8月13日は「怪談の日」です。稲川淳二さんの怪談公演が20年目を迎えた2012年、日本記念日協会から認定されました。
日付は、後の「稲川淳二の怪談ナイト」へつながる最初の催しが、1993年8月13日にクラブチッタ川崎で開かれたことに由来します。当時の名称は「川崎ミステリーナイト」でした。
古くから続く年中行事ではなく、現代の怪談公演から生まれた比較的新しい記念日です。一方、日本にはお盆や歌舞伎などを背景として、夏に怪談を語り、聞いてきた文化があります。
怪談の日は稲川淳二さんの公演から生まれた
怪談の日は、稲川淳二さんが長年続けてきた怪談公演にちなんだ記念日です。
稲川淳二さんは、テレビ番組への出演をはじめ、俳優、タレント、工業デザイナーなど幅広い分野で活動してきました。なかでもよく知られているのが、体験談や不思議な出来事を独特の口調で伝える怪談です。
怪談は文章でも楽しめますが、声で聞くと異なる印象が生まれます。話す速さや声の強弱、言葉を止める間、表情なども語りの一部となり、聞き手が場面を思い浮かべる余白をつくるためです。
稲川淳二さんの公演は、怪談を舞台上で聞く催しとして定着し、夏の恒例公演へ発展しました。1993年から続いてきた公演が20年目を迎えた2012年、最初の開催日である8月13日が「怪談の日」として認定されています。
日本の国民の祝日ではないため、学校や会社が休みになる日ではありません。長年続く怪談公演や、日本の怪談文化に目を向けるきっかけになる日です。
怪談の日はなぜ8月13日になった?
8月13日が怪談の日になったのは、後の怪談ナイトにつながる最初の催しが、1993年の同じ日に開かれたためです。
1993年の催しは「川崎ミステリーナイト」という名称で開催され、現在の「稲川淳二の怪談ナイト」へつながっていきました。
最初の催しはクラブチッタ川崎で開かれた
川崎ミステリーナイトは、1993年8月13日に神奈川県川崎市のクラブチッタ川崎で開かれました。稲川淳二さんを含む複数の出演者が参加し、深夜に怪談を聞くイベントとして行われています。
この催しが、その後も続く夏の怪談公演の出発点となりました。記念日の日付には、怪談ナイトへと発展する最初の一歩を残す意味があります。
翌年の単独公演から全国ツアーへ発展した
1994年には同じクラブチッタ川崎で、稲川淳二さんによる5時間のオールナイト単独公演が行われました。
1993年の複数出演者による催しを経て、翌年には稲川淳二さんが一人で怪談を語る公演へと形が変わったことになります。
1995年には「MYSTERY NIGHT TOUR 1995 稲川淳二の怪談ナイト」として、初めて全国ツアーが開催されました。川崎で始まった深夜イベントが、各地の会場を回る夏の公演へ広がっていったのです。
舞台では語りだけでなく、照明や音響、舞台美術も使われます。観客は物語を耳で聞くだけでなく、会場全体に漂う雰囲気も含めて怪談を味わえるようになりました。
一度だけの催しではなく、公演が長い年月にわたって続いたことも、8月13日が記念日として認定された背景にあります。
8月13日は多くの地域でお盆が始まる時期
怪談の日の日付は1993年の最初の催しに由来しますが、8月13日は多くの地域で月遅れのお盆が始まる時期とも重なっています。
多くの地域では13日に迎え火を焚き、15日または16日に送り火で先祖の霊を見送ります。ただし、お盆の日程や行事の方法には地域差があり、7月に行う地域もあります。
お盆は、先祖や亡くなった人を迎えて供養する行事です。怪談とは目的が異なるものの、死者や霊を身近に感じる夏の文化として、怪談との関係が語られることがあります。
お盆の時期に死者や霊を意識する習慣は、夏に怪談が親しまれてきた背景の一つとされています。もっとも、怪談の日が8月13日になった直接の理由は、あくまで最初の催しが開かれた日付です。
日本ではなぜ夏に怪談が親しまれる?
