ブルーオーシャンとは?レッドオーシャンとの違いと考え方

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ビジネスの話で「この市場はブルーオーシャンだ」という表現を聞くことがあります。

青い海を意味する言葉ですが、単に「競合企業が少ない市場」という意味ではありません。もともとは、企業同士が激しく競争する既存市場から離れ、新しい需要や市場空間を生み出す経営戦略を表す言葉です。

対になるのが「レッドオーシャン」。こちらは、多くの企業が限られた需要を奪い合う既存市場を指します。

なぜ市場を青と赤の「海」に例えるのでしょうか。ブルーオーシャン戦略は、まだ競争相手がいない穴場を探すだけではなく、これまでとは異なる価値によって市場そのものをつくるところに特徴があります。

目次

ブルーオーシャンとはどんな市場?

ブルーオーシャンは、既存の競争ルールにとらわれず、新しい需要を生み出した市場空間を表す言葉です。

限られた市場シェアを企業同士で奪い合うのではなく、まだ十分に開拓されていない市場をつくり、同じ条件での競争から外れることを目指します。

対するレッドオーシャンは、すでに存在する既知の市場です。

ブルーオーシャンレッドオーシャン
市場新しい市場空間をつくるすでにある市場で競う
需要新しい需要を生み出す既存需要を奪い合う
競争これまでの競争から外れる競合より優位になることを目指す
考え方競争の軸そのものを変える現在の競争軸で勝つ

レッドオーシャンにも利点があります。すでに需要が存在し、市場規模や顧客層を把握しやすいからです。

ブルーオーシャン戦略では、「競争にどう勝つか」だけでなく「そもそも同じ条件で競争を続ける必要があるのか」というところまで視野を広げます。

なぜ「青い海」と「赤い海」なの?

色の違いには、分かりやすい比喩が使われています。

競争相手が多い市場では、企業同士が限られた需要をめぐって激しく争います。その様子を、戦いによって血で赤く染まった海になぞらえたのが「レッドオーシャン」です。

反対に、競争によってまだ混み合っていない広い市場空間を、澄んだ青い海に見立てたものが「ブルーオーシャン」です。

日本語なら「赤い海」「青い海」と訳せますが、ビジネス用語としてはカタカナのまま広く使われています。

ブルーオーシャンという言葉は誰が考えた?

経営戦略上の「ブルーオーシャン」「レッドオーシャン」という概念を提唱したのは、経営学者のW・チャン・キムとレネ・モボルニュです。

2人は2004年10月の『Harvard Business Review(ハーバード・ビジネス・レビュー)』で「Blue Ocean Strategy」を発表しました。その後、2005年に同名の書籍『Blue Ocean Strategy』を刊行し、この概念が世界的に知られるようになります。

現在では「競争相手が少ない分野」という意味で使われることもありますが、本来のブルーオーシャン戦略はもう少し広いものです。

単にライバルのいない場所を探すのではなく、買い手にとっての価値と企業側のコスト構造を見直し、新しい需要そのものを生み出そうとします。

2005年の初版以降も版を重ね、2026年には新しい序文や事例などを加えた英語版の増補版も刊行されています。

カギになるのは「バリュー・イノベーション」

ブルーオーシャン戦略の中心にあるのが、バリュー・イノベーション(value innovation:価値革新)です。

これは商品を高級化して他社との差をつけたり、価格だけを引き下げたりする方法とは異なります。

買い手にとっての価値を高めながら、低コストも同時に目指すところが特徴です。

業界で当たり前だったサービスを減らす一方、今まで存在しなかった価値を加える場合もあります。

「高品質なら高価格」「安価なら機能が少ない」といった二者択一から離れ、価値とコストの組み合わせそのものを変えていきます。

ブルーオーシャンは「競合がいない場所を探す」ことではない

ブルーオーシャンという言葉から、

まだ誰も商売していない分野を見つければよい

と思われることがあります。

しかし、完全に新しい産業を生み出すことだけがブルーオーシャンではありません。すでにある市場の境界を広げることで生まれる場合もあります。

商品やサービスで何が当たり前になっているのかを見直し、顧客があまり価値を感じていないものを減らしたり、今まで対象になっていなかった人へ別の価値を提供したりします。

ブルーオーシャン戦略が重視するのは、競合のいない商品を探すことより、競争の前提そのものを変えることです。

新しい需要は「非顧客」から見つかることもある

ブルーオーシャン戦略では、現在商品を買っている人だけでなく、その業界の商品やサービスを利用していない「非顧客(noncustomers:現在は顧客ではない人)」にも目を向けます。

たとえば、今の商品を仕方なく使っていて離れる可能性がある人、その業界の商品をあえて選ばない人、そもそも利用する選択肢として考えたことがない人などです。

今いる顧客だけに注目すると、企業同士が似た商品やサービスで競いやすくなります。

一方、非顧客が「なぜ利用していないのか」を考えると、それまで表面化していなかった需要が見つかる場合があります。

ブルーオーシャン戦略でいう新しい需要には、それまで利用していなかった人にも選ばれる商品やサービスをつくることも含まれます。

「新技術を使えばブルーオーシャン」でもない

最新技術を使った商品を見ると、ブルーオーシャンのように感じることがあります。

しかし、技術が新しいことと、買い手にとって新しい価値があることは別です。

誰も使ったことのない高度な技術でも、顧客が必要としていなければ市場は広がりません。

反対に、目新しい技術がなくても、商品の組み合わせや提供方法を変えることで、それまでとは違う需要が生まれることがあります。

ブルーオーシャン戦略では、技術そのものの新しさよりも、買い手にどんな価値をもたらすかが重視されます。

ブルーオーシャンはどうやって生み出す?

