スヌーズ機能はなぜ何度も使われる?朝の利用理由と仕組み

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目覚ましが鳴ったのでアラームを止める。まだ起ききれずに横になっていると、数分後にまた鳴る。そして再び止める。

朝、この流れを何度も繰り返すことがあります。

スヌーズが何度も使われるのは、単に「もっと寝たいと思ってボタンを押している」からだけではありません。調査では、最初のアラームでは起き上がれない、ベッドが心地よい、起床までの時間を少し延ばしたい、スヌーズまで含めて毎朝の習慣になっているなど、複数の利用理由が報告されています。

さらに、本当に起きたい時刻より早くアラームを設定し、最初から複数回鳴ることを予定に組み込んでいる人もいます。

スヌーズは、偶然二度寝してしまったときだけ使う機能ではありません。眠っている状態から最終的に起きるまでを、何段階かに分けるように使われることもある機能です。

ちなみに「スヌーズ」は、英語の snooze から来た言葉です。snoozeには「短く眠る」「うたた寝する」といった意味があります。

英語では18世紀末にはsnoozeの使用例が確認されていますが、この言葉そのものがどこから生まれたのかは、はっきり分かっていません。現在の目覚まし機能よりも、言葉のほうがずっと古くから使われていたことになります。

目次

スヌーズはどのような場面で使われる?

スヌーズを何度も使う朝でも、毎回「もう少し寝よう」とはっきり考えて操作しているとは限りません。

最初のアラームで十分に起ききれず、鳴ったアラームを止める。そのまま横になっているうちに次のアラームが鳴り、再び止める。こうして結果的に何度もスヌーズすることもあります。

一方、最初から複数回鳴ることを見越してアラームを設定している人もいます。

スヌーズは「予定外の二度寝」とは限らない

2022年に睡眠専門誌『SLEEP』へ掲載された研究では、「snoozing(スヌーズする行動)」を比較的広く捉えています。

たとえば、

  • アラームで一度起こされたあと、また眠る
  • 本当に起きたい時刻より早くアラームを設定する
  • 最初のアラームでは起きないつもりで複数のアラームを設定する

といった行動です。

この研究でいうスヌーズには、スマートフォンなどのスヌーズボタンそのものだけでなく、複数のアラームを使って段階的に起きる方法も含まれています。

たとえば7時に起きたい人が、

6時45分 最初のアラーム
6時50分 次のアラーム
6時55分 次のアラーム
7時00分 起床

という流れを最初から想定している場合です。

この人にとって6時45分は、必ずベッドから出る時刻というより、起床を始める合図に近くなります。

一度目のアラームで起きなかったからといって、必ずしも予定外の二度寝をしたとは限りません。複数回鳴るところまで含めて、朝の決まった流れになっている人もいます。

実際に多かったスヌーズの利用理由

450人を対象とした2022年の研究では、257人、約57%が自分をスヌーズ利用者だと回答しました。

利用する理由として多く挙げられたのは、

  • 最初のアラームではベッドから出られない
  • ベッドの中が心地よい
  • ベッドから出るときの疲れを少なく感じたい
  • その瞬間をもう少し快適に過ごしたい
  • スヌーズまで含めて朝の決まった習慣になっている

といったものでした。

「睡眠時間を少しでも増やしたい」という理由だけでは、スヌーズの使われ方をすべて説明できません。

最初のアラームでは起き上がれず、その後に鳴るアラームを使っている人もいれば、ベッドから出るまでの時間を少し延ばす目的で利用している人もいます。

「寝過ごしたくない」から使う人もいる

スヌーズは、寝過ごすことへの不安を減らすための予備として利用されることもあります。

2022年に発表された日本の大学生293人を対象とする調査では、70.5%が携帯電話のスヌーズ機能をよく使うと回答しました。

主な理由として挙げられたのが、寝過ごすことへの不安を減らすことです。

一度目のアラームで十分に起きられなくても、そのあとにまた鳴ることが分かっていれば、次のアラームを予備として使えます。

スヌーズは「もう一度眠るため」だけではなく、何度か鳴るアラームを起床までの予備として利用する場合もあるのです。

一度止めても再びアラームが鳴る

一度だけ鳴るアラームなら、止めた時点で役割は終わります。

スヌーズでは、一度アラームを止めても、設定された時間がたつと再び鳴ります。最初のアラームで起ききれなかった場合でも、数分後にもう一度起床のきっかけが作られる仕組みです。

ただし、この仕組み自体が何度もスヌーズを使う原因だと研究で証明されているわけではありません。

機能上の特徴として確かなのは、最初のアラームを止めたあとにも、次のアラームによって再び起こされる機会が作られることです。

習慣的に利用する人では、こうした複数回のアラームまで含めて起床の流れになっている場合があります。

スヌーズは実際にどれくらい使われている?

