グリッチとは?ゲームでの意味とバグ・裏技との違い

当ページのリンクには広告が含まれています。

ゲームを遊んでいると、「壁を抜けられた」「敵が動かなくなった」「本来行けない場所へ入れた」といった不思議な現象に遭遇することがあります。

こうした挙動について使われるのが「グリッチ」という言葉です。

グリッチはゲームだけの専門用語ではありませんが、ゲームでは通常とは異なる動作や、システム上の問題によって現れる奇妙な挙動を表す言葉として広く使われています。

また、ゲームやコミュニティによっては、不具合によって起こる現象そのものだけでなく、その現象をプレイヤーが意図的に再現・利用する行為まで「グリッチ」と呼ばれます。

ただし、「グリッチ=バグ」と完全に同じ意味ではありません。グリッチを利用した操作が「裏技」「バグ技」と呼ばれることもあり、「チート」との境界が話題になるケースもあります。

グリッチとは何なのか、なぜゲームで発生するのか、似た言葉との違いまで見ていきましょう。

目次

グリッチとは?ゲームだけで使われる言葉ではない

英語の「glitch」には、小さな問題や故障、不具合といった意味があります。コンピューターだけでなく、電子機器やシステムなどで問題が起きたときにも使われる言葉です。

ゲームでは、たとえば次のような現象がグリッチと呼ばれます。

  • キャラクターが壁や床をすり抜ける
  • 本来入れない場所へ移動できる
  • 敵が突然動かなくなる
  • キャラクターや物体が空中に浮いたままになる
  • 当たり判定と見た目の位置がずれる
  • 特定の操作によって異常な速度で移動できる
  • アイテムや能力が意図しない形で増減する

グリッチは、画面表示がおかしくなる現象だけを指すわけではありません。キャラクターの位置、物理演算、当たり判定、AI(人工知能)、アイテム処理など、ゲームを構成するさまざまな部分で起こり得ます。

ゲームテストの専門資料でも、グラフィックやアニメーション、物体の位置や衝突判定、ゲーム世界の物理法則から外れる動作、AIの異常などは、ゲームで確認すべき問題として扱われています。キャラクターが地形にはまり込んだり、本来入れない場所へ入り込んだりする現象もその一例です。

なお、グリッチは一度だけ偶然起きる現象とは限りません。

特定の場所、操作手順、タイミングなどの条件をそろえることで、何度でも再現できるものもあります。同じ手順で繰り返せるからといって、それだけで仕様とは判断できません。同じ問題が、同じ条件によって繰り返し表面化している可能性も残ります。

「グリッチ」はゲームから生まれた言葉ではない

現在ではゲーム用語としてよく見かける「グリッチ」ですが、コンピューターゲームのために作られた言葉ではありません。

少なくとも1940年代にはアメリカのラジオ業界で使われていた記録があり、1950年代にはテレビ技術でも技術的な問題を表す言葉として使われていました。

その後、1960年代のアメリカの宇宙開発でも使われるようになります。NASAは、宇宙飛行士ジョン・グレンを、この言葉を広く知られるものにした人物として紹介しています。

現在ではゲームやコンピューターとの結び付きが強い言葉ですが、その使用の歴史はコンピューターゲームより前までさかのぼります。

グリッチ・バグ・裏技・チートは何が違う?

ゲームには似た言葉が多く、同じ現象でも人やコミュニティによって呼び方が変わります。

大まかに分けると、次のように捉えられます。

言葉主な意味・使われ方
グリッチゲーム中に現れる奇妙な挙動や技術的な不具合、その現象を意図的に利用する行為を指して使われることがある
バグ要求・仕様・設計・実装などに存在する欠陥や、それによる問題を広く指して使われる
裏技通常とは違う便利な操作や隠れたテクニック。意図されたものも、そうでないものもある
バグ技バグやグリッチを意図的に利用するテクニックを指すことが多い
チートデータ改ざんや外部プログラムの利用など、不正行為や禁止された手段を指すことがある

これらには、世界共通の厳密な境界が定められているわけではありません。

特に「グリッチ」と「バグ」は、日常的にはかなり近い意味で使われます。

厳密に統一された専門分類ではありませんが、ゲームでの使われ方を大まかに分けると、バグがシステム内部に存在する問題を表すのに対し、グリッチはその問題がゲーム上で奇妙な現象として現れたものを指して使われることがある、と考えることができます。

たとえば、キャラクターの当たり判定を計算する処理に問題があるとします。その内部の欠陥を「バグ」と呼び、実際にプレイヤーが壁を通り抜けてしまう現象を「グリッチ」と呼ぶ、といった使い分けです。

ただし、ゲームコミュニティでは、壁抜けの原因そのものを「グリッチ」と呼ぶこともあれば、壁抜けを意図的に起こす操作まで含めることもあります。現象全体を「バグ」と表現する人もいるため、使われ方は一つではありません。