ブルーオーシャン戦略には、市場で何が競争の中心になっているのかを見直すための道具があります。

代表的なものが「戦略キャンバス」です。

戦略キャンバスでは、価格やサービス、機能など、その業界で競争の対象になっている要素を並べます。そのうえで、自社や競合が各要素にどの程度力を入れているかを一枚の図で見比べます。

企業同士が似た部分で競っていることが分かれば、別の価値をつくれる場所を考える手がかりになります。

そのうえで用いられる代表的な枠組みが、「4つのアクション」です。

  1. 取り除く:業界で当たり前になっている要素のうち、なくせるものは何か
  2. 減らす:業界標準より減らせるものは何か
  3. 増やす:これまでより価値を高めるべきものは何か
  4. 新しくつくる:これまで業界になかった価値は何か

英語では「Eliminate(取り除く)・Reduce(減らす)・Raise(増やす)・Create(新しくつくる)」と表されます。

新商品を考えると、機能やサービスを足す方向へ進みがちです。しかし、ブルーオーシャン戦略では利用者にとって価値の低いものを減らしたり、取り除いたりすることも価値づくりの一部と考えます。

不要なコストを抑え、その分を顧客や非顧客が価値を感じる部分へ振り向けるという仕組みです。

シルク・ドゥ・ソレイユはなぜ代表例なの?

ブルーオーシャン戦略を説明するときによく登場するのが、カナダで誕生したシルク・ドゥ・ソレイユ(Cirque du Soleil)です。

シルク・ドゥ・ソレイユが登場した当時、伝統的なサーカス業界は観客減少など厳しい競争環境にありました。

そこで、ほかのサーカス会社と同じ内容で競うのではなく、サーカスの要素と舞台芸術的な体験を組み合わせました。

その結果、従来のサーカスとは異なる価値を持つ市場空間を築いた事例として、ブルーオーシャン戦略で取り上げられています。

シルク・ドゥ・ソレイユは、サーカス業界の競争要因を組み替えて別の市場を生み出した例です。

既存の要素をすべて捨てたのではなく、残すもの、減らすもの、新しく加えるものを変えたことが、ブルーオーシャン戦略の代表例として紹介される理由につながっています。

ブルーオーシャンもいつかレッドオーシャンになる?

ブルーオーシャンだからといって、競争が永久になくなるわけではありません。

新しい市場が成功すれば、その仕組みを参考にする企業や新規参入企業が現れる可能性があります。競争が増えれば、かつて青かった市場がレッドオーシャンへ変わることもあります。

一度ブルーオーシャンをつくっても、その状態がずっと続くとは限りません。

むしろ市場が成功して魅力的になるほど、参入を考える企業が増える理由にもなります。

市場が成熟すれば、競争の軸や顧客層を改めて見直す余地も生まれます。

ブルーオーシャンは「一度見つければ終わり」の市場ではなく、競争環境の変化によって姿を変えていく可能性があるのです。

まとめ

ブルーオーシャンとは、競争の激しい既存市場とは異なる、新しい需要や市場空間を生み出すという経営戦略上の概念です。

対するレッドオーシャンは、すでにある市場で企業同士が需要を奪い合う状態を表します。

この概念はW・チャン・キムとレネ・モボルニュによって提唱され、2004年の論文や2005年の書籍を通じて広く知られるようになりました。

ブルーオーシャンは、ただ競合の少ない分野を探すことではありません。現在利用している顧客だけでなく非顧客にも目を向け、業界で当たり前になっている要素を減らしたり、これまでになかった価値を加えたりします。

戦略キャンバスや4つのアクションは、その競争軸を見直すために使われる代表的な方法です。

そして、成功したブルーオーシャンにも、やがて競合が参入する可能性があります。「競争相手のいない海を探す」というより、これまでとは違う価値によって新しい海をつくることが、ブルーオーシャン戦略の本来の意味に近い表現です。

参考情報

  • W. Chan Kim, Renée Mauborgne「Blue Ocean Strategy」Harvard Business Review, October 2004
  • W. Chan Kim, Renée Mauborgne「Value Innovation: The Strategic Logic of High Growth」Harvard Business Review
  • INSEAD「Blue Ocean Strategy」
  • Blue Ocean Strategy公式サイト「Tools and Frameworks」
  • Blue Ocean Strategy公式サイト「Cirque du Soleil」
  • ダイヤモンド社『[新版]ブルー・オーシャン戦略』
  • INSEAD「Blue Ocean Strategy marks 20th anniversary with enhanced edition」

この記事を書いた人

気になったテーマを中心に、公開情報や資料を読みながら記事をまとめています。背景や違いが見えにくい話題も、公式サイトや公開資料を確認しつつ、できるだけわかりやすく整理してお届けしています。

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