キュリオスティコーラは、英国の飲料メーカー「フェンティマンス」が手がける炭酸飲料です。発酵ショウガ根抽出液を使い、コーラらしい甘さにジンジャーやシナモンを思わせる風味を重ねています。
「世界一おいしいコーラ」と紹介されることもありますが、公式な世界大会や共通の審査基準で1位に選ばれた商品ではありません。英国紙による過去の評価でも点数は分かれており、正式な称号というより、個性的な味を印象づける呼び名と考えられます。
植物原料を使った製法や、貸付の担保だったレシピから始まった創業史をたどると、身近なコーラとは異なる背景が見えてきます。
キュリオスティコーラとはどのような飲み物?
キュリオスティコーラは、昔の伝統的なコーラから着想を得て作られた英国生まれの飲み物です。フェンティマンス公式サイトでは、シナモンを含む植物由来の素材を使った、濃いカラメル色のコーラとして紹介されています。
日本正規代理店の商品名は「キュリオスティ・コーラ」です。検索時には中黒を入れない「キュリオスティコーラ」や、音を伸ばした「キュリオスティーコーラ」という表記も見られますが、国内の商品ページでは「キュリオスティ・コーラ275ml」と掲載されています。
日本向け275ミリリットル商品の原材料は、発酵ショウガ根抽出液、砂糖、炭酸、カラメル色素、香料、リン酸、カフェイン、ステビア由来の甘味料です。発酵ショウガ根抽出液には、水あめ、ショウガ根、濃縮洋ナシ果汁、酵母が使われています。原産国はイギリスです。
英語の「Curiosity」は「好奇心」という意味です。商品の名前にも、定番品とは異なるコーラへの興味を誘う言葉が使われています。
独特の風味を生むボタニカル醸造
キュリオスティコーラの特徴を支えているのが、フェンティマンスの「ボタニカル・ブリューイング」です。日本語では「ボタニカル醸造」や「植物原料を使った醸造方法」と表現できます。
ボタニカルとは、ハーブ、香辛料、植物の根、果実など、植物に由来する素材のことです。フェンティマンスでは、原料の加熱、酵母の添加、ショウガによる風味づけ、冷却や熟成といった複数の工程を重ねています。
醸造が始まるとショウガを加え、最低7日間かけて風味を引き出します。その間は12時間ごとに味を確かめ、酵母の働きが終わった後には、植物原料から作ったベースを冷却して熟成させます。
その後、風味のベースや水、砂糖を合わせ、炭酸を加えて仕上げます。原料の加熱から最低7日間の醸造、冷却、熟成まで段階を重ねる点が、この製法の特徴です。
コーラにショウガが使われている
日本向け商品の原材料表示では、発酵ショウガ根抽出液が冒頭に記載されています。完成後に少量のショウガ風味を足すだけではなく、商品の土台となる原料の一つに使われていることが分かります。
ショウガ入りと聞くと、強い辛さを持つジンジャービアを想像するかもしれません。しかし、日本正規代理店では、やさしいコーラの味にジンジャーのスパイスを加え、すっきりした後味に仕上げた商品と紹介しています。
ショウガの刺激を前面に出した飲み物というより、コーラの甘さへ軽いスパイス感を重ねた味と捉えると、商品の特徴をつかみやすくなります。
シナモンが味に厚みを加える
フェンティマンス公式サイトでは、キュリオスティコーラに使われる代表的な植物原料としてシナモンが挙げられています。
公式の試飲説明では、濃いカラメル色、甘い香り、複数の風味が重なる厚みのある飲み口が特徴です。シナモンは強く主張する味ではなく、コーラに穏やかな温かさを加える素材として説明されています。
身近なコーラとは香りの方向が異なるため、最初の一口で違いを感じる人もいるでしょう。クラフトコーラやスパイス系の炭酸飲料が好きな人は、定番品との香りの違いを比べられます。
「世界一おいしい」という評判は本当?
