World Fantasy Conventionとは?ファンタジー文学とアートの年次大会

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「World Fantasy Convention」という名前を見ると、世界中のファンタジーファンが集まる巨大な催しを想像するかもしれません。しかし実際には、ファンタジーやホラーの文学とアートを中心に、作家・編集者・出版関係者・読者らが交流する年次大会です。

ワールド・ファンタジー・コンベンション(World Fantasy Convention、略称WFC)は1975年に始まりました。会期中にはパネルや朗読、サイン会などが行われ、終盤には「World Fantasy Awards(ワールド・ファンタジー・アワード)」の受賞者も発表されます。

一般的な大型ポップカルチャーイベントとは少し性格が異なり、文学・出版・アートに関わる人々の交流に重点を置いている大会です。

目次

World Fantasy Conventionとはどんなイベント?

World Fantasy Conventionには、ファンタジーやホラーの分野で活動する作家、アーティスト、編集者、エージェント、出版社関係者、ファンなどが集まります。

大会を監督するWorld Fantasy Convention Board(WFC Board)は、ファンタジーとホラーの文学・アートを支えながら、この分野で活動する人や活動を目指す人に、専門的な交流や学びの機会を提供することを目的に掲げています。

参加会員数は現在950人までに制限されています。委員会、スタッフ、WFC Board、審査員、ゲストとその配偶者などは、この人数に含まれません。大規模化を目指すイベントとは異なり、比較的まとまった人数で開催されている点もWFCの特色です。

サイン会やアートショーも大会の重要な催し

WFCでは、文学に関するパネルや朗読だけが行われるわけではありません。

大会を代表する催しには、金曜夜のAutograph Reception(大規模サイン会)、書籍やアートなどを扱うDealers’ Room(販売スペース)、ファンタジー・アートを展示するArt Show(アートショー)があります。販売スペースでは文学・アート関連の商品が中心に扱われ、アートショーでは出版分野などで活動するアーティストの作品も展示されます。

一方、WFCではゲーム大会やMasquerade(仮装大会)を基本的な催しとしていません。ハロウィーンに近い時期に開かれるものの、仮装する参加者も少ないと公式サイトで説明されています。

「ファンタジーのイベント」という言葉から連想されやすいコスプレやゲームを中心とした催しとは異なり、作品や出版、アートを通じた交流に重点が置かれています。

最初の大会は1975年にアメリカで開かれた

第1回World Fantasy Conventionが開かれたのは1975年です。開催地はアメリカ・ロードアイランド州プロビデンスで、会場にはHoliday Innが使われました。

テーマは「The Lovecraft Circle(ラヴクラフト・サークル)」で、主賓には作家ロバート・ブロック(Robert Bloch)が迎えられています。

プロビデンスは、怪奇幻想文学で知られるH・P・ラヴクラフトと深い関係を持つ都市です。第1回からラヴクラフトに関連するテーマが掲げられており、WFCの歴史には怪奇・幻想文学とのつながりも見て取れます。

その後もWFCは開催地を変えながら続いてきました。各年の大会は地域ごとの委員会が運営し、WFC Boardが開催提案を審査します。開催地ごとの特色を取り入れつつ、WFCとしての基本的な方針を共有する方式です。

ハロウィーンの前後に開かれることが多い

開催時期にも特徴があります。

WFCは通常、ハロウィーンを挟む前後どちらかの週末に開催されます。プログラムは木曜日の夕方ごろから始まり、日曜日午後のWorld Fantasy Awardsの宴席を大きな締めくくりとする形が一般的です。

ファンタジーやホラーを扱う大会がハロウィーンに近い時期に開かれるのは印象的ですが、毎年10月31日に固定されているイベントではありません。開催日は年によって変わります。

World Fantasy Awardsはどうやって決まる?

