8月1日は「水の日」です。夏の暑さが続くこの時期は、飲み水や入浴、洗濯など、水を使う場面が増えます。
水の日は、節水だけを呼びかける日ではありません。雨や雪が川や地下水となり、暮らしや産業に利用された後、再び海へ戻る「水循環」について理解を深める日でもあります。
蛇口をひねれば水が出る暮らしに慣れていると、その水がどこから届き、使った後にどこへ行くのかを意識する機会は多くありません。水の日の由来をたどると、8月1日が選ばれた理由や、日本で水資源が大切にされてきた背景が見えてきます。
水の日は水資源と水循環について考える日
8月1日の水の日は、水の大切さや限りある水資源、健全な水循環について理解と関心を深めるために設けられた日です。
1977年5月31日の閣議了解により、毎年8月1日が「水の日」、8月1日から7日までが「水の週間」と定められました。制定当時は、水資源の有限性や水の貴重さ、水資源開発の重要性を広く知ってもらうことが主な目的でした。
水の日と水の週間には、国や地方公共団体、事業者、民間団体などが連携し、展示、講演、施設見学、作文コンクールといった普及活動を行っています。2026年は、1977年の閣議了解から数えて第50回の節目にあたり、全国各地で関連行事が予定されています。
水の日が始まった背景
水の日が始まった1970年代の日本では、人口の増加や経済活動の拡大に伴い、家庭や工場で使われる水の量が増えていました。
国土交通省によると、生活用水の総使用量は1965年から2000年ごろまでに約3倍へ増えました。1998年ごろをピークに、その後は緩やかな減少傾向にあります。
工業用水では、一度使用した水を工場内で回収し、再び利用する取り組みが広がりました。その結果、新たに河川や地下水などから取り入れる水の量は、以前より抑えられています。
水の使われ方は制定当時から変化しています。それでも、必要な時期に安定して利用できる水を確保し、将来へ引き継ぐという水の日の役割は変わっていません。
2014年に法律上も水の日になった
水の日は1977年から続いていましたが、2014年4月に公布され、同年7月に施行された水循環基本法によって、法律上も位置づけられました。
水循環基本法では、8月1日を「健全な水循環の重要性について理解と関心を深める日」としています。国や地方公共団体が、水の日の趣旨に合った事業を行うよう努めることも定められています。
水循環とは、海や地表の水が蒸発して雲となり、雨や雪として降った後、川を流れたり地下へ浸透したりしながら、再び海へ戻っていく動きです。
地球上の水は循環していますが、必要な場所でいつでも同じ量を使えるとは限りません。雨の降り方、水質、森林や土地の状態が変われば、地域の川や地下水にも影響します。
なぜ水の日は8月1日なのか
8月1日が選ばれた理由は、数字の語呂合わせではありません。
8月は一年を通して水の使用量が多く、暑さによって水への関心も高まりやすい時期です。そのため、8月の初日が水の日に選ばれました。
飲み水やシャワー、洗濯、庭への散水など、夏は家庭で水を使う機会が増えます。農作物を育てるための水が必要になる一方、雨が少ない状態が続けば渇水も起こり得ます。水を身近に感じやすい時期だからこそ、水資源について知る日として8月1日が適していたのです。
8月1日から7日までの水の週間には、水への理解を広げる普及活動が全国で行われます。一日だけの記念日にせず、学校や地域、事業者などがそれぞれの方法で水について発信できる期間になっています。
3月22日の世界水の日とは別の記念日
水に関する記念日には、3月22日の「世界水の日」もあります。
世界水の日は国連が定めた国際的な日で、安全な水や衛生、水資源をめぐる世界の課題への関心を高めることを目的としています。1992年の国連総会決議を受け、1993年から毎年3月22日に実施されています。
日本の水の日は8月1日で、国内の水資源や水循環への理解を深めるために始まりました。日付や制定の経緯は異なりますが、水を将来にわたって利用するために考える日という点は共通しています。
水が豊かな日本でも水資源が大切な理由
日本は雨が多く、川や湖も身近にあるため、水に恵まれた国という印象があります。しかし、雨が多いことと、必要な時期に水を安定して使えることは同じではありません。
日本の河川は、海外の大河川に比べて短く、勾配が急なものが多くあります。山に降った雨が比較的短い時間で海へ流れるため、その水を長期間ためて利用するには設備や管理が必要です。
