8月12日は「国際青少年デー」です。英語では「International Youth Day」と表記され、若い世代が抱える課題や、地域・社会での活動を広く知るための国連の国際デーにあたります。
国連総会が8月12日を国際青少年デーとして承認したのは1999年です。最初の国際青少年デーは、翌2000年8月12日に実施されました。日本の国民の祝日には含まれていないため、学校や会社が一斉に休みになる日ではありません。
日付は語呂合わせで選ばれたものではなく、1998年にポルトガルのリスボンで開かれた「青少年に関する世界閣僚会議」に由来します。当初の案では8月8日でしたが、会議中に変更され、最終日の8月12日が国際デーとして提案されました。
国際青少年デーは若者の課題と活動を知る日
国際青少年デーでは、若者が直面している課題に加え、世界各地で行われている活動も取り上げられます。若い世代の声を地域や社会の取り組み、意思決定へ生かす大切さを伝える日でもあります。
教育、仕事、健康、環境、デジタル技術、地域活動など、若者を取り巻くテーマはさまざまです。学ぶ機会や働く環境、意見を伝えられる場は、若い世代の現在の暮らしだけでなく、これからの社会にも関わります。
国連は、若者を将来の担い手として見るだけでなく、現在の社会を支えるパートナーとしても捉えています。国際青少年デーには毎年異なるテーマが設けられ、その時代に注目されている問題や若者の取り組みが紹介されます。
国連が統計上いう「若者」は15歳から24歳
日本語の「青少年」という言葉から、中学生や高校生を思い浮かべる人もいるでしょう。しかし、若者や青少年に含まれる年齢は、国や制度によって異なります。
国連は各国の統計を比較する際、原則として15歳から24歳までを「ユース」としています。この基準は1985年の国際青少年年に向けた準備の中で示され、1981年の国連総会決議で承認されました。
15歳から24歳という区分は、すべての国や制度に共通する絶対的な定義ではありません。加盟国では、それぞれの事情に応じて異なる年齢区分が使われています。また、国際青少年デーに関わる人の年齢を15歳から24歳に限定するものでもありません。
国際青少年デーはなぜ8月12日になった?
8月12日は、1998年にポルトガルの首都リスボンで開かれた青少年に関する世界閣僚会議の最終日です。当初の決議案では8月8日が候補でしたが、会議中の提案によって8月12日に変更されました。
数字の形や語呂合わせではなく、若者に関する世界規模の会議が閉幕した日が由来になっています。
記念日の構想は1991年にも提案されていた
国際青少年デーにつながる構想は、1998年のリスボン会議より前にもありました。
1991年5月27日から29日まで、オーストリアのウィーンで第1回「国連システムにおける世界青少年フォーラム」が開かれました。参加した若者たちは、自分たちの活動を広く知らせ、国連青少年基金への支援を促すため、国際青少年デーを設けるよう勧告しています。
この段階では日付や制度は決まっていませんでした。それでも、若者自身から国際的な記念日を求める声が出たことは、制定までの経緯を知るうえで欠かせない出来事です。
1998年のリスボン会議で8月12日が選ばれた
ポルトガル政府と国連の協力により、1998年8月8日から12日まで、リスボンで第1回の青少年に関する世界閣僚会議が開かれました。
会議には146か国の閣僚や代表者が参加し、各国の青少年政策や若者の社会参加について意見が交わされました。この中で、国際青少年デーを設ける案も検討されています。
当初の決議案に記されていた日付は8月8日でした。その後、マリとボツワナの代表から、会議最終日の8月12日を記念日にする提案が出されます。口頭修正によって日付が変更され、会議では毎年8月12日を国際青少年デーとする決議が採択されました。
8月12日に若者と関係する出来事が偶然起きたからではなく、国際会議の最終日を記念する形で選ばれた日付です。
国連総会が1999年に承認した
リスボン会議で決議が採択された後、国連全体の国際デーとするための手続きが進められました。
1999年12月17日、国連総会は「青少年に関する政策と計画」と題する決議54/120を採択します。この決議により、毎年8月12日を国際青少年デーとするリスボン会議の提案が承認されました。
第1回の国際青少年デーが実施されたのは2000年8月12日です。1991年の世界青少年フォーラムで出された意見から、1998年の閣僚会議、1999年の国連総会決議を経て、現在まで続く国際デーになりました。
1985年の国際青少年年から続く取り組み
国際青少年デーが承認される前から、国連では若者に関する活動が行われていました。その節目の一つが、1985年の「国際青少年年」です。
国際青少年年には「参加・開発・平和」が掲げられ、若者が社会へ参加できる環境や、教育、仕事、生活を支える仕組みに国際的な関心が集まりました。国連が統計上用いる15歳から24歳という年齢区分も、国際青少年年に向けた準備の中で示されたものです。
