ゲームの不具合はなぜ見落とされる?十分にテストしても残る理由

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ゲームの不具合が見落とされる主な理由は、操作や機能の組み合わせが膨大で、開発中に試せる人数と時間に限りがあるからです。発売後は多くのプレイヤーが別々の方法で遊ぶため、開発中には現れなかった条件へ短期間でたどり着くことがあります。

発生手順を知った後では「少し遊べば気づきそう」と思える不具合も、見つかる前は無数の選択肢に埋もれた一つの結果です。十分にテストしたゲームにも不具合が残る背景を、操作の組み合わせや試行回数の違いから見ていきます。

目次

ゲームの不具合は確認不足だけで起きるものではない

ゲームの不具合には、画面が止まる、キャラクターが壁を通り抜ける、アイテムが不自然に増えるといった分かりやすいものがあります。その一方で、いくつもの条件が重なったときだけ現れる問題も珍しくありません。

特定の装備を使い、ある場所でメニューを開き、その直後に別の操作をすると進めなくなる。通信が一瞬途切れたときや、以前のバージョンで作った保存データを読み込んだときだけ発生する例も考えられます。

移動や戦闘、保存といった機能がそれぞれ正常に動いていても、複数の機能を続けて使った途端に問題が表面化する場合があります。

同じ操作でも毎回発生するとは限らない

不具合は、同じ場所で同じボタンを押せば必ず再現するとは限りません。直前に見たイベント、使用したキャラクター、持っているアイテムの数などによって結果が変わります。

使用機種や通信状態、ゲームを起動してからの経過時間が関係するケースもあります。同じ操作に見えても、ゲーム内部では異なる状態として処理されているのです。

たとえば、普段は問題なく開く扉が、会話中に通信が途切れ、持ち物を入れ替えた直後だけ反応しなくなるとします。

画面に現れるのは「扉が開かない」という単純な現象です。しかし原因を探すには、扉へ着くまでの操作や、その時点で内部に記録されていた情報まで調べなければなりません。

不具合の再現手順が大切になる

不具合を直すには、どのような条件で発生するのかを突き止める必要があります。

一度だけ画面が止まっても、同じ現象をもう一度起こせなければ、原因となった処理を絞り込みにくくなります。不具合が起きた場面だけでなく、その前に選んだ設定や操作も重要な手掛かりです。

開発中は、テストや不具合確認を担当する人が、仕様書や多数のチェック項目に沿って動作を調べます。同じ場所を何度も往復する、装備だけを変えて同じ戦闘を続ける、決められた順番でボタンを押すといった地道な作業も含まれます。

ソフトウェアテストの用語では、不具合につながる現象を見つける活動をテスト、原因を調べて修正する活動をデバッグと区別します。担当者の呼び方や業務範囲は会社によって異なります。

遊び方の組み合わせは急激に増えていく

ゲームには移動、会話、戦闘、装備、アイテム、保存、通信、設定変更など、多くの機能があります。

それぞれを単独で調べるだけでも時間がかかります。さらに「戦闘中に装備を変える」「イベント直前に保存する」「通信中にメニューを開く」といった組み合わせまで含めると、調べるべき条件は一気に増えます。

選択肢が10個あるからといって、10回試せば終わるとは限りません。選ぶ順番や入力するタイミングが変わると、内部では別の状態として処理されるためです。

一人が100通り試しても別の場所が残る

仮に一人の担当者が100通りの操作を試せたとしても、その100通りだけでゲーム全体を調べられるわけではありません。

町、ダンジョン、戦闘、メニュー、イベント、通信機能など、確認する対象は数多くあります。キャラクターや装備が変われば、同じ場所でも異なる結果になるかもしれません。

一つの扉に対して100通りを試しても、別の扉や宝箱、会話イベントにも似た確認が必要です。ゲームの規模が大きくなるほど、限られた人数と期間ですべての操作を試すのは難しくなります。

そこで実際のテストでは、多くのプレイヤーが通る場所や、進行不能につながる重要な機能を優先します。すべての組み合わせを一つずつ試すのではなく、影響の大きさや発生しやすさを考えながら対象を選びます。

通常とは異なる操作も試されている

不具合確認では、物語に沿った一般的な進め方だけを調べているわけではありません。

壁へ何度もぶつかる、メニューを素早く開閉する、イベント中に別の操作を試すなど、通常のプレイでは起きにくい行動も確認します。入力を受け付けるぎりぎりのタイミングでボタンを押す場合もあります。

