつれて、オンライン対戦だけでなく、さまざまな特典とセットになっていきました。
現在のPlayStation Plusでは、オンラインマルチプレイに加えて、月替わりのゲーム、ゲームカタログ、クラシックカタログ、ゲームトライアル、クラウドストリーミングなどがプランに応じて提供されています。
最初は有料特典サービスとして始まり、後にオンラインマルチプレイとも結びつきました。近年は、PlayStation Plusのような加入サービスが、ゲーム機ビジネスの中でも継続利用型のサービスとして扱われるようになっており、現在は、ゲーム機で遊ぶ体験を広げる加入サービスとしての性格も強まっています。
Nintendo Switch Onlineはなぜ有料サービスになったのか
Nintendo Switchでも、オンラインプレイは本体メーカーが提供する加入サービスと結びついています。
Nintendo Switch Onlineは、対応ソフトのオンラインプレイ、クラシックゲーム、セーブデータお預かり、スマートフォン向けアプリ、加入者向け特典などを含むサービスです。Nintendo公式のFAQでも、多くの対応ソフトでオンライン協力・対戦機能を使うには加入が必要で、一部のゲームは加入なしで遊べると案内されています。
Switchでも加入サービスとして提供された
Nintendo Switch Onlineは、XboxやPlayStationと同じく、オンラインプレイを単独の機能としてだけではなく、加入サービスの一部として提供する形を取りました。
対応ソフトのオンライン対戦や協力プレイを利用できるだけでなく、セーブデータお預かりや加入者向け特典なども組み合わされています。Nintendo Switch Onlineも「オンライン対戦だけの料金」というより、Switchをオンラインで便利に使うためのサービスとして設計されています。
任天堂らしい特典も加わった
Nintendo Switch Onlineでは、ファミリーコンピュータやスーパーファミコンなどのクラシックゲームを遊べるサービスも提供されています。セーブデータお預かりも含まれており、対応ソフトでは本体の故障や買い替え時にデータを守りやすくなる場合があります。
Switchの場合は、オンラインプレイに加えて、任天堂の過去作を遊べるサービスや加入者向け特典を組み合わせている点が目立ちます。
有料オンラインは各社でサービスの束に近づいた
現在の有料オンラインサービスは、Xbox、PlayStation、Nintendo Switchのいずれも、オンライン対戦だけの料金ではなくなってきています。
PlayStation Plusでは、オンラインマルチプレイに加えて、月替わりゲーム、ゲームカタログ、クラシックカタログなどがプランに応じて用意されています。Xbox Game Pass系サービスでも、オンラインコンソールマルチプレイ、ゲームライブラリ、ゲーム内特典などが組み合わされています。Nintendo Switch Onlineも、オンラインプレイ、セーブデータお預かり、クラシックゲーム、加入者向け特典などを含むサービスです。
昔の有料オンラインは、「オンライン対戦をするための料金」という印象が強くありました。現在はそれに加えて、ゲームを遊べるライブラリ、セーブデータの保管、過去作の配信、限定特典なども含まれることがあります。
そのため、家庭用ゲーム機のオンライン料金は、だんだん「オンラインで遊ぶための追加料金」から、「ゲーム機を便利に使うための加入サービス」へ移ってきたと見ると、現在の形が見えてきます。
無料プレイゲームはなぜ例外になりやすいのか
家庭用ゲーム機でも、無料プレイゲームではオンライン料金が不要なことがあります。
Xboxでは、無料プレイゲームのオンラインマルチプレイはすべてのXboxプレイヤーが追加料金なしで利用できると案内されています。Nintendo Switch Onlineでも、一部のゲームは加入なしでオンライン機能を利用できます。PlayStationでも、無料プレイゲームはPlayStation Plusなしで遊べるものが多くあります。
これは、無料プレイゲームの収益モデルが、ゲーム内課金やシーズンパスなどに寄っていることが多いためです。プレイヤーの入口を広げることで、対戦相手を見つけやすくなり、ゲームを続けやすい環境にもつながります。
人が多いほどオンラインゲームが成り立ちやすい
オンライン対戦ゲームや協力ゲームは、プレイヤー数が重要です。
人数が少ないとマッチングしにくくなり、待ち時間が長くなります。特に無料プレイゲームは、多くの人にまず遊んでもらうことが大切です。
そのため、プラットフォーム側も無料プレイゲームについては、オンライン料金の壁を下げる方向に動きやすくなります。入口を広げることで、ゲーム全体の人数が増え、遊びやすさも保ちやすくなるからです。
ゲーム内課金型の仕組みと相性がよい
無料プレイゲームでは、キャラクターの見た目、バトルパス、追加アイテムなどで収益を作ることがよくあります。
この場合、プレイヤーから先に月額料金を取るより、まず遊んでもらい、その後にゲーム内課金で支えるほうが合っています。家庭用ゲーム機でも、こうしたゲームは通常の買い切りゲームとは収益モデルが違うため、オンライン料金の扱いも例外になりやすいのです。
Q&A(よくある疑問)
まとめ
Xbox、PlayStation、Nintendo Switchのような家庭用ゲーム機でオンライン料金が必要になるのは、インターネット接続を通じて利用する本体メーカーのオンラインサービスがあるためです。オンラインマルチプレイ、アカウント、フレンド機能、クラウドセーブ、加入者特典などをまとめたサービスに料金が設定されています。
家庭用ゲーム機で通信や有料サービスを使う試みは、Xbox Live以前にもありました。ただ、2002年に始まったXbox Liveは、統一されたアカウントやフレンド機能、ボイスチャット、マッチングを本体側の共通サービスとして整えたことで、現在につながる有料オンラインサービスの形を広く知られるものにしました。
PlayStation Plusは、最初は無料PlayStation Networkに有料特典を加えるサービスとして始まり、PS4世代でオンラインマルチプレイの利用条件とも結びつきました。Nintendo Switch Onlineも、対応ソフトのオンラインプレイやクラシックゲーム、セーブデータお預かりなどをまとめた加入サービスとして提供されています。
現在の有料オンラインは、単なる対戦料金ではなく、ゲーム機全体を便利に使うためのサブスクリプションサービスに近づいています。家庭用ゲーム機でオンライン料金が別に見えるのは、オンライン体験を本体メーカーの共通サービスとしてまとめて提供する形が定着したためです。
参考情報
- Microsoft「Xbox Live to Launch on One-Year Anniversary of Console Launch」
- Microsoft「Xbox Live Starter Kits Virtually Sell Out in First Week of Sales」
- Sony Interactive Entertainment「PlayStation Plus, the New Subscription Service Package on PlayStation Network」
- PlayStation.Blog「PS4: The Ultimate FAQ – North America」
- PlayStation公式「PlayStation Plus」
- Xbox公式「Free-to-Play Games on Xbox」
- Nintendo公式「Nintendo Switch Online Service FAQ」
- Video Game History Foundation「The Secrets of Sega Channel」
- Los Angeles Times「Sega to Charge for SegaNet Access」
- VICE「Play Your Super Nintendo Online, Thanks to This Open Source Hardware」