日本で夏に怪談が親しまれる理由として、「怖い話を聞くと体が冷えたように感じるから」と説明されることがあります。
わかりやすい説ですが、夏と怪談の結びつきには、お盆の習慣や江戸時代の芝居など、複数の文化的な背景があります。
お盆や夏の芸能文化との関係
お盆は先祖の霊を迎えて供養する行事であり、怪談は幽霊や怪異、不思議な出来事を物語として伝える文化です。両者は同じものではありませんが、亡くなった人や霊を意識するという点で、夏の時期に結びつけて語られてきました。
また、盆狂言や歌舞伎の涼み芝居といった芸能文化も、夏と怪談の結びつきに関係しています。
盆狂言は、盆の時期などに行われた芝居を指す言葉です。地域や時代によって内容は異なりますが、幽霊や怪異を扱う演目も上演されました。
江戸時代の涼み芝居が怪談を広めた
江戸時代の歌舞伎では、暑い夏に怪談や恐ろしい場面を扱う「涼み芝居」が親しまれました。
幽霊が現れる仕掛けや早替わりなど、観客を驚かせる舞台演出も大きな見どころでした。怖さによって暑さを忘れさせるだけでなく、舞台上で怪異をどのように見せるかという工夫も重ねられています。
代表的な作品として知られているのが『東海道四谷怪談(とうかいどうよつやかいだん)』です。4代目鶴屋南北が手がけ、文政8年(1825年)7月に江戸の中村座で初演されました。
恨みを残して亡くなったお岩が幽霊となって現れる物語で、現在まで繰り返し上演されている日本を代表する怪談作品です。歌舞伎に限らず、映画やテレビドラマなどにも取り入れられてきました。
怪談は時代に合わせて舞台を変えてきた
怪談は昔の幽霊話だけを指すものではありません。人々の暮らしや身近な道具が変わるにつれて、怪談に登場する場所や題材も変化してきました。
古い怪談には、街道、寺、井戸、古い屋敷などがよく登場します。その後、学校や病院、トンネル、電話などを舞台にした話も広まりました。
現在では、スマートフォン、動画配信、SNS、オンラインゲームなど、デジタル機器やインターネットに関係する怪談も語られています。新しい技術やサービスが生活に入ると、それまでになかった怖い話も生まれるようになります。
舞台や道具が変わっても、見えないものや説明のつかない出来事への不安は、怪談の題材として残っています。
怪談には、恨みや後悔をめぐる話も少なくありません。幽霊が現れる理由そのものが物語の中心となり、登場人物の過去や人間関係が少しずつ明らかになる作品もあります。
文章、講談、落語、歌舞伎、映画、テレビ、ラジオ、舞台、音声配信など、怪談は時代に合った方法で伝えられてきました。稲川淳二さんの怪談公演も、声で怖い話を伝えてきた文化を現代の舞台へつなぐ存在の一つです。
Q&A
まとめ
怪談の日は毎年8月13日です。稲川淳二さんの怪談公演が20年目を迎えた2012年、日本記念日協会から認定されました。
日付は、後の怪談ナイトにつながる「川崎ミステリーナイト」が、1993年8月13日にクラブチッタ川崎で開かれたことに由来します。翌年には単独のオールナイト公演が行われ、1995年には全国ツアーへ発展しました。
日本では、お盆の習慣や江戸時代の涼み芝居などを背景に、夏の怪談文化が育ってきました。8月13日は、現代の怪談公演と、長く受け継がれてきた日本の怪談文化を知るきっかけになる日です。
参考情報
- 稲川淳二の怪談ナイト オフィシャルサイト「怪談ナイトの歴史」
- ORICON NEWS「がん乗り越え…稲川淳二念願かなう 8・13は『怪談の日』」
- 國學院大學「なぜ日本では、夏に怪談話をするのですか?」
- 歌舞伎美人「怪談と歌舞伎」
- 文化デジタルライブラリー「東海道四谷怪談」
- 農林水産省「日本の年中行事と食『お盆と精進料理』」