キュリオスティコーラについて調べると、「世界一おいしいコーラ」という表現を目にすることがあります。しかし、世界各国の商品を同じ基準で審査した公式ランキングの結果ではありません。
2014年には英国紙ガーディアン(The Guardian)によるブラインド試飲企画、2016年にはコーラの飲み比べ記事で評価されていますが、いずれも「世界一」と正式に認定したものではありません。
2016年の記事では、キュリオスティコーラが10点満点中8点と評価されました。同じ記事で比較対象として挙げられた通常のコカ・コーラは5点です。価格が高く、慣れが必要な味である一方、定番のコーラより複雑な風味を持つ商品として紹介されました。
一方、2014年に子どもと大人の参加者が行ったブラインド試飲では、キュリオスティコーラは10点満点中5点でした。参加者からは、果物や花、エルダーフラワー、ゴボウ、ハチミツなどを思わせるという感想が出ています。同じ企画でコカ・コーラは9点でした。
同じ新聞社の記事でも、試飲の方法や参加者、比較する商品が変われば評価は異なります。「世界一おいしい」という言葉は客観的な順位ではなく、定番品とは違う味を強調する呼び名と考えられます。
フェンティマンスは担保のレシピから始まった
キュリオスティコーラを作るフェンティマンスは、貸付の担保として受け取ったジンジャービアのレシピから始まりました。
1905年、英国のクレックヒートンで製鉄業に携わっていたトーマス・フェンティマンは、同業者から融資を頼まれます。お金を貸す際、植物原料を使ったジンジャービアのレシピを担保として受け取りました。
貸したお金は返済されず、トーマスの手元にはレシピが残ります。そこでジンジャービアの製造と販売を始めたことが、フェンティマンスの出発点です。最初の商品はコーラではありませんでした。
創業時のジンジャービアと現在のキュリオスティコーラには、ショウガを使うという共通点があります。ただし、両者は同じ商品ではなく、キュリオスティコーラは伝統的な製法を別の飲み物へ活かした製品です。
飲み物は馬車で家庭へ届けられていた
創業当時、トーマスは完成したジンジャービアを陶器製の容器へ入れ、馬車で各家庭を回りながら販売していました。
その容器は「グレイ・ヘンズ」と呼ばれていました。英語の「Grey Hens」を直訳すると「灰色のめんどり」です。店舗の棚からボトルを選ぶ現在とは異なり、飲料を家庭へ直接届ける販売方法が使われていました。
当初の容器には現在の犬のロゴはなく、フェンティマン家の名字が記されていたと公式サイトにあります。
ボトルの犬は創業者の愛犬フィアレス
フェンティマンスのボトルに描かれている犬は、架空のマスコットではありません。トーマス・フェンティマンが飼っていた愛犬「フィアレス」がモデルです。
フィアレスの肖像は、現在もフェンティマンスのロゴに使われています。商品のラベルには、創業者と愛犬の歴史が残されているのです。
キュリオスティコーラはどのような味?
公式の試飲説明では、キュリオスティコーラは濃いカラメル色をしており、甘い香りと複数の風味が重なる厚みのある飲み口が特徴とされています。シナモンの穏やかな温かさが加わり、コーラの風味が口に残る味わいです。
日本正規代理店は、ノスタルジックでやさしいコーラの味にジンジャーのスパイスを効かせ、ハーブによるすっきりした後味を持つ商品と紹介しています。
定番のコーラをそのまま濃くした味ではなく、甘さにショウガやシナモンを思わせる香りが加わった飲み物です。軽い甘さと強い爽快感を期待すると、植物原料の香りが目立つと感じることもありそうです。
フェンティマンス公式では、飲む前によく冷やす方法が案内されています。氷を入れるかどうかは好みによりますが、まずは冷やした状態で試すと、公式が想定する飲み方に近づきます。
Q&A
まとめ
キュリオスティコーラは、英国のフェンティマンスが手がけるボタニカル醸造のコーラです。発酵ショウガ根抽出液を使い、コーラの甘さにジンジャーやシナモンを思わせる風味を重ねています。
フェンティマンスは、貸付の担保として受け取ったジンジャービアのレシピから始まりました。馬車で販売していた時代の陶器製容器「グレイ・ヘンズ」や、創業者の愛犬フィアレスを描いたロゴにも会社の歴史が残っています。
「世界一おいしい」は公式な順位ではありません。ショウガを使う製法、スパイスを思わせる風味、担保のレシピから始まった創業の背景に特徴を持つ、英国生まれのコーラです。
参考情報
- フェンティマンス公式サイト「Curiosity Cola」
- フェンティマンス公式サイト「Botanical Brewing」
- フェンティマンス公式サイト「The History of Fentimans」
- フェンティマンス公式サイト「Contact/FAQs」
- オーブ株式会社「フェンティマンス キュリオスティ・コーラ275ml」
- 英国紙ガーディアン「Independent and craft colas – taste test」
- 英国紙ガーディアン「Cola taste test: the best and worst alternatives to the ‘real thing’」
