玉ねぎの外皮はなぜ茶色くなる?成熟して薄皮へ変わる仕組み

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スーパーに並ぶ玉ねぎは、表面が茶色く乾いた薄皮に包まれています。ところが、その皮をむくと中から出てくるのは白くみずみずしい部分です。「外側だけ、なぜあんなに茶色くなるのだろう」と不思議に感じるかもしれません。

あの薄皮は、別の皮が後から作られて貼り付いたものではありません。玉ねぎのいちばん外側にある層が、成熟に伴う乾燥や老化、細胞の変化を経て紙のような外皮へ変わったものです。

さらに、黄色系の玉ねぎが茶色く見える背景には、外側に多く含まれるケルセチンなどのフェノール性化合物と、その酸化も関係しています。

目次

玉ねぎの茶色い皮は、もともと外側の層だった

玉ねぎを切ると、何枚もの層が重なっていることが分かります。この一枚一枚は「鱗片」と呼ばれ、外側にある鱗片の一部が、やがて薄く乾いた外皮へ変化します。

実はこの鱗片は、植物学的には葉が変化した組織です。普段食べている白く厚い部分も、その外側にある薄皮も、もとをたどれば葉に由来する組織です。見た目は大きく違っていても、白い中身と茶色い薄皮は完全に別のものではありません。

玉ねぎが成熟していくと、外側の組織では水分が減り、細胞の老化や死などの変化が進みます。外皮ができる過程には、組織の乾燥、細胞の老化や死、褐色化といった変化が伴います。

外皮形成は収穫後だけに起こるものでもありません。成熟した玉ねぎでは、収穫時点ですでに乾いた外皮ができていることがあり、その後の乾燥や貯蔵によって、さらに外側の鱗片が乾燥皮へ変化する場合があります。

研究文献では、成熟後に外側の1〜3枚程度の鱗片が乾いて薄い保護皮になると説明されています。実際の枚数や皮の厚さは、品種や成熟度、栽培条件、収穫後の乾燥状態などによって変わります。

外皮はただ風に当たって乾いているだけではない

収穫した玉ねぎを置いておけば、表面から水分が失われます。そこで「茶色い皮は、外側が乾いただけなのでは」と考えたくなります。

しかし、外皮ができる過程には乾燥だけでなく、玉ねぎ自身の組織の変化も関係しています。

外側の鱗片では、単に空気に触れた表面から水が抜けるだけでなく、組織の内部でも水分の減少や細胞死に関わる変化が起こります。

玉ねぎの外皮は「表面の水が抜けて紙のようになっただけ」のものではなく、成熟する外側の組織で乾燥・老化・細胞死などが重なりながら形成されていく乾燥皮です。

こうして外側の組織が乾いた外皮へ変わると、その部分は中のみずみずしい鱗片を覆う保護層としても働きます。

キュアリングは「皮を一から作る作業」ではない

長く保存する玉ねぎでは、収穫後に外皮や首の部分を乾燥させることがあります。こうした処理はキュアリング(curing/収穫後の乾燥処理)と呼ばれます。

玉ねぎでは成熟中から外側の乾燥や外皮形成が始まっており、キュアリングは外皮や首をさらに乾かして、貯蔵しやすい状態へ整える処理です。

一般的な貯蔵用玉ねぎと、新玉ねぎでは収穫後の扱いも異なります。普通の玉ねぎは収穫後に乾燥させるのに対し、新玉ねぎは収穫後すぐに出荷されます。

そのため、新玉ねぎでは外側にも水分が残り、貯蔵用玉ねぎほど乾いた茶色い皮が目立たないものがあります。みずみずしい見た目には、品種だけでなく収穫後の扱い方も関係しています。

茶色くなるのはケルセチンなどの成分も関係している

では、なぜ黄色系の玉ねぎの外皮は透明や白ではなく、茶色っぽくなるのでしょうか。

乾燥した外皮には、ケルセチンとその関連成分を含むフェノール性化合物が多く含まれています。こうした成分は、内側のみずみずしい鱗片より、外側の乾いた皮に多いことが報告されています。

外皮が形成される過程では、細胞が老化して死ぬことで、それまで細胞内で分けられていた成分同士が接触しやすくなります。そこでフェノール性化合物の酸化などが起こり、褐色化に関係すると考えられています。

