ビー玉の「ビー」は何の略?ビードロとの関係と名前の由来

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色とりどりのガラスが光を反射するビー玉。子どものころに遊んだ人も多い身近なものですが、「ビー玉の『ビー』は何を意味するの?」と聞かれると、答えに迷うかもしれません。

国語辞典では、この「ビー」を「ビードロ」の略と説明しています。ビードロはポルトガル語に由来し、日本では古くからガラスやガラス製品を表す言葉として使われてきました。

ビー玉には「B玉」が名前の由来だとする別説もあります。ビードロという言葉の歴史から、ラムネ瓶の中にあるガラス玉との関係まで見ていきます。

目次

ビー玉の「ビー」はビードロの略とされている

「ビー玉」という文字だけを見ると、アルファベットの「B」と「玉」を組み合わせた名称にも見えます。

しかし、『デジタル大辞泉』や『精選版 日本国語大辞典』などでは、ビー玉の「ビー」は「ビードロ」の略と説明されています。百科事典でも、ポルトガル語でガラスを意味する「vidro」に由来するビードロと、ビー玉の名称との関係が示されています。

つまり辞書の説明では、「Bという等級の玉」という意味ではなく、ガラスを表す「ビードロ」が名前のもとになったとされています。

現在は「ビー玉」で一つの言葉として定着しているため気付きにくいものの、「ビー」という短い音の中に、昔のガラスの呼び方が残っていることになります。

ビードロとは?ポルトガル語でガラスを表す言葉

ビードロは、ポルトガル語でガラスを意味するvidro(ヴィードロ)に由来する言葉です。

日本ではガラスの別名や、ガラス製の器具を表す語として使われてきました。現在、窓ガラスやコップを「ビードロ」と呼ぶ機会はほとんどありませんが、言葉そのものの歴史はかなり古いものです。

『精選版 日本国語大辞典』では、1603年(慶長8年)の『言経卿記』に「ビイドロ」の用例が挙げられています。少なくとも江戸時代が始まったころには、日本の文献にこの言葉が登場していました。

ビー玉の「ビー」がビードロの略であれば、名称が表しているものは「ガラスの玉」です。現在では使われる機会が減った外来語の一部が、身近な物の名前の中に残ったとみることができます。

音を鳴らす玩具だけが「ビードロ」ではない

ビードロと聞くと、細い管から息を吹き込み、「ポン」と音を鳴らすガラス製の玩具を思い浮かべる人もいるでしょう。

この玩具もビードロと呼ばれます。ただ、ビードロという言葉は、その玩具だけを表す名称ではありません。ガラスやガラス製品という意味があり、音を鳴らす玩具もその一つです。

そのため、丸いビー玉と吹いて遊ぶビードロの形が似ているわけではありません。両者をつないでいるのは、どちらもガラス製品であるという点です。

「ビー玉」という言葉は大正時代には使われていた

ビー玉という名称にも長い歴史があります。

『精選版 日本国語大辞典』では、「ビー玉」の用例として夏目漱石の小説『明暗』が挙げられています。『明暗』は1916年(大正5年)に朝日新聞で連載された作品で、作中には子どもが持っているビー玉が登場します。

このことから、少なくとも1916年には「ビー玉」という言葉が使われていたことが分かります。

現在では懐かしい遊び道具という印象もありますが、名称自体も100年以上前から日本語の中で使われてきたわけです。

明治時代にはビー玉遊びも広がった

ビー玉が日本で身近になった背景には、ガラス製品の普及もありました。

百科事典では、明治時代にガラス製品の国産化が進み、明治中期ごろには遊びに使うビー玉も量産されるようになったとされています。

もっとも、丸い物を投げたり、地面の穴へ入れたりする遊びはビー玉以前から存在しました。小石や木の実などを使っていた遊びにガラス玉という新しい素材が加わり、ビー玉を使った遊びへとつながっていったとされています。

名前にはポルトガル語由来の「ビードロ」が入り、遊び方にはそれ以前からの文化が重なっています。身近なビー玉にも、言葉と遊びの両方に長い歴史があるのです。

「ビー玉=B玉」という別説もある

ビー玉の名前には、ビードロとは別に「B玉」に由来するという説もあります。

全国清涼飲料連合会も、ビー玉の「ビー」について「ビードロ」の略とする説と、ガラス玉を「A玉」「B玉」に分けたことに由来する説を紹介しています。

B玉説では、ラムネ瓶に使用するガラス玉を品質や規格によって分け、使用できない玉が玩具として出回ったため「ビー玉」と呼ばれるようになった、とされています。

ここで分けて考えたいのが、ガラス玉をA・Bと呼び分けたことと、「ビー玉」という言葉そのものがB玉から生まれたことは同じではないという点です。

「A玉」という呼び方はどこから出てきた?