また、すべてのバグが「グリッチ」と呼ばれる形で表面化するわけでもありません。

ゲームが強制終了する、セーブが正常にできない、進行条件を満たしても先へ進めないといった問題は、バグや不具合として扱われても、一般にはグリッチとは呼ばれないことがあります。

つまり、バグとグリッチは明確に二分できる言葉というより、文脈によって意味が重なる言葉でもあります。

グリッチと裏技は同じではない

「普通とは違う方法で有利になる」という点では、グリッチと裏技も似ています。

しかし、裏技という言葉には、不具合を利用していないものも含まれます。

たとえば、ゲーム内に用意された隠しコマンド、開発側が意図して配置した秘密の通路、複数の正規の能力を組み合わせた高度なテクニックなども、日常的には裏技と呼ばれます。

一方、当たり判定のずれや状態管理の不具合を利用し、本来できない行動を可能にする方法が裏技として広まるケースもあります。

そのため、

裏技だからグリッチとは限らず、グリッチを利用した裏技もある

という関係です。

「チート」と「チートコード」は同じ意味とは限らない

ゲームで「チート」という場合、データの改ざんや外部プログラムの利用など、ゲームや運営のルールに反して有利になる行為を指すことがあります。

一方、「チートコード」は、ゲームプログラム内に存在する特殊なコマンドや機能などを指す言葉です。

特定の入力によって無敵になる、アイテムを入手する、ステージを選択するといった機能が代表例として挙げられます。

こうした機能には、プレイヤー向けの隠し要素として用意されたものだけでなく、開発やデバッグに使われていた機能が製品版に残り、後から利用方法が知られるようになったものも含まれます。

そのため、「チート」という言葉が使われていても、チート行為とチートコードが常に同じ意味とは限りません。

グリッチを使えばチートになる?

グリッチを使うこととチート行為も、必ずしも同じではありません。

一人用ゲームで偶然見つけた壁抜きを試すことと、オンライン対戦で不具合を意図的に利用し、一方的に有利になることでは、他のプレイヤーへの影響が大きく異なります。

ゲームによって利用規約や運営方針も違います。外部ツールを使っていなくても、不具合の意図的な利用が禁止されているなら、グリッチの悪用が規約上の問題につながる可能性があります。

「ゲーム内だけでできる操作だから、どのような使い方をしても問題ない」とは限りません。

重要なのは呼び方ではなく、そのゲームで何が認められ、何が禁止されているかです。オンラインゲームでグリッチや特殊な操作を見つけたときは、公式のお知らせや利用規約、不具合情報にも目を通しておくとよいでしょう。

グリッチはなぜ起こる?

ゲームは、キャラクター、地形、物理演算、AI、アイテム、通信など、多数のシステムを同時に動かしています。

それぞれが単独では正常でも、特定の条件が重なると処理同士がうまくかみ合わず、予想されていなかった挙動が表面化することがあります。

当たり判定や地形の処理がうまくかみ合わない

分かりやすい例が、壁抜けや床抜けです。

3Dゲームでは、画面に見えている建物や地形と、キャラクターが実際にぶつかる「当たり判定」が組み合わされて動いています。

この判定に隙間がある、キャラクターが高速で移動する、特殊な姿勢になる――。こうした条件が重なることで、本来は通過できない場所へ入り込めてしまうケースがあります。

ゲームテストでは、キャラクターが地形にはまり込む、本来立ち入れない場所へ入る、マップの下へ落下するといった現象も確認対象になります。

見た目が似た場所でも、「意図して用意された地形」なのか「本来入れない場所へ入れてしまった」のかで意味は変わります。

複数の状態や操作が同時に重なる

ゲームキャラクターには、「地面に立っている」「ジャンプ中」「攻撃中」「ダメージを受けている」「アイテムを使用している」といった多くの状態があります。

通常は決められた条件に応じて状態が切り替わりますが、短い時間に複数の操作が行われたり、想定されていない組み合わせが生じたりすると、処理が食い違うことがあります。

たとえば、落下中に別のアクションを挟んだ結果、落下状態が正しく扱われず、本来受けるはずのダメージが発生しない、といった現象です。

プレイヤーから見ると高度なテクニックに見えても、内部では状態管理の問題が起きているかもしれません。特定の操作順やタイミングを守れば、繰り返し発生させられる現象も見られます。

操作技術が必要だからといって、その動作が必ず正式な仕様とは限りません。

通信のずれが奇妙な動きに見えることもある

オンラインゲームでは、自分の端末だけでなく、ゲームサーバーや他のプレイヤーとの通信も関係します。

そのため、

  • キャラクターが瞬間移動したように見える
  • 攻撃が当たったように見えたのに無効になる
  • 倒した敵が一瞬元の位置に戻る
  • アイテムを取ったはずなのに表示が戻る