河川の水量も一年中一定ではありません。雪解け、梅雨、台風の時期には増えやすく、雨の少ない季節には減ります。ダムや堰(せき)、水路、地下水などを組み合わせることで、季節や地域による差を補っています。
過去の渇水では、断水や水道の水圧を下げる減圧給水が行われ、農作物や工場の操業に影響したこともありました。水が身近に見える日本でも、安定した供給には水源や施設を守る取り組みが欠かせません。
地球上の水の多くはそのまま利用できない
地球は「水の惑星」と呼ばれますが、地球上にある水の約97.5%は海水です。淡水は約2.5%で、その多くは氷河や地下水として存在しています。
川や湖など、人が比較的利用しやすい状態にある水は、地球上の水全体の約0.01%に限られます。
海水を淡水に変える技術もありますが、施設を動かすためのエネルギーや費用が必要です。河川、湖、地下水など、身近にある水源を良好な状態に保つことは、安定した暮らしにつながります。
水は家庭以外でも使われている
水道から出る水だけが水資源ではありません。農作物を育てる農業用水、製品の製造や機械の冷却に使う工業用水、発電に利用される水など、目に見えにくい場所でも多くの水が使われています。
食料や日用品が店頭へ並ぶまでの過程にも水が必要です。渇水が長引けば、家庭の水道だけでなく、農業や地域の産業にも影響が広がります。
水の日は、家庭で使う水量だけを気にする日ではありません。暮らしや社会が、さまざまな形で水に支えられていることを知る日でもあります。
水の日に振り返りたい身近な水の流れ
水の日には、普段どのような場面で水を使い、どこから水が届いているのかを調べてみるのも一つの方法です。
水を使わないよう我慢するより、必要のない流しっぱなしや、排水を汚しやすい使い方がないかを振り返るほうが、日常生活にも取り入れやすいでしょう。
蛇口の水がどこから来るかを調べる
家庭へ届く水のもとは、地域によって河川、ダム、湖、地下水などさまざまです。
自治体や水道事業者のウェブサイトでは、水源や浄水場、水質検査の結果が紹介されていることがあります。地域の水源を知ると、蛇口から出る水が森林や河川、地下水とつながっていることをイメージしやすくなります。
浄水場やダムの見学会が開催されている地域もあります。水源から家庭へ水が届くまでに、多くの設備や人の働きが関わっていることも分かります。
必要のない流しっぱなしを減らす
歯磨き、洗顔、食器洗い、シャワーなどでは、実際に水を使っていない間も流し続けてしまうことがあります。必要のないときに蛇口を閉めれば、生活の快適さを大きく変えずに使用量を抑えられます。
洗濯物をある程度まとめて洗うことや、食器に残った油分を紙などで拭き取ってから洗うことも、水の使用量や排水の汚れを抑える方法として紹介されています。
ただし、衛生上必要な手洗いや、暑い時期の水分補給まで控える必要はありません。水の日は、水を使うこと自体を避けるのではなく、使っていない水が流れ続けていないかを振り返る日と捉えられます。
使った水がどこへ行くかも知っておく
家庭で使った水は、下水道や浄化槽(じょうかそう)などで処理された後、川や海へ戻ります。
食用油や食べ残しを排水口へ流すと、下水処理の負担が増えます。調理器具や食器に残った油分を拭き取ってから洗うと、排水へ流れる汚れを減らせます。
水源から家庭へ届くまでだけでなく、使った水が川や海へ戻るまでを知ると、水が地域の中を巡っていることが分かります。
Q&A
まとめ
8月1日の水の日は、水の大切さや水資源への理解を深めるため、1977年に始まりました。2014年には水循環基本法によって、健全な水循環への理解と関心を高める日として法律上も位置づけられています。
8月1日が選ばれたのは、水の使用量が多く、関心も高まりやすい季節だからです。8月7日までの水の週間には、全国各地で水に関する普及活動が行われます。
日本は雨の多い国ですが、降る時期や地域には偏りがあります。水源から蛇口へ届き、使った後に川や海へ戻る流れを知ると、毎日の暮らしが多くの水に支えられていることが分かります。
参考情報
- 国土交通省「水の日・水の週間」
- e-Gov法令検索「水循環基本法」
- 内閣官房水循環政策本部事務局「水循環とは!?」
- 内閣官房水循環政策本部事務局「水循環基本法」
- 国土交通省「水資源の利用状況」
- 国土交通省「水資源の開発」
- 国土交通省「令和7年版 日本の水資源の現況」
- 政府広報オンライン「飲み水はどこから?使った水はどこへ?暮らしを支える『水の循環』」
- 内閣官房水循環政策本部事務局「8月1日『水の日』は今年で第50回!」
- 国際連合「World Water Day」