World Fantasy Conventionを知るうえで欠かせないのが、World Fantasy Awardsです。

この賞も第1回大会が開かれた1975年から続いています。最初の小説部門では、パトリシア・A・マキリップの『妖女サイベルの呼び声』(原題:The Forgotten Beasts of Eld)が受賞しました。

現在は長編小説、中編、短編、アンソロジー、作品集、アーティストなど複数の部門が設けられています。生涯にわたる功績を対象とするLife Achievement(生涯功労)や、専門的・非専門的な活動を評価するSpecial Award(特別賞)もあります。

大会の会員と審査員が選考に関わる

World Fantasy Awardsでは、大会の会員と審査員の双方が選考に関わります。

公式サイトでは、その年と過去2年の大会の会員、さらに審査員によってファイナリストと受賞者が選ばれると説明されています。

具体的な方式について、2025年の公式説明では、その年と過去2年の大会参加者による投票から得票上位の2候補を選び、5人の審査員がさらに3候補以上を加えたうえで、審査員が最終的な受賞者を決める方式が採られていました。

一般投票だけで決まる賞でも、審査員だけで候補を選ぶ賞でもないところに、World Fantasy Awardsならではの仕組みがあります。

賞の年と作品が発表された年は同じとは限らない

「2026年のWorld Fantasy Awards」と聞くと、2026年に発表された作品が対象になるようにも見えます。しかし作品部門では、賞の年と作品が発表された年にずれがあります。

2026年のWorld Fantasy Awardsでは、書籍や短編などについて、原則として2025年に英語で初めて発表された作品が対象です。雑誌については2025年の日付が付いたものが対象とされています。

そのため、World Fantasy Awardsの受賞年を見ただけでは、作品そのものが発表された年までは分かりません。

「Worldcon」とは別の大会

名前がよく似たイベントに、「Worldcon(ワールドコン)」があります。

正式名称はWorld Science Fiction Convention(世界SF大会)で、World Fantasy Conventionとは別の大会です。Worldconは1939年に初めて開催され、第二次世界大戦中の中断を経て1946年以降は継続して開催されています。Worldconでは、SF・ファンタジー分野で知られるHugo Awards(ヒューゴー賞)の運営も行われます。

一方、WFCで発表されるのはWorld Fantasy Awardsです。

World Fantasy Convention → World Fantasy Awards

Worldcon → Hugo Awards

という関係を見ると、名前の似た二つの大会を区別しやすくなります。

ただし、「WFCはファンタジーだけ、WorldconはSFだけ」という分け方ではありません。Worldconやヒューゴー賞でもファンタジー作品は扱われます。

両者は、歴史や運営の仕組み、そこで扱われる賞が異なる別々のコンベンションです。

開催地は毎年変わる

WFCは、同じ都市や会場で毎年開催されるイベントではありません。地域の委員会が開催提案を行い、WFC Boardが場所や委員会の経験、テーマなどを踏まえて審査します。大会には開催地域ならではの特色を取り入れることも求められています。

2026年9月30日時点では、2026年のWorld Fantasy Conventionは10月22日から25日まで、アメリカ・カリフォルニア州オークランドで開催予定です。公式情報ではオークランドでの日程が案内されています。

第1回が開かれた1975年から数えると、半世紀を超えて続いている大会です。

開催場所が移り変わることで、基本的な大会の性格を保ちながら、その土地に合わせたテーマや企画が加わることもWFCの特色になっています。

まとめ

World Fantasy Conventionは、ファンタジーやホラーの文学・アートに関わる作家、編集者、アーティスト、出版関係者、読者などが集まる年次大会です。

第1回は1975年にアメリカ・ロードアイランド州プロビデンスで開催されました。例年ハロウィーン前後の週末に開かれ、開催地は固定されていません。

パネルや朗読、大規模なサイン会、販売スペース、アートショーなどがあり、文学・出版・アートを通じた交流が大会の中心になっています。

大会を代表するWorld Fantasy Awardsでは、大会会員と審査員が選考に関わります。また、名前の似たWorldconとは異なる歴史と賞を持つ別の大会です。

世界規模を思わせる名称ながら、参加会員数を一定の範囲に保ち、ファンタジー文学を作る人、届ける人、読む人が交流する場として半世紀以上続いています。

参考情報

  • World Fantasy Convention「World Fantasy Convention」
  • World Fantasy Convention「History」
  • World Fantasy Convention「About」
  • World Fantasy Convention「Bidding for World Fantasy Convention」
  • World Fantasy Convention「1975: The 1st World Fantasy Convention」
  • World Fantasy Convention「2025 World Fantasy Awards Submissions」
  • World Fantasy Convention「2026 World Fantasy Award Submission」
  • Worldcon「About Worldcon」
  • 国立国会図書館 NDLサーチ「妖女サイベルの呼び声」

この記事を書いた人

気になったテーマを中心に、公開情報や資料を読みながら記事をまとめています。背景や違いが見えにくい話題も、公式サイトや公開資料を確認しつつ、できるだけわかりやすく整理してお届けしています。

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