といった現象も起こります。

ただし、こうした現象すべてがプログラム上のバグとは限りません。通信遅延による表示上のずれであることもあれば、通信状態の変化をゲーム側が適切に処理できず、不具合へつながっているケースもあります。

画面で起きた結果だけを見ても、原因まで断定できないことがあるのです。

グリッチは必ず修正されるとは限らない

グリッチが見つかれば、すぐにアップデートで消されるように思えるかもしれません。しかし、実際には修正されるものもあれば、そのまま残るものもあります。

ゲームへの影響が小さい、再現条件が複雑、原因を特定しにくい、修正によって別の問題が起こる可能性があるなど、対応にはさまざまな事情が関係します。

また、最初は意図されていなかった動きでも、プレイヤーの間で一つの遊び方として定着することがあります。ただし、広く使われるようになったことと、開発側が正式な仕様として採用したことは同じではありません。

スピードランではグリッチ自体が攻略技術になる

ゲームをできるだけ速くクリアするスピードランでは、グリッチの利用そのものが攻略技術になることがあります。

一方で、「Glitchless(グリッチレス)」のように、グリッチの利用を制限するカテゴリーも設けられています。

ただし、Glitchlessという名前だからといって、あらゆる特殊な挙動やテクニックが一律に禁止されるわけではありません。

Speedrun.comでも、どの技を認め、どのグリッチを禁止するかは、ゲームやカテゴリーごとのルールで決められています。一部の技を認めつつ、大きなグリッチだけを禁止する区分も見られます。

つまり、「グリッチあり」「グリッチなし」という名称だけで、競技ルールのすべてを判断することはできません。

スピードランでは、そのゲームやカテゴリーに定められたルールが基準になります。

修正されないグリッチ=公式仕様とは限らない

長期間残っているグリッチを見ると、「開発側も認めているから仕様なのでは」と考えたくなるかもしれません。

しかし、修正されない理由としては、

  • ゲームへの影響が小さい
  • 再現条件が複雑
  • 原因を特定しにくい
  • 修正すると別の問題が発生する可能性がある
  • より重大な問題が優先されている

といった事情が考えられます。

残っている期間だけを見ても、正式な仕様として認められたのか、不具合として残されているだけなのかは分かりません。

一方、最初は意図されていなかった動きが、後のアップデートや作品で正式なシステムとして取り入れられる例もあります。

修正されていないことと、正式な仕様として採用されたことは別です。

開発側から説明がなければ、プレイヤー側だけで区別するのが難しいケースもあります。

まとめ

グリッチは、ゲーム中に発生する奇妙な動作や、技術的な問題によって現れる想定外の挙動を指して使われる言葉です。ゲームやコミュニティによっては、その現象を意図的に再現・利用する行為まで含めて「グリッチ」と呼ばれます。

もともとはゲーム専用語ではなく、ラジオやテレビ技術などでも使われ、後に宇宙開発やコンピューター、ゲームの世界へ広がっていきました。

ゲームでは壁抜け、当たり判定のずれ、AIの停止、異常な移動など、さまざまな現象がグリッチと呼ばれます。ただし、バグ・裏技・チートなどとの境界は必ずしも明確ではありません。

グリッチは「ゲーム中に現れた奇妙な現象」、バグは「その原因となる欠陥」として使い分けられることがありますが、これは厳密に統一された分類ではなく、実際の使われ方はゲームやコミュニティによって異なります。

また、グリッチは単なる邪魔な現象として扱われるだけではありません。スピードランでは攻略技術として研究されるなど、ゲーム文化の一部にもなっています。

ただし、オンラインゲームでは他のプレイヤーに影響したり、運営ルールに抵触したりする可能性があります。そのゲームで認められている遊び方なのか、公式情報やルールを確認しながら扱うことが大切です。

参考情報

  • Cambridge Dictionary「glitch」
  • KONAMI eスポーツ学院「ルールを守って楽しく対戦!ゲームプレイ時のマナーを守ろう☆」
  • International Software Testing Qualifications Board(ISTQB)「Certified Tester Game Testing(CT-GaMe)」
  • International Software Testing Qualifications Board(ISTQB)「Certified Tester Game Testing Syllabus v1.0.1」
  • NASA「Celebrating John Glenn’s 100th Birthday」
  • Smithsonian Air & Space Magazine「It Was John Glenn Who Popularized the Word “Glitch”」
  • Electronic Arts「EAアンチチートは競争の場を平等にしています」
  • Speedrun.com「Moderation Rules」

※「グリッチ」「バグ」「裏技」などの使い分けは、ゲームやコミュニティによって異なる場合があります。本記事では、英語としての一般的な意味、ゲームテストで扱われる不具合、日本のゲーム・eスポーツでの用法などを踏まえて説明しています。

この記事を書いた人

気になったテーマを中心に、公開情報や資料を読みながら記事をまとめています。背景や違いが見えにくい話題も、公式サイトや公開資料を確認しつつ、できるだけわかりやすく整理してお届けしています。

目次