ワールドリスニングデーとは?7月18日に世界の音を聴く理由

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7月18日は、World Listening Day(ワールド・リスニング・デー)です。音楽だけを楽しむ日ではなく、鳥の声や風、電車、足音、機械音など、身の回りにある音へ耳を澄ませる日として広がっています。

この日付は、サウンドスケープの考え方を広めたカナダの作曲家、R・マリー・シェーファーの誕生日に由来します。普段は聞き流している音を聴き直し、自分がどのような環境で暮らしているのかを見つめる機会です。


目次

ワールドリスニングデーは毎年7月18日

ワールドリスニングデーは、周囲の音と人の暮らし、環境、文化とのつながりに目を向ける国際的な取り組みです。World Listening Project(ワールド・リスニング・プロジェクト)が中心となり、2010年から毎年7月18日に行われてきました。

各地では、身近な音を聴きながら歩くサウンドウォーク、環境音の録音、講座、演奏、作品展示などが企画されています。決められた会場へ行かなくても、自宅や通学路、公園などで数分間耳を澄ませることが参加の一つになります。

ワールドリスニングデーには年ごとにテーマが設けられます。2026年には「Listening as Practice(実践としてのリスニング)」が掲げられ、聴くことを芸術や文化の実践として捉えた作品が紹介されました。年を明記しておけば、翌年以降も歴代テーマの一例として読めます。

7月18日はR・マリー・シェーファーの誕生日

R・マリー・シェーファーは、1933年7月18日にカナダのオンタリオ州サーニアで生まれた作曲家、著述家、音楽教育者です。日本語で出版された著書でも「R・マリー・シェーファー」や「R.マリー・シェーファー」という表記が使われています。

シェーファーは、街や地域を取り巻く音を一つの環境として捉え、人や土地との関係を考える活動に大きな影響を与えました。ワールドリスニングデーは彼の功績を振り返るとともに、日々の音を聴き直す日でもあります。


サウンドスケープは耳で捉えた風景

ワールドリスニングデーと関係が深い言葉が、Soundscape(サウンドスケープ)です。日本語では「音の風景」や「音風景」と表されます。

目で見る景色に空、建物、木々、人の動きが含まれるように、音の風景には鳥、雨、乗り物、機械、人の声などが含まれます。さらに、その場所で鳴っている音だけでなく、人や社会が音をどう聴き、受け止めているかもサウンドスケープの一部です。

同じ公園でも、早朝には鳥や清掃の音が聞こえ、昼になると遊ぶ人の声が増えます。夜には人や車の音が減り、水音や虫の声を聞き取りやすくなるかもしれません。同じ場所でも、時間や季節、天候によって音の風景は変わります。

音の風景を調べる活動から広がった

シェーファーは、カナダのサイモンフレーザー大学でWorld Soundscape Project(ワールド・サウンドスケープ・プロジェクト)を立ち上げました。1960年代後半から1970年代初めにかけて教育・研究グループとして形作られ、都市化とともに変わる音環境や騒音へ関心を向けました。

プロジェクトでは都市や地域の音を記録し、暮らしとの関係を調べました。古い工場や建物がなくなれば、外観だけでなく、鐘の音や機械音、作業音、呼び込みの声も失われる場合があります。録音には、写真だけでは残りにくい地域の記憶を伝える役割もあります。

音響生態学は人や生き物と音の関係を考える

Acoustic Ecology(アコースティック・エコロジー)は、日本語で「音響生態学」と訳されます。人や生き物が周囲の音とどのように関わっているのかを考える分野です。

音を「心地よい」「うるさい」と分けるだけでなく、その音が生まれた背景や、場所による聞こえ方の違いにも目を向けます。交通量が多い場所では、鳥の声が車の音に埋もれて聞き取りにくくなることがあります。一方、祭りの太鼓や夕方の鐘が、地域を思い出す音として残ることもあります。

同じ音でも、長く暮らしている人と初めて訪れた人では印象が違います。聞く人の経験や、その場所との関係によって受け止め方が変わる点も、音の風景を考えるうえで大切です。


音を聴くと暮らしの変化が見えてくる

音は目に見えず、鳴り終わればその場から消えていきます。それでも、暮らしや土地の変化を知る手がかりになります。

以前は聞こえていた工場の稼働音がなくなった、新しい道路ができて車の音が増えた、季節が変わって鳥や虫の声が変化したなど、耳から街の移り変わりに気づくことがあります。

毎日聞いているため、気に留めなくなった音も少なくありません。電車の発車音、学校のチャイム、商店の呼び込み、寺社の鐘は、その土地を離れてから思い出す音になる場合があります。音は場所だけでなく、時間や個人の記憶とも結びついています。

