シマウマと聞くと、まず思い浮かぶのは白黒の縞模様です。遠くからでもすぐにわかる姿ですが、よく見ると不思議な動物でもあります。馬に似ているのに家畜としてはあまり見かけず、縞の入り方も一頭ずつ違います。
シマウマは、ウマ科・ウマ属に含まれるアフリカの動物です。現生のシマウマは大きく、サバンナシマウマ、グレビーシマウマ、ヤマシマウマの3種に分けられます。見た目は似ていますが、暮らす場所や体の大きさ、縞模様の細かさには違いがあります。
白黒の縞にはどんな意味があるのか。馬とロバならどちらに近いのか。どんな鳴き声を出すのか。身近な疑問から見ていくと、シマウマは「縞模様の馬」だけでは説明できない動物だとわかります。
シマウマは馬やロバと同じウマ属の仲間
シマウマは、馬やロバと同じウマ科・ウマ属に含まれる動物です。馬だけに近いわけでも、ロバだけに近いわけでもなく、同じ仲間から分かれた野生の動物と見ると、馬やロバとの関係がつかみやすくなります。
馬にもロバにも近いが同じではない
見た目の印象では、シマウマは馬に似ています。たてがみや体の形、走る姿は馬を連想させます。一方で、大きめの耳、たくましい体つき、野生での警戒心の強さなどを見ると、ロバに近い印象を受ける部分もあります。
ただし、「馬とロバのどちらに近いか」を一言で決めるのは簡単ではありません。シマウマにも複数の種類があり、ウマ属の中での関係は単純な一直線ではないからです。
シマウマは馬とロバの中間というより、馬・ロバと同じウマ属にいる野生の仲間と見るほうが合っています。見た目は馬に似ていても、暮らし方や性質まで同じではありません。
家畜化された馬とは性質が違う
馬と似ているからといって、馬のように家畜化しやすいわけではありません。シマウマは警戒心が強く、行動も予測しにくい動物です。身を守るために噛んだり蹴ったりする力もあり、人が長く扱う家畜には向きにくかったと考えられています。
もちろん、人に慣れる個体がまったくいないわけではありません。けれど、馬のように何世代にもわたって安定して人の暮らしに組み込まれた動物とは違います。
そのため、シマウマは「縞模様の馬」ではなく、野生の環境で生き残る性質を強く持ったウマ科動物として見ると、違いが見えてきます。
シマウマの縞模様は一頭ずつ違う
シマウマの縞模様は、どれも同じように見えて、実は一頭ずつ違います。人間の指紋のように個体識別に使えるほどで、研究者が写真から個体を見分ける際にも利用されます。
この特徴は、群れで暮らすシマウマを見るうえでも重要です。たくさんのシマウマが集まると白黒の線が重なり合い、遠くから見ると一頭一頭の輪郭がわかりにくくなります。その一方で、近くで見ると個体ごとに模様が違うため、観察するときの大きな手がかりになります。
縞模様は体の場所によっても入り方が変わります。首や胴体、脚、顔で線の向きや密度が違い、種類によっても印象が変わります。シマウマの縞は、見た目の印象だけでなく、生き方や観察の手がかりにも関わる特徴です。
シマウマは白地に黒か、黒地に白か
「シマウマは白地に黒い縞なのか、黒地に白い縞なのか」という疑問は、よく語られる話題です。見た目だけなら、白い体に黒い線が入っているようにも見えます。
この点は、毛の見え方と皮膚の色を分けて考えるとわかりやすくなります。シマウマの毛並みは白地に黒い縞と見られることが多い一方で、毛の下の皮膚は黒いと説明されます。
そのため、見た目では「白に黒い縞」と言いやすいものの、体の仕組みとしては黒い皮膚の上に白い毛と黒い毛が生えていると考えるほうが近くなります。シマウマの白黒は、見た目の印象と体の仕組みで答えが少し変わるところに特徴があります。
縞模様はなぜあるのか
シマウマの縞模様には、昔からさまざまな説があります。敵から見つかりにくくするため、群れの中で輪郭をわかりにくくするため、体温を調節するため、仲間を見分けるためなど、いくつもの考え方が語られてきました。
現在、特に有力な説の一つが「吸血性のハエを避けるため」という考え方です。研究では、アブなどの吸血性のハエがシマウマに近づいても、馬に比べて着地に成功しにくい様子が観察されています。
ただし、「縞の理由はこれだけ」と言い切るのは慎重にしたいところです。吸血性の虫を避ける説はよく支持されていますが、縞模様の役割には複数の面がある可能性があります。シマウマの縞は、見た目の美しさだけでなく、暮らす環境の中で役に立ってきた特徴と考えられます。
シマウマには主に3つの種類がいる
シマウマとひとことで言っても、すべて同じ種類ではありません。代表的なのは、サバンナシマウマ、グレビーシマウマ、ヤマシマウマの3種です。
サバンナシマウマは、3種の中でも最も広く知られ、数も多い種類です。東アフリカから南部アフリカの草原やサバンナ、やぶ地などに暮らします。多くの人が動物園や映像で見るシマウマのイメージは、このサバンナシマウマに近いことが多いです。
グレビーシマウマは、シマウマの中でも大きく、耳が大きく、縞が細かいことで知られます。主にケニアやエチオピアの乾燥した地域に暮らし、3種の中で最大のシマウマとされます。
ヤマシマウマは、その名の通り山地や乾燥した岩場に適応した種類です。サバンナの広い草原で群れるイメージとは少し違い、山がちな環境で暮らす姿が特徴になります。
群れで暮らすことにも理由がある
シマウマは群れでいる姿がよく知られています。広い草原では、仲間と一緒に移動したり、草を食べたりすることで、周囲の危険に気づきやすくなります。
サバンナでは、ライオンやハイエナなどの肉食動物に狙われることがあります。群れで暮らすと、複数の目と耳で周囲を警戒できます。また、一頭だけでいるよりも、敵が狙いを定めにくくなる可能性もあります。
シマウマはヌーなど他の草食動物と一緒に見られることもあります。違う種類の動物が同じ場所で草を食べると、それぞれが危険を察知する手がかりになります。シマウマの暮らしは、単独で強く生きるというより、広い環境の中で群れや周囲の動物と関わりながら成り立っています。
シマウマはどんな鳴き声を出す?