スヌーズは身近な機能ですが、実際に何回くらい使われているのかを大量の睡眠記録から調べた研究は、それほど多くありません。

2025年に『Scientific Reports』へ掲載された研究では、睡眠記録スマートフォンアプリの利用者2万1,222人から集められた、301万7,276件の睡眠記録が分析されました。

研究の発表は2025年ですが、分析対象になった記録は2022年7月1日から12月31日までに収集されたものです。

スヌーズ使用時は平均2.4回、10.8分

この大規模データでは、分析された睡眠セッションの55.6%がスヌーズアラームを伴って終了していました。

スヌーズを使用した記録では、

平均2.4回
平均10.8分

利用されています。

ただし、55.6%という数字は「世界の人の55.6%がスヌーズを使っている」という意味ではありません。

対象になったのは、特定の睡眠記録アプリを利用し、研究条件を満たした人の睡眠記録です。一般人口全体から無作為に人を選んで調べた利用率ではありません。

それでも300万件を超える記録から、スヌーズが1回だけで終わらず、複数回使われる朝も多いことが分かります。

同じ研究では、スヌーズを頻繁に利用するグループの場合、使用時の平均は4.0回、20.2分でした。

一方、利用頻度が低いグループでは平均1.2回、約3分でした。

同じスヌーズ利用者でも、1回だけ数分延ばす人と、何度もアラームを鳴らしながら20分ほどかけて起きる人では使い方が大きく異なります。

平日のほうが使われやすい傾向もある

2025年の大規模データでは、曜日による違いもみられました。

スヌーズの利用は月曜日から金曜日に多く、土曜日と日曜日には少なくなる傾向がありました。

休日なら、毎週決まった時間に起きる必要がない人もいます。一方、平日は仕事や学校などの予定によって、起床しなければならない時刻が決まっていることがあります。

研究者も、週末の朝には仕事や学校などの予定が少ない人がいることを、曜日差を説明する可能性の一つとして挙げています。

スヌーズは朝の眠気だけではなく、「何時までには起きる必要があるか」という生活上の予定とも関係して使われている可能性があります。

若い人や夜型寄りの人に多い傾向

スヌーズを利用する人については、いくつかの傾向も報告されています。

450人を対象とした調査では、若い人や夜型寄りの生活時間を持つ人ほど、スヌーズ利用者である可能性が高い結果でした。

1,732人を調べた別の研究でも、スヌーズは若い人や夜型寄りの人に多く、利用者では朝の眠気や短めの睡眠も多く報告されています。

さらに2025年の大規模データでは、普段より遅く眠り始めた日はスヌーズ利用が増え、早く眠り始めた日は少なくなる傾向がありました。

ただし、これらは関連を示した結果です。

「夜型だから必ずスヌーズを使う」「スヌーズを使うと夜型になる」といった因果関係まで明らかになったわけではありません。

また、研究によって睡眠時間との関連にも違いがあります。

スヌーズは、単に睡眠時間が短い人だけが使う機能とはいえません。

スヌーズを使うと目覚めは悪くなる?

「何度もアラームで起こされるなら、スヌーズは使わないほうがよい」と聞いたことがあるかもしれません。

ただ、スヌーズの影響については、研究によって異なる結果も出ています。

日本の大学生を対象とした2022年の研究では、別に集めた10人について、スヌーズを使う条件と使わない条件を睡眠実験室で比較しました。

この小規模な実験では、スヌーズによって繰り返し起こされた条件で、起床後の睡眠慣性が長引く可能性が示されています。

睡眠慣性とは、目を覚ましたあとにも眠気やぼんやりした感覚などが残る状態です。

一方、普段からスヌーズを利用する31人を対象とした別の研究では、最大30分間スヌーズした場合と、一度のアラームですぐ起きた場合を比較しています。

スヌーズを使った場合、実際の睡眠時間は約6分短くなりました。

ところが起床直後の認知課題では、一部の成績が改善するか、少なくとも悪化しない結果がみられました。また、深い睡眠であるN3睡眠から直接起こされるケースも減っています。