その後、1995年には「青少年のための世界行動計画」が国連総会で採択され、1999年に国際青少年デーが承認されました。この国際デーには、それまで続いてきた青少年に関する国連の活動を広く伝える役割もあります。
世界行動計画には15の優先分野がある
青少年のための世界行動計画は、各国が若者に関する政策や活動を進める際の国際的な指針です。1995年の採択当初は、10の優先分野が示されました。
教育、雇用、飢餓と貧困、健康、環境、薬物乱用、青少年の非行、余暇活動、少女と若い女性、社会や意思決定への参加が当初の分野です。
その後、グローバル化、情報通信技術、HIV/エイズ、武力紛争、世代間関係の5分野が加わり、現在は15分野で構成されています。それぞれの分野には、若者を取り巻く状況を改善するための行動案がまとめられています。
国際青少年デーでは、この幅広い分野の中から、その時代に関係の深い課題や活動が取り上げられます。
毎年のテーマには時代ごとの課題が表れる
国際青少年デーのテーマは毎年変わります。近年はデジタル技術、持続可能な社会、食料問題、世代間のつながり、地域での活動などが取り上げられてきました。
毎年のテーマは、国連の青少年担当部門が選定しています。その際には、青少年団体や若者に関係する国連機関などから寄せられた意見も参考にされます。
2026年のテーマは「異なる状況、共通の願い」
2026年のテーマは「Different Contexts, Common Aspirations」です。日本語では「異なる状況、共通の願い」などと訳せます。
世界の若者が暮らす国や地域、経済的・社会的な状況は同じではありません。一方で、尊厳や機会、よりよい暮らしを願う思いには共通する部分があります。2026年のテーマは、置かれた状況の違いを認めながら、国境を越えた共通点にも目を向けるものです。
2026年は「世界的な連帯」「共通する課題」「若者による革新」という3つの視点から、各地の若者が持つ経験や取り組みが紹介されます。
毎年のテーマをたどると、その時代の国際社会が若者に関するどのような話題を重視してきたのかも見えてきます。
国際青少年デーが大切にしていること
国際青少年デーが大切にしているのは、若者を支援の対象として見るだけでなく、社会の意思決定や活動に参加する存在として捉えることです。若者自身の経験や提案を取り入れながら、教育、仕事、地域社会などの課題へ取り組む考え方が重視されています。
一口に若者といっても、暮らす国や地域、家庭環境、利用できる教育や仕事の機会は異なります。15歳から24歳という統計上の区分に含まれていても、全員が同じ考え方や課題を持っているわけではありません。
そのため、若い世代を一つのイメージでまとめるのではなく、それぞれが置かれた状況や本人たちの声を知ることが求められます。2026年のテーマにも、異なる背景を尊重しながら、共通する願いや課題を見つけていく考え方が表れています。
国際青少年デーは、若者について一方的に語る日ではなく、若者とともに社会のあり方を考えるための国際デーといえるでしょう。
Q&A
まとめ
8月12日の国際青少年デーは、若者が抱える課題や社会での活動を知り、その声を地域や社会へ生かす大切さを考える国連の国際デーです。
制定につながる構想は1991年の世界青少年フォーラムで示されました。その後、1998年にポルトガルのリスボンで開かれた青少年に関する世界閣僚会議で、8月12日を国際青少年デーとする決議が採択されます。
日付は語呂合わせではありません。当初の8月8日案が会議中に変更され、最終日の8月12日が選ばれました。1999年に国連総会が提案を承認し、2000年から毎年実施されています。
毎年掲げられるテーマを通じて、教育、仕事、環境、社会参加など、その時代の若者に関わる幅広い話題が取り上げられています。若者を将来の担い手としてだけでなく、現在の社会をともにつくる存在として考える日でもあります。
参考情報
- 国連広報センター「歴史的視点-『国際青少年デー(8月12日)』」
- 国際連合「International Youth Day – Background」
- 国際連合「World Conference of Ministers Responsible for Youth Concludes in Lisbon」
- 国連デジタルライブラリー「Policies and programmes involving youth:Resolution A/RES/54/120」
- 国際連合「Frequently asked questions|United Nations For Youth」
- 国連経済社会局「World Programme of Action for Youth」
- 国連経済社会局「International Youth Day 2026 “Different Contexts, Common Aspirations”」