それでも、多くのプレイヤーが行う操作をすべて先回りするのは困難です。

説明を読まずに進む人、同じ場所を長時間調べる人、最短経路を探す人、アイテム収集を優先する人では行動が変わります。初めて遊ぶ人の迷いながらの操作からも、慣れた人が効率を追求する過程からも、開発中には試されなかった組み合わせが生まれます。

自由度が高いゲームほど条件も増える

進む順番がほぼ決まっているゲームと、広い世界を自由に移動できるゲームでは、考えられる行動の数が異なります。

複数の依頼を好きな順番で進められる場合、ある依頼を途中まで進めて別の地域へ移動し、別のイベントを終えてから戻ることもできます。その時点で持っているアイテムや仲間の状態も、プレイヤーごとに違います。

自由に遊べることはゲームの魅力です。その反面、プレイヤーごとに内部の状態が分かれやすくなり、不具合が発生する条件も複雑になります。

プレイヤーが選べる行動を増やすほど、開発側が調べる範囲も広がります。自由度と動作確認の難しさは、切り離しにくい関係にあるのです。

発売後は試行回数の規模が大きく変わる

多くのプレイヤーが遊ぶゲームでは、発売後に積み重なる試行回数が、開発中のテスト回数を上回ることがあります。

仮に100人が100回ずつ操作を試せば、重複を含めて合計1万回の試行です。全員が異なる操作をするわけではありません。それでも人数が増えるほど、発生確率の低い条件へ偶然たどり着く機会は多くなります。

数万人以上が長時間遊ぶタイトルなら、発売から短い期間でも非常に多くの操作が行われます。開発中には一度も発生しなかった現象が発売後すぐ見つかる背景には、この試行回数の差があります。

一人ひとりの「普通の遊び方」が違う

あるプレイヤーにとって当たり前の操作でも、別の人は一度も行わないかもしれません。

戦闘前に毎回装備を変える人もいれば、最初に手に入れた装備のまま進む人もいます。会話を最後まで読む人と素早く送る人では、入力するタイミングも変わります。

発見された手順が自分にとって身近な操作だった場合、最初から見つけやすい不具合だったように感じられます。しかし、ゲーム全体から見れば、その操作も数多くある選択肢の一つです。

同じゲームでも、プレイヤーごとに通る場所や操作の順番は違います。こうした小さな差が積み重なり、開発中には現れなかった条件が表面化します。

見つかった後ほど簡単な不具合に見える

不具合の発生手順が公開されると、「この操作だけで起きるなら、なぜ気づかなかったのだろう」と感じることがあります。

答えを知った状態で試すことと、膨大な選択肢のなかから問題のある手順を探し出すことでは難しさが違います。

広い部屋のどこかに小さな傷がある場合、場所を知らなければ見つけるまで時間がかかります。一度場所を教えられれば、次からはすぐ目に入るでしょう。

ゲームの不具合も似ています。再現手順が分かった後は誰でも試しやすくなるため、最初から発見しやすい問題だったように見えるのです。

ゲーム開始直後に高い確率で止まる問題と、珍しい条件が重なったときだけ起きる問題では、見落としの重さが異なります。不具合が残った理由は、発生頻度や条件も含めて見る必要があります。

不具合が見つかってもすぐ直せるとは限らない

開発中に不具合が見つかっても、発見された順番にすべて修正されるとは限りません。

ゲームを進められなくなる問題、保存データを失う問題、多くのプレイヤーに起きる問題は優先度が高くなります。一方で、文字が一瞬ずれる、背景の一部がちらつくといった軽微な表示の問題は、後の対応になる場合があります。

限られた期間のなかでは、発生頻度や影響の大きさ、回避方法の有無などを見ながら対応の順番が決められます。

不具合の件数だけでは深刻さを比べられない

表示のずれが20件あるゲームと、保存データを読み込めなくなる問題が1件あるゲームでは、後者のほうが深刻です。

件数が少なくても、ゲームを続けられなくなる不具合は優先して対応しなければなりません。反対に、多くの人に起きても、表示がわずかに乱れるだけで操作や進行に影響しない問題もあります。

不具合の重さは、件数だけでなく、内容、発生頻度、影響範囲、回避方法の有無によって変わります。

修正後には確認テストと回帰テストが行われる

一つの不具合を直すためにプログラムを変更すると、関係する別の機能へ影響が及ぶことがあります。

ある扉の判定を変更した結果、別の場所にある扉が開かなくなるかもしれません。アイテムの数え方を変えれば、買い物や保存の処理へ影響が及ぶ場合もあります。

元の不具合が直ったかを確かめる作業は「確認テスト」と呼ばれます。さらに、変更によって別の機能へ悪影響が出ていないかを調べるのが「リグレッションテスト(回帰テスト)」です。