心地よい音だけを探す必要はありません。普段は聞き流している音へ耳を澄ませると、自分が暮らしている場所の特徴が少しずつ見えてきます。ワールドリスニングデーは、特別な音を探すよりも、いつもの音を聴き直すきっかけとして楽しめます。


身近な音に耳を澄ませてみる

専門的な録音機材や音楽の知識がなくても、身近な場所で音を聴く時間を作れます。短い時間から始め、場所や時間帯を変えると、聞こえ方の違いを見つけやすくなります。

1. 目を閉じて3分間だけ聴く

安全な場所で座り、スマートフォンの画面を見ずに3分ほど周囲の音を聴きます。最初は車や話し声が耳に入り、しばらくすると時計、空調、遠くを走る電車、服がこすれる音にも気づきます。

すぐに音源を探さず、近い音と遠い音、高い音と低い音、続く音と一度だけ鳴る音を聴き分けてみます。同じ場所にいくつもの音が重なっていることがわかります。

2. 音を聴きながら歩く

Soundwalk(サウンドウォーク)は、周囲の音へ注意を向けながら歩く活動です。ワールドリスニングデーの公式案内でも、身近な場所で取り組める方法の一つとして挙げられています。

通学路や散歩道でも、イヤホンを外して歩くと印象が変わります。商店街、川沿い、公園、住宅地のように音の異なる場所をつなぐと、音の移り変わりが際立ちます。車や自転車が通る道では、周囲の安全を優先しましょう。

3. 聞こえた音を言葉で残す

録音をしなくても、音を文章で残せます。

「午前7時、窓の外から鳥とごみ収集車の音」「午後9時、雨とタイヤが水をはじく音」のように、時間や天候も添えます。「遠くから近づいた」「別の音に隠れた」といった変化も書くと、その場の様子を思い出しやすくなります。

同じ場所で記録を続ければ、平日と休日、晴天と雨天、夏と冬の違いが見えてきます。後から読み返したとき、一般的な日記とは違う形で暮らしの記録が残ります。

4. 朝と夜の音を比べる

同じ場所の音を朝と夜に聴き比べます。早朝には鳥や店の準備音、夕方には帰宅する人や車、夜には虫や建物の設備音が目立つかもしれません。

遠くへ出かけなくても、時間を変えるだけで違う音の風景に出会えます。

5. 環境音を録音する

スマートフォンで雨や風、川、街のざわめきを録ると、後から細かな音を聞き直せます。写真と一緒に残せば、その場所の様子や季節を振り返りやすくなります。

録音禁止の案内がある場所では、そのルールに従いましょう。人の会話がはっきり入った音源を公開するときも、プライバシーへの配慮が欠かせません。公開せず、自分の記録として楽しむ方法もあります。


Q&A

ワールドリスニングデーは誰が始めたのですか?

World Listening Projectが中心となり、2010年に始まりました。毎年7月18日を中心に、音を聴く活動や作品の共有が行われています。

なぜ7月18日なのですか?

サウンドスケープや音響生態学に大きな影響を与えたカナダの作曲家、R・マリー・シェーファーの誕生日だからです。シェーファーは1933年7月18日に生まれました。

音楽を聴く日なのですか?

音楽だけを対象とした日ではありません。鳥、雨、乗り物、足音、機械、人の声など、身の回りにあるさまざまな音へ耳を向けます。

静かな場所へ行く必要はありますか?

静かな場所でなくても楽しめます。駅前や商店街のように音が多い場所では、近くと遠くの音を聴き分けたり、時間帯による変化を比べたりできます。


まとめ

7月18日のワールドリスニングデーは、身近な音へ耳を澄ませ、環境や暮らしとのつながりを考える日です。日付は、サウンドスケープの考え方を広めたR・マリー・シェーファーの誕生日に由来します。

特別な道具がなくても、数分間音を聴いたり、散歩をしながら聞こえ方を比べたりするだけで参加できます。いつもの場所にも、時間や季節によって変わる音の風景が広がっています。

参考資料

  • World Listening Project「World Listening Day」
  • World Listening Day「What is World Listening Day」
  • World Listening Day公式サイト「Listening as Practice」
  • Simon Fraser University「World Soundscape Project」
  • Simon Fraser University「Soundscape」
  • 国立国会図書館サーチ「サウンド・エデュケーション 新版」

この記事を書いた人

気になったテーマを中心に、公開情報や資料を読みながら記事をまとめています。背景や違いが見えにくい話題も、公式サイトや公開資料を確認しつつ、できるだけわかりやすく整理してお届けしています。

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