この研究では、気分や朝の眠気などに明確な差はみられませんでした。

現在の研究からは、

スヌーズを使うと必ず目覚めが悪くなる

とも、

スヌーズを使ったほうが必ずすっきり起きられる

ともいえません。

参加人数や実験条件も研究ごとに異なります。普段からスヌーズを使っている人なのか、何分間利用するのか、アラームがどの程度の間隔で鳴るのかによっても結果が変わる可能性があります。

2025年の大規模データでも、スヌーズ利用がその後の日中の状態へどのような影響を与えるのかについては、今後さらに調べる必要があるとされています。

スヌーズの影響には、まだ分かっていない部分が残っています。

スヌーズにつながる仕組みは1950年代前半にはあった

スヌーズは、スマートフォンとともに生まれた機能ではありません。

現在のスヌーズにつながる、最初のアラームを止めたあと一定時間がたつと再び鳴らす遅延アラーム機構は、1950年代前半には特許資料で確認できます。

たとえばEdward L. Gordonが出願した米国特許では、最初のアラームを手動で止めたあと、あらかじめ決められた時間が過ぎると、もう一度アラームを鳴らす仕組みが説明されています。

この特許は1950年5月22日に出願され、1951年2月13日に特許となりました。

ただし、この特許自体にも、それ以前から同種の機構が提案されていた旨が記されています。

そのため、1951年に世界で初めてスヌーズが発明されたわけではありません。

少なくとも1950年代前半には、現在のスヌーズに通じる「一度止めても、しばらくすると再び鳴る」という仕組みが具体的な時計の機構として存在していました。

現在はスマートフォンの画面を触るだけですが、起床を少し先へ延ばして再びアラームを鳴らすという発想には、70年以上の歴史があります。

「スヌーズが9分なのは昔の時計の都合」は本当?

スヌーズについてよく語られるのが、

「9分なのは昔の機械式時計の歯車が原因」

という説です。

現在でも9分のスヌーズを採用する機器はありますが、スヌーズ時間は製品やアプリによって異なります。

初期の特許資料からは、現在広く語られている「なぜ9分になったのか」という由来までは確定できません。

2025年の大規模研究で使われたアプリでは、スヌーズの初期設定は5分で、利用者が変更できる仕組みでした。

実際、この研究でスヌーズが使われた記録の89%は5分設定でした。10分設定は4%で、現在のスヌーズ時間が必ず9分というわけではないことが分かります。

「スヌーズは本来9分」と一律に決まっているわけではありません。9分設定には広く知られた由来説がある一方、現在のスヌーズ時間は機器やアプリによってさまざまです。

まとめ

スヌーズ機能が何度も使われる理由は、「もっと寝たいと思って何度も押している」だけではありません。

最初のアラームでは十分に起き上がれず、その後に鳴ったアラームを止めるうちに、結果として複数回使うこともあります。

調査では、最初のアラームではベッドから出られない、ベッドが心地よい、ベッドから出るときの疲れを少なく感じたい、朝の決まった習慣になっているといった利用理由が報告されています。

また、本当に起きたい時刻より早くアラームを設定する人や、寝過ごすことへの不安を減らすために複数回鳴ることを利用する人もいます。

2025年に発表された300万件を超える睡眠記録の分析では、スヌーズを使用した記録で平均2.4回、10.8分利用されていました。ただし、これは特定の睡眠記録アプリ利用者のデータであり、一般人口全体の利用率ではありません。

スヌーズが目覚めに与える影響についても、「必ず悪い」「必ず良い」と一律に決められる段階ではありません。

一度では起ききれない朝に、数分後のアラームでもう一度起床のきっかけを作る。スヌーズは、そんな使われ方もしている身近な目覚まし機能です。

参考情報

  • Mattingly, S. M., Martinez, G., Young, J., Cain, M. K., & Striegel, A. (2022). “Snoozing: an examination of a common method of waking.” SLEEP.
  • Ogawa, K., Kaizuma-Ueyama, E., & Hayashi, M. (2022). “Effects of using a snooze alarm on sleep inertia after morning awakening.” Journal of Physiological Anthropology.
  • Sundelin, T., Landry, S., & Axelsson, J. (2024). “Is snoozing losing? Why intermittent morning alarms are used and how they affect sleep, cognition, cortisol, and mood.” Journal of Sleep Research.
  • Robbins, R., Sääf, D., Weaver, M. D., et al. (2025). “Snooze alarm use in a global population of smartphone users.” Scientific Reports.
  • Merriam-Webster Dictionary “snooze”
  • United States Patent US2541817A “Automatic restoring mechanism for alarm clock shutoff” / Edward L. Gordon

この記事を書いた人

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