過去に発生した不具合の手順をチェック項目として残し、アップデート後に同じ問題が再発していないか調べる場合もあります。以前の修正が、別の変更によって影響を受けていないかを見るためです。

実際には、変更した箇所や影響が及びそうな機能を中心に確認範囲を決めます。進行不能や保存データ、通信に関わる機能は、より慎重な確認が求められます。

簡単に見える修正にも複数の工程がある

プレイヤーから見ると、簡単そうな不具合の修正に時間がかかっているように感じることがあります。

実際の作業は、問題のある数字や文章を一か所書き換えて終わるとは限りません。最初に発生条件を調べて原因を突き止め、その後にプログラムやデータを変更します。

修正後は元の問題が直ったことを確かめ、関連する機能や過去の不具合へ影響していないかも調べます。修正箇所以外への影響を確かめる時間も、アップデートの準備に含まれます。

新しい機能やイベントを追加する大型アップデートでは、変更される範囲が広くなります。その分だけ調べる機能も増え、以前のバージョンでは起きなかった不具合が現れる場合もあります。

不具合報告は原因を探す手掛かりになる

プレイヤーから寄せられる不具合報告は、発生条件や原因を調べる手掛かりになります。

「画面が止まった」という情報だけでは、調べる範囲を絞りにくい場合があります。一方で「この装備を使って会話を進め、直後に地図を開くと毎回止まる」と分かれば、同じ現象を試しやすくなります。

使用機種、ゲームのバージョン、発生した場所、直前に行った操作、起きた回数なども役立ちます。エラーコードが表示された場合は、その内容も原因を探す材料です。

公式の報告窓口が画像や動画の添付に対応していれば、画面の状態や操作手順を共有しやすくなります。報告するときは、それぞれのゲームが案内している公式サポートの手順に従いましょう。

Q&A

ゲームの不具合確認は普通に遊ぶだけの作業ですか?

自由にゲームを楽しむだけの作業ではありません。仕様書や多数のチェック項目に沿って、表示、音、操作、イベント、戦闘、保存、通信などを調べます。同じ場所を何度も往復し、装備や設定だけを変えて同じ操作を繰り返す作業も含まれます。

大人数でテストすればすべての不具合を見つけられますか?

人数を増やせば、試せる操作や機種の範囲は広がります。それでも、操作順、装備、通信状態、保存データなどの組み合わせをすべて調べるのは困難です。ゲームの規模が大きいほど、影響の大きさに応じて優先順位を付けます。

修正済みの不具合がアップデート後に再発することはありますか?

新しい機能の追加や別の不具合の修正が、以前に直した処理へ影響する場合があります。元の問題が直ったかを確かめる確認テストと、ほかの機能への影響を調べる回帰テストを行い、再発や新たな問題がないかを確かめます。

不具合はどのように報告すると役立ちますか?

使用機種、ゲームのバージョン、発生場所、直前の操作、発生頻度を伝えると状況を調べやすくなります。エラーコードが表示された場合は、その内容も役立ちます。画像や動画を送れるかどうかを含め、公式サポート窓口の案内に従いましょう。

まとめ

ゲームの不具合が見落とされる背景には、確認不足だけでなく、操作や機能の組み合わせが膨大になる問題があります。

開発中にテストできる人数と時間には限りがあります。発売後に多くのプレイヤーが異なる遊び方を試すと、開発中には現れなかった条件へたどり着く機会が増えていきます。

発生手順が分かった後は簡単に見える不具合でも、見つかる前は数多くある選択肢の一つです。修正後も、元の問題が直ったかを確かめるだけでなく、関連する機能や過去の不具合への影響を調べます。

不具合が見つかるまでにも、修正して更新データを届けるまでにも、多くの確認が必要です。具体的な操作手順や発生条件が共有されると、原因の発見と修正につながりやすくなります。

参考情報

  • JSTQB「テスト技術者資格制度 Foundation Level シラバス 日本語版 Version 4.0」
  • NIST「Combinatorial Methods for Trust and Assurance」
  • Microsoft Learn「Report a problem with the Visual Studio product or installer」

この記事を書いた人

気になったテーマを中心に、公開情報や資料を読みながら記事をまとめています。背景や違いが見えにくい話題も、公式サイトや公開資料を確認しつつ、できるだけわかりやすく整理してお届けしています。

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