A玉・B玉という呼び方については、一部のメーカーで使われていた可能性を示す証言が残っています。

2017年にビー玉製造会社の松野工業へ行われた取材では、担当者が、戦後の大阪にあったメーカーのどこかで「A玉」「B玉」という区分をしていたと聞いたことがある、と答えています。

その話では、ラムネに使用できる正規品と、傷があったり規格から外れたりした玉を分けていたとされています。ただ、松野工業自身がこの区分を使っていたわけではなく、過去の別メーカーについて聞いた話です。別のラムネ販売店では、その呼び方を聞いたことがないという回答もありました。

同じ取材では、ラムネメーカーの倉敷鉱泉の代表が、1990年刊行の山本孝造著『びんの話』がA玉・B玉説を知られるきっかけの一つになったのではないか、との見方を示しています。ただし、本に書かれた情報が何をもとにしていたのかまでは分かっていません。

こうした呼び方が一部で使われていた可能性はありますが、いつ生まれ、どの程度広まっていたのかまでは分かっていません。

また、「ビー玉」という言葉は1916年の『明暗』ですでに確認できます。具体的なA・Bの区分について残っている証言は戦後の話なので、少なくともこれだけで「ビー玉はB玉から生まれた」と言い切ることはできません。

B玉説を完全に否定する材料があるわけでもないため、辞書ではビードロ由来と説明され、別にB玉説も伝わっていると知っておくのがよいでしょう。

ラムネ瓶の中にあるガラス玉もビー玉

ビー玉と聞いて、ラムネ瓶の中に入っているガラス玉を思い浮かべる人もいるでしょう。

全国清涼飲料連合会では、ラムネに入っているガラス玉もビー玉と説明しています。清涼飲料業界での呼び方は「ラムネ玉」です。

つまり、一般にはビー玉、業界ではラムネ玉と呼ばれています。

B玉説をもとに「ラムネ瓶の中にあるものはビー玉ではない」と説明されることもありますが、現在の業界団体の説明とは一致しません。

ラムネのビー玉は飾りではなく栓

ラムネ瓶のビー玉には、炭酸飲料を密閉する役割があります。

瓶の中の炭酸ガスの圧力でガラス玉が飲み口側へ押し上げられ、瓶口のゴムと密着して栓になります。飲むときに玉押しでビー玉を瓶の中へ落とすのは、この密閉状態を解除するためです。

飲み終えたあとの玉は玩具のようにも見えますが、もともとは瓶を閉じるための部品として入っています。

このガラス玉を使った瓶は日本生まれではありません。1872年にイギリスのハイラム・コッドが、ガラス玉を利用する炭酸飲料用の瓶を考案しました。

日本では1887年(明治20年)に玉入り瓶がイギリスから輸入された記録があり、同じころには大阪で国内製造にも成功したとされています。

ラムネ瓶のビー玉は、玩具を飲料瓶へ入れたものではなく、炭酸飲料を密閉するための仕組みから生まれたものだったのです。

Q&A

ビー玉の「ビー」は何の略ですか?

国語辞典では「ビードロ」の略と説明されています。ビードロはポルトガル語の vidro に由来し、日本ではガラスやガラス製品を表す言葉として使われてきました。

ビードロとビー玉は同じものですか?

同じ意味ではありません。ビードロはガラスやガラス製品を表す言葉で、息を吹き込んで音を鳴らすガラス玩具を指すこともあります。ビー玉は丸いガラス玉で、その「ビー」がビードロの略とされています。

ビー玉は「B玉」が語源という説もありますか?

あります。ガラス玉をA・Bに区分したことに由来するという説も紹介されています。ただし、それがビー玉という名称の由来だと確定しているわけではなく、国語辞典では「ビー」をビードロの略と説明しています。

ラムネ瓶に入っているものもビー玉ですか?

はい。全国清涼飲料連合会ではビー玉と説明しており、清涼飲料業界では「ラムネ玉」と呼ばれています。炭酸ガスの圧力で瓶口のゴムに密着し、栓として働きます。

まとめ

ビー玉の「ビー」は何を意味するのか。国語辞典では、ポルトガル語由来でガラスを表す「ビードロ」の略と説明されています。

ビードロという言葉は1603年の文献にも見られ、「ビー玉」という語も1916年の夏目漱石『明暗』で確認できます。B玉に由来するという説もありますが、A・Bという呼び分けの話と、ビー玉という名称そのものの成立は分けて考える必要があります。

ラムネ瓶のビー玉には、炭酸飲料を密閉する栓としての役割もあります。

身近な「ビー玉」という名前には、ガラスを「ビードロ」と呼んだ時代の言葉が残っていると考えられています。

参考情報

  • コトバンク「ビー玉」
  • コトバンク「ビードロ」
  • 一般社団法人 全国清涼飲料連合会「『ラムネ』に入っているのはビー玉ですか? なぜ入っているのですか?」
  • 一般社団法人 全国清涼飲料連合会「清涼飲料水の歴史」
  • 国立国会図書館 レファレンス協同データベース「ビー玉はなぜビー玉というのか。」
  • 青空文庫「夏目漱石『明暗』」
  • Google Patents「US129652A – Improvement in bottles」

この記事を書いた人

気になったテーマを中心に、公開情報や資料を読みながら記事をまとめています。背景や違いが見えにくい話題も、公式サイトや公開資料を確認しつつ、できるだけわかりやすく整理してお届けしています。

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