シマウマの鳴き声は、馬のような「ヒヒーン」だけを想像すると少し違います。種類や場面によって、吠えるような声、鼻を鳴らす音、いななきに近い声などを使い分けます。
吠えるような声や鼻音も使う
シマウマは、ロバのように長く響く鳴き声、犬が吠えるように聞こえる声、鼻を鳴らす音、短く息を吐くような音を出します。英語では、braying(ロバのように鳴く声)、barking(吠えるような声)、snorts(鼻を鳴らす音)、whuffs(短く息を吐くような音)などと説明されることがあります。
また、英語圏の解説では、シマウマの接触音を “a-ha, a-ha, a-ha” や “kwahaah” のように表す例もあります。日本語では「ワンワン」とも「ヒヒーン」とも言い切りにくい、少し鼻にかかった吠え声のような音と考えると伝わりやすいでしょう。
見た目は馬に近くても、鳴き声まで馬と同じとは限りません。シマウマの声は、馬らしさとロバらしさ、さらに吠えるような響きが混ざったように聞こえることがあります。
耳や表情もコミュニケーションになる
シマウマのやり取りは、鳴き声だけではありません。耳の向き、目の開き方、口を開けるか、歯を見せるかといった表情も、仲間への合図になります。
たとえば、耳を立てて周囲を見るしぐさは警戒や注意を示すことがあります。反対に、耳を伏せたり、歯を見せたりする動きは、相手への威嚇や不快感を表す場合があります。
シマウマを見るときは、縞模様だけでなく、耳の向きや群れの動きにも注目すると、仲間同士でどうやり取りしているのかが見えやすくなります。
シマウマを見るときに注目したいところ
動物園や映像でシマウマを見るときは、縞模様だけでなく、耳やたてがみ、尻尾、群れの距離感にも注目すると楽しみが増えます。
顔の縞は細かく、体の縞は大きく見えることがあります。脚の縞は向きが変わり、遠目には不思議なリズムを作ります。種類によって耳の大きさや体つきも違うため、見比べてみると「シマウマ」と一括りにできない個性が見えてきます。
また、群れの中でどの個体が周囲を見ているか、子どもがどこにいるか、近づいたり離れたりする距離にも意味があります。シマウマは模様が目立つ動物ですが、その暮らし方まで見ると、さらに興味を持って観察できます。
Q&A(よくある疑問)
まとめ
シマウマは、白黒の縞模様で知られるアフリカのウマ科動物です。馬やロバと同じウマ属の仲間ですが、家畜化された馬とは違い、野生で生きるための警戒心や群れでの暮らしを持っています。
現生のシマウマには、サバンナシマウマ、グレビーシマウマ、ヤマシマウマの3種があり、暮らす場所や体つき、縞模様の細かさに違いがあります。縞模様は一頭ずつ異なり、個体識別にも使えるほどです。
なぜ縞があるのかについては複数の説がありますが、吸血性のハエを避ける働きがあるという説が特に注目されています。また、シマウマは吠えるような声や鼻を鳴らす音などで仲間とやり取りします。白黒の見た目だけでなく、種類ごとの違い、鳴き声、群れの行動まで知ると、シマウマがただ目立つだけの動物ではないことが見えてきます。
参考情報
- San Diego Zoo Animals & Plants「Zebra」
- San Diego Zoo Wildlife Alliance「Learning Their Lines」
- Encyclopaedia Britannica「Zebra」
- Smithsonian’s National Zoo & Conservation Biology Institute「Grevy’s zebra」
- Library of Congress「Can zebras be domesticated?」
- PLOS ONE「Benefits of zebra stripes: Behaviour of tabanid flies around zebras and horses」
- London Zoo「10 things you didn’t know about zebras」
