赤褐色の毛と長くふさふさしたしっぽで知られるレッサーパンダには、世界各地でその存在や野生での暮らしに目を向ける「国際レッサーパンダデー」があります。
International Red Panda Day(国際レッサーパンダデー)は毎年9月の第3土曜日です。2026年は9月19日に当たります。レッサーパンダの保全団体Red Panda Network(レッドパンダネットワーク)が始めた取り組みで、動物園や学校などを通してレッサーパンダの生態や生息環境について知る機会になっています。
国際レッサーパンダデーは毎年9月の第3土曜日
国際レッサーパンダデーの日付は「9月○日」のように固定されていません。毎年9月の第3土曜日なので、日付は9月15日から21日までの間で変わります。2026年は9月19日です。
世界各地の動物園や学校、保全団体などが参加し、レッサーパンダの生態や野生での状況、生息地について伝える催しが行われています。施設によって内容は異なり、特別ガイドや展示、学習企画などさまざまです。
では、なぜ「9月の第3土曜日」なのでしょうか。Red Panda Networkでは毎年この日に行うことを案内していますが、なぜこの時期と曜日が選ばれたのかという詳しい制定理由は、公開されている同団体の情報では示されていません。
最初の国際レッサーパンダデーは2010年
最初の国際レッサーパンダデーが行われたのは2010年です。Red Panda Networkによって始められ、その後も毎年続けられてきました。
同団体の過去の振り返りでは、2010年の初回には16以上の学校や動物園が参加したと紹介されています。2019年には参加する学校、動物園、企業、団体などが115以上に増えており、開始から各地へ取り組みが広がっていきました。
始まった当初から大切にされてきたのが、レッサーパンダについて知ってもらうことです。動物園で飼育されている姿を見るだけでなく、野生ではどこに暮らしているのか、どのような森林を必要としているのかまで知る機会として活用されてきました。
なぜ国際レッサーパンダデーが始まった?
レッサーパンダは動物園でも親しまれていますが、野生では絶滅の危機に直面しています。IUCN(国際自然保護連合)のレッドリストでは、レッサーパンダはEndangered(絶滅危惧)に分類されています。
生息地はヒマラヤ周辺から中国南西部にかけての山地の森林です。竹を多く利用し、木の上で休んだり移動したりするため、竹だけでなく森林そのものが暮らしを支えています。
森林が減少したり分断されたりすると、食べ物や休息場所が失われるだけではありません。離れた森林の間を個体が移動しにくくなり、暮らせる場所そのものが細かく分かれてしまいます。
国際レッサーパンダデーでは、レッサーパンダの姿や生態を知るところから、生息地である森林や野生で直面している問題について学ぶ機会も設けられています。
レッサーパンダが「最初のパンダ」と呼ばれるのはなぜ?
Red Panda Networkでは、レッサーパンダをfirst panda(最初のパンダ)やoriginal panda(元祖のパンダ)と表現することがあります。
現在「パンダ」と聞くと、白黒のジャイアントパンダを思い浮かべる人が多いかもしれません。しかし、西洋の動物学で先に科学的に記載されたのはレッサーパンダでした。
レッサーパンダは1825年、フランスの動物学者フレデリック・キュヴィエ(Frédéric Cuvier)によって科学的に記載されました。ジャイアントパンダが西洋の科学界で知られるようになったのは、その後の19世紀後半です。
つまり、名前の歴史ではレッサーパンダのほうが先に「パンダ」として知られていました。
現在ではジャイアントパンダを単に「パンダ」と呼ぶ場面が多いため、レッサーパンダのほうが先にパンダとして知られていたという歴史は、名前から受ける印象とは逆に感じられるかもしれません。
国際レッサーパンダデーには何が行われる?
国際レッサーパンダデーには、世界各地の動物園や学校、保全団体などでレッサーパンダについて知るための催しが行われます。
内容は年や施設によって異なり、飼育員による特別ガイド、生態や生息地を紹介する展示、クイズや工作などの教育企画、保全活動の紹介、募金につながる催しなどがあります。
レッサーパンダの生息国であるネパールでも、子どもたちを対象とした学習活動やアート、映像を使った啓発活動などが行われてきました。飼育施設だけでなく、実際にレッサーパンダが暮らす地域でも、その生態や森林環境を知る場として活用されています。
日本の動物園でも、国際レッサーパンダデーに合わせた企画が行われています。過去には多摩動物公園で、レッサーパンダを観察するためのシートを使った企画などが実施されました。
開催日や内容は動物園や年によって異なるため、国際レッサーパンダデーに決まった一つの行事があるわけではありません。それぞれの施設や団体が、レッサーパンダの特徴や野生での状況を伝える方法を考えて催しを行っています。
レッサーパンダを守ることは森林を守ることにもつながる
野生のレッサーパンダが暮らし続けるには、動物そのものだけでなく、生息地となる森林を残す必要があります。竹が育つ場所、木の上で休める環境、個体が移動できる森林のつながりも欠かせません。
Red Panda Networkでは、生息地周辺の地域住民と協力した保全活動も進めています。その一つが、Forest Guardians(フォレスト・ガーディアン)と呼ばれる地域の保全スタッフです。
フォレスト・ガーディアンは森林を巡回し、レッサーパンダや生息地の状況を調べたり、保全に必要な情報を集めたりしています。地域での啓発活動にも関わり、現地で森林を見守る役割を担っています。
森林が失われた場所では、植樹などによって生息環境を回復させる活動も行われています。レッサーパンダが移動できる森林を残すには、分断された森をつなぐことに加え、その地域で暮らす人々との協力も欠かせません。
Red Panda Networkでは、レッサーパンダの保護に加えて、森林の再生や地域住民と協力した活動も進めています。国際レッサーパンダデーをきっかけに、こうした生息地での取り組みを知ることもできます。
Q&A
まとめ
国際レッサーパンダデーは毎年9月の第3土曜日で、2026年は9月19日です。2010年にRed Panda Networkによって始められ、世界各地の動物園や学校、生息地の地域などへ取り組みが広がってきました。
レッサーパンダは、ジャイアントパンダより先に西洋の動物学で「パンダ」として知られた歴史を持つ動物でもあります。一方、野生では生息地となる森林を含めた保全が必要です。
国際レッサーパンダデーは、レッサーパンダへの関心を、その生態や生息地の森林、現地で続けられている保全活動へ広げる機会として続いています。
参考情報
- Red Panda Network「International Red Panda Day」
- Red Panda Network「International Red Panda Day 2019」
- Red Panda Network「Red Panda Facts」
- Red Panda Network「Forest Guardians」
- Red Panda Network「Planting Trees to Save Red Pandas」
- IUCN Red List「Red Panda(Ailurus fulgens)」
- 東京動物園協会「『国際レッサーパンダデー』企画を開催します」