玉ねぎが茶色い皮になるまでには、組織の乾燥、細胞の老化や死、フェノール性化合物の酸化などによる褐色化といった複数の変化が関わっています。

水分がなくなっただけで、そのまま茶色になるのではありません。外側の組織が乾いた外皮へ変化する過程で、色も変わっていきます。

ケルセチンそのものが「茶色い色素」という意味ではない

玉ねぎの外皮にケルセチンが多いからといって、「ケルセチンそのものが茶色い色素だから皮が茶色い」とは説明できません。

外皮にはケルセチンを含む複数のフェノール性化合物が存在し、それらの蓄積や酸化などが褐色化に関係しています。

つまり、玉ねぎの茶色い外皮はケルセチン一種類だけで説明できる色ではありません。 外側の組織が外皮へ変わる過程で起こる複数の変化が、あの茶色に関わっています。

乾燥後の外皮には品種による色の違いがある

スーパーでは茶色い皮の玉ねぎをよく見かけますが、玉ねぎの外皮には品種による違いがあります。

黄色・褐色系だけでなく、白い外皮を持つ品種や、赤紫色の外皮を持つ品種もあります。赤玉ねぎの赤紫色には、アントシアニンと呼ばれる色素が関係しています。

乾燥した外皮がすべて茶色になるわけではなく、どんな色になるかは品種が持つ色素や成分にも左右されます。

私たちが日常的によく目にする黄色系の玉ねぎでは茶色い乾燥皮が一般的なので、「玉ねぎの皮=茶色」という印象が強くなっています。

茶色い薄皮は玉ねぎを守る包装のようなもの

料理ではむいて捨ててしまう薄皮ですが、玉ねぎを保存している間には大切な働きがあります。

玉ねぎは収穫されたあとも生きた植物組織で、内側の鱗片には多くの水分が含まれています。乾いた外皮は、内部から水分が失われるのを抑える働きを持っています。

また、外皮は病原体が内部へ入り込みにくくする外側の障壁としても働きます。皮そのものが壁になるだけでなく、外皮に含まれる成分も防御に関わっています。

長期保存する玉ねぎでは、収穫後に外皮や首の部分を十分に乾かし、貯蔵に向いた状態へ整えることが重視されます。

茶色く乾いている部分は、単に「古くなったから残っている皮」ではありません。外側の組織が乾燥皮へ変わった結果、中のみずみずしい部分を覆う保護層としても機能しています。

Q&A

茶色くなっているのは腐っているからですか?

一般的な玉ねぎの乾いて薄い茶色の外皮は、腐敗ではありません。成熟や乾燥に伴って形成された外皮です。

一方、中まで軟らかくなっている、異臭がする、水っぽく変色している、カビが広がっているといった状態は、通常の外皮形成とは別の傷みが起きている可能性があります。「外側が乾いて茶色いこと」と「腐って変色していること」は別の現象です。

新玉ねぎに茶色い皮が少ないのはなぜですか?

一般的な貯蔵用玉ねぎは収穫後に乾燥させるのに対し、新玉ねぎは収穫後すぐに出荷されます。

そのため、外側にも水分が残り、貯蔵用玉ねぎのような乾いた紙状の外皮が目立たないものがあります。新玉ねぎのみずみずしい見た目には、収穫後にどのような状態で出荷されるかも関係しています。

茶色い皮は何枚くらいできるのですか?

研究文献では、成熟後に外側の1〜3枚程度の鱗片が乾いて保護皮になると説明されています。

すべての玉ねぎで同じ枚数になるわけではなく、品種、成熟度、栽培条件、収穫後の乾燥状態などによって外皮の状態は変わります。

まとめ

玉ねぎの茶色い薄皮は、最初から中身とは別に作られていた皮ではありません。葉が変化してできた外側の鱗片が、成熟に伴って乾燥し、老化や細胞死などの変化を経ながら外皮になったものです。

外皮形成は収穫後だけに始まるものではなく、成熟中から進みます。収穫後のキュアリングは、すでに始まっている乾燥をさらに進め、外皮や首を貯蔵に適した状態へ整える処理です。

黄色系の玉ねぎでは、外側に多く含まれるケルセチンなどのフェノール性化合物と、その酸化も褐色化に関係しています。乾燥だけで茶色になるのではなく、外側の組織が皮へ変わる過程で複数の変化が起きています。

さらに、乾いた外皮は内部から水分が失われるのを抑え、病原体が入り込みにくくする外側の障壁としても働きます。

次に玉ねぎの皮をむくときは、白い中身に別の素材が付いているのではなく、もともと玉ねぎ自身の外側だった葉由来の組織が、乾いた保護層へ変わっていると考えると、あの茶色い薄皮の見え方も少し変わるかもしれません。

参考情報

  • Galsurker, O., Doron-Faigenboim, A., Teper-Bamnolker, P., Daus, A., Fridman, Y., Lers, A., & Eshel, D. (2017). Cellular and Molecular Changes Associated with Onion Skin Formation Suggest Involvement of Programmed Cell Death.
  • Wu, S., Ning, F., Wu, X., & Wang, W. (2016). Proteomic Characterization of Differential Abundant Proteins Accumulated between Lower and Upper Epidermises of Fleshy Scales in Onion (Allium cepa L.) Bulbs.
  • Yoo, K. S., Lee, E. J., & Patil, B. S. (2013). Changes in quercetin glucoside concentrations of onion bulbs by scales, during storage, and in sprouting leaves exposed to UV.
  • 農林水産省「新玉ねぎと普通の玉ねぎの違いについて教えてください。」
  • 農林水産省「タマネギ種 審査基準」

この記事を書いた人

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