「牛乳」と表示できるのは、生乳だけを原料とし、脂肪分などの成分を調整していない商品です。生乳100%であっても、一部の成分を取り除けば「成分調整牛乳」「低脂肪牛乳」「無脂肪牛乳」という別の名称になります。
スーパーには加工乳や乳飲料も並んでいます。見た目や色はよく似ていますが、使える原料や作り方は同じではありません。パッケージにある「種類別名称」を見ると、それぞれの違いを確認できます。
何気なく見ている呼び方からも、原料や作り方の違いを読み取れます。
「牛乳」と表示できる条件には決まりがある
容器の正面に大きく書かれた商品名とは別に、牛乳類のパッケージには「種類別名称」が表示されています。
日本では、原料や成分、作り方に応じて、パッケージに表示できる名称が分けられています。商品の印象だけで「牛乳」と表示することはできず、定められた条件に合った名称が使われます。
種類別「牛乳」と表示できるのは、生乳だけを原料とし、水やほかの原材料を加えず、乳脂肪分などの成分を取り除いていない商品です。さらに、乳脂肪分や無脂乳固形分にも基準があります。
ここでいう生乳とは、牛から搾ったままで、まだ処理や加工をしていない乳を指します。市販される牛乳類は、その生乳を原料として、定められた製造基準に沿って殺菌などの工程を経ています。
「牛乳」という名称は、単に牛の乳を使っていることだけでなく、原料と成分の条件を満たしていることまで示しています。
生乳100%でも名称が違うのはなぜ?
生乳100%と書かれていれば、すべて種類別「牛乳」になるように思えるかもしれません。しかし、生乳だけを原料としていても、その後に成分を調整すれば表示上の名称は変わります。
生乳100%は原料の内容を示す言葉です。一方、「牛乳」「成分調整牛乳」「低脂肪牛乳」といった名称は、原料だけでなく成分や作り方まで含めて分けられています。
成分調整牛乳
成分調整牛乳は、生乳から水分や乳脂肪分などの一部を取り除き、成分を調整した商品です。別の原料を加えて作るのではなく、原料には生乳だけが使われます。
種類別「牛乳」との違いは、生乳に含まれていた成分へ調整を加えていることです。乳脂肪分だけでなく、水分の一部を取り除いて濃さを調整する場合などもあります。
パッケージに「生乳100%」と表示されていても、種類別名称が「成分調整牛乳」であれば、成分無調整の牛乳とは作り方が異なります。
低脂肪牛乳と無脂肪牛乳
低脂肪牛乳と無脂肪牛乳も、生乳だけを原料とした商品です。生乳から乳脂肪分の一部または多くを取り除くことで、脂肪分を調整しています。
乳脂肪分を一定の範囲まで減らしたものが低脂肪牛乳です。さらに少なくすると、表示上は無脂肪牛乳に分けられます。
どちらも生乳100%ですが、もとの生乳から乳脂肪分を調整しているため、種類別「牛乳」とは表示されません。
日常会話では、これらをまとめて牛乳と呼ぶこともあります。ただし、容器に記載される正式な区分では、それぞれ別の名称です。
加工乳と乳飲料は何が違う?
加工乳と乳飲料も、牛乳売り場でよく見かける商品です。白い見た目の商品も多く、種類別「牛乳」や成分調整牛乳との違いが分かりにくい場合があります。
両者は、使用できる原料によって分けられています。
加工乳は乳や乳製品を組み合わせたもの
加工乳は、生乳や牛乳に、脱脂粉乳、クリーム、バターなどの乳製品を加えて作られます。
乳脂肪分を高めて濃厚な味にした商品や、脂肪分を抑えた商品など、組み合わせによって特徴は変わります。生乳だけを原料とする牛乳や成分調整牛乳とは違い、複数の乳・乳製品を使用できるのが加工乳です。
一方、コーヒーや果汁など、乳以外の原料を加えた商品は乳飲料に分けられます。
乳飲料は乳以外の原料も加えられる
乳飲料は、乳や乳製品を主な原料としながら、コーヒー、果汁、ビタミン、カルシウム、食物繊維などを加えられる商品です。
コーヒー入りの飲料や、特定の栄養成分を加えた白い飲料なども、乳飲料に分類される場合があります。
見た目が種類別「牛乳」に似ていても、乳以外の原料が使われる商品は、表示上「乳飲料」に分けられます。
乳飲料という呼び方は、品質の良し悪しを表すものではありません。原料や作り方が牛乳や加工乳とは異なることを知らせるための名称です。
生乳100%は「搾ったまま」という意味ではない
生乳100%という表示は、その商品の原料が生乳だけであることを示しています。牛から搾った乳を、そのまま容器へ入れて販売しているという意味ではありません。
市販される牛乳類は、定められた製造基準に沿って殺菌などの工程を経ます。商品によっては、脂肪分が分離しにくくなるよう均質化する処理も行われます。
生乳100%が示しているのは、原料として水や脱脂粉乳などを加えていないことです。加熱や品質管理のための処理まで行われていないという意味ではありません。
「成分無調整」と「無加工」も同じではありません。成分無調整とは、生乳に含まれる脂肪分などを取り除いたり加えたりしていないことを表します。
パッケージのどこを見れば違いが分かる?
商品の区分を確かめたいときは、容器にある「種類別名称」を確認します。
正面の商品名に「ミルク」や独自の商品名が大きく書かれていても、一括表示欄には次のような正式な名称が記載されています。
- 牛乳
- 成分調整牛乳
- 低脂肪牛乳
- 無脂肪牛乳
- 加工乳
- 乳飲料
あわせて原材料名を見ると、何から作られているかも分かります。
種類別「牛乳」なら、原材料は生乳です。加工乳には生乳や脱脂粉乳などの乳製品が並び、乳飲料には乳成分以外の原料が表示されることがあります。
味や成分を比べたいときは、正式な区分に加えて原材料名や栄養成分表示を見ると、それぞれの特徴をつかみやすくなります。
呼び方が細かく分けられている理由
似た商品で名称が分けられているのは、原料や作り方の違いを見分けやすくするためです。
乳を使った飲み物をすべて「牛乳」と表示できると、生乳だけで作られた商品なのか、乳製品を組み合わせた商品なのか、ほかの原料が加えられているのかが分かりにくくなります。
種類別名称があれば、パッケージを見るだけで商品の大まかな特徴を確認できます。
呼び方は優劣を示すものではなく、原料や作り方の違いを伝える表示です。濃厚な味を楽しめる加工乳や、栄養成分を加えた乳飲料など、それぞれに異なる特徴があります。
同じ売り場に並ぶ似た商品でも、名称を見ると中身の違いが分かるようになっているのです。
Q&A
まとめ
種類別「牛乳」と表示できるのは、生乳だけを原料とし、脂肪分などの成分を調整していない商品です。生乳100%であっても、成分を取り除けば成分調整牛乳や低脂肪牛乳など、別の名称になります。
加工乳は乳や乳製品を組み合わせたもの、乳飲料は乳以外の原料も加えられる商品です。見た目が似ていても、原料や作り方によって表示上の区分は異なります。
商品の違いを確かめたいときは、容器にある「種類別名称」を見ると分かりやすいでしょう。普段見慣れた呼び方には、中身を正確に伝える役割があります。
参考情報
- 厚生労働省「乳及び乳製品の成分規格等に関する命令」
- 厚生労働省「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令に基づく表示について」
- Jミルク「牛乳類の種類」
- Jミルク「牛乳類の表示規定」
