世界電気通信・情報社会デーとは?5月17日に考える通信の記念日

スマホで連絡を取る。地図アプリで道を調べる。災害時に情報を受け取る。遠くの人とオンラインで話す。

今では当たり前のように使っている通信やインターネットですが、こうした「つながる仕組み」の重要性を考える国際的な記念日があります。それが、World Telecommunication and Information Society Day(世界電気通信・情報社会デー)です。

この日は毎年5月17日に行われます。5月17日は、1865年に最初の国際電信条約がパリで署名され、国際電気通信連合、現在のITUが創設された日にあたります。ITUは、世界電気通信・情報社会デーを、インターネットやICT(情報通信技術)が社会や経済にもたらす可能性、そしてデジタル格差を埋める方法への意識を高める日として説明しています。


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世界電気通信・情報社会デーは毎年5月17日の国際デー

世界電気通信・情報社会デーは、英語では World Telecommunication and Information Society Day と呼ばれます。略して WTISD と表記されることもあります。

日本語では「世界電気通信・情報社会デー」と訳されます。少し長い名前ですが、分けて見ると意味はわかりやすくなります。「電気通信」は電話、電信、無線、衛星通信、インターネットなど、遠くへ情報を送る技術を広く含む言葉です。「情報社会」は、情報通信技術が生活や仕事、教育、行政、経済に深く関わる社会を指します。

この記念日は、通信技術の発展だけでなく、情報社会の課題にも目を向ける日です。インターネットやデジタル技術が、人々の生活をどう支え、社会の格差をどう縮められるのかを考える機会でもあります。

たとえば、オンライン教育、遠隔医療、災害時の通信、電子行政、農業や交通のデータ活用など、ICTは生活のさまざまな場面に関わっています。世界電気通信・情報社会デーは、その便利さだけでなく、誰がつながれていて、誰が取り残されているのかにも目を向ける記念日です。


5月17日はITUが生まれた日

この記念日が5月17日に置かれているのは、国際電気通信連合、つまり ITU の歴史と関係しています。

ITUは、もともと国際電信連合として始まりました。1865年5月17日、パリで最初の国際電信条約が署名され、国境を越えた電信のルールを整えるための国際組織が生まれました。ITUの公式情報でも、5月17日は最初の国際電信条約の署名とITU創設の記念日とされています。

当時の通信技術の中心は、インターネットでもスマートフォンでもありません。電信です。国をまたいで電信を送るには、各国が別々のルールで動いていてはうまくいきません。そこで、国際的な調整が必要になりました。

今の感覚では、電信は古い技術に見えるかもしれません。しかし、遠く離れた場所へ情報をすばやく送るという意味では、現代の通信社会の出発点のひとつです。世界電気通信・情報社会デーは、現代のインターネットやデジタル技術を考える日であると同時に、電信から始まった国際的な通信協力の歴史を振り返る日でもあります。


もともとは世界電気通信デーだった

世界電気通信・情報社会デーは、最初から現在の名前だったわけではありません。

もともとは World Telecommunication Day(世界電気通信デー) として、1969年から毎年5月17日に行われていました。ITUの歴史ページでは、この記念日は1969年から毎年5月17日に行われ、1973年のITU全権委員会議で正式に制度化されたと説明されています。

その後、インターネットや情報通信技術の重要性が急速に高まります。通信は電話や電波だけの話ではなく、情報社会そのものの基盤になっていきました。そこで、World Information Society Day(世界情報社会デー)との流れが合わさり、2006年に現在の World Telecommunication and Information Society Day へと統合されます。ITUは、2006年に両方の記念日が統合され、インターネットやデジタル技術の重要性を反映する形で現在の名称になったと説明しています。

つまり、この記念日の名前が長いのは、通信技術そのものだけでなく、情報社会全体を考える日へ広がったからです。


電気通信と情報社会はどう違うのか

「電気通信」と「情報社会」は、似ているようで少し焦点が違います。

電気通信は、情報を遠くへ伝える技術や仕組みに注目した言葉です。電信、電話、無線、衛星通信、インターネット回線、モバイル通信などが含まれます。通信網がなければ、遠くの人と瞬時につながることはできません。

一方、情報社会は、その通信技術を使って成り立つ社会の姿に注目した言葉です。仕事、買い物、教育、医療、行政、防災、娯楽など、多くの活動がデジタル情報を通じて行われる社会です。

通信インフラが道路だとすれば、情報社会はその道路を使って知識やサービスが行き交う暮らし全体に近いです。道路だけがあっても、そこを使えなければ意味がありません。同じように、通信網があっても、人々が使える環境や知識、サービスがなければ、情報社会の恩恵は広がりにくくなります。

世界電気通信・情報社会デーが両方の言葉を含むのは、技術そのものと、それを使う社会のあり方を一緒に考えるためです。


この日に考えたいのは「つながれる人」と「取り残される人」

インターネットは便利ですが、すべての人が同じように使えるわけではありません。

通信環境が整っていない地域もあります。スマホやパソコンを持てない人もいます。高齢者や障害のある人、教育機会が限られている人にとっては、デジタルサービスを使いこなすことが難しい場合もあります。

このような差は、デジタル格差と呼ばれます。世界電気通信・情報社会デーの目的には、インターネットやICTの可能性への意識を高めるだけでなく、デジタル格差を埋める方法に目を向けることも含まれています。

デジタル格差は、単に「ネットが使えるかどうか」だけの問題ではありません。教育を受ける機会、仕事を探す機会、行政手続きを行う機会、災害時に情報を得る機会にも関わります。

便利な技術が増えるほど、それを使える人と使えない人の差が広がることがあります。だからこそ、この日は「技術が進んだ」ことだけでなく、「その技術に誰がアクセスできるのか」も考える日なのです。


2026年のテーマは「デジタルの命綱」

世界電気通信・情報社会デーでは、毎年テーマが設定されます。

2026年のテーマは、Digital lifelines: Strengthening resilience in a connected world です。日本語にすると、「デジタルの命綱:つながる世界でレジリエンスを強める」といった意味になります。

レジリエンスとは、困難や衝撃に耐え、そこから回復する力のことです。通信の文脈では、災害や障害が起きてもデジタル基盤ができるだけ止まらず、止まった場合も早く復旧できる力を指します。

ITUは、2026年のテーマについて、地上ネットワーク、海底ケーブル、衛星、データシステムなどのデジタル基盤が、地域社会や経済を支える命綱になっていると説明しています。また、こうしたデジタル基盤が衝撃に耐え、すばやく回復できることの重要性を強調しています。

このテーマは、通信が社会基盤になった現在の状況と深く関わっています。通信は、単に便利なサービスではなく、災害時の連絡、金融取引、交通、医療、行政、教育などを支える基盤になっています。もし通信網が止まれば、生活や経済に大きな影響が出ます。

2026年のテーマは、インターネットが「あると便利なもの」から、「止まると社会が困る基盤」になっていることを示しています。


スマホ時代だからこそ見えにくくなった通信の重要性

私たちは、スマホやWi-Fiがつながることを当たり前のように感じています。

メッセージを送る。動画を見る。地図を見る。電子決済を使う。オンライン会議に参加する。どれも日常の一部です。あまりにも自然に使っているため、その裏にある通信網や国際的なルール、技術の調整を意識する機会は少ないかもしれません。

けれど、通信は目に見えにくい社会基盤です。基地局、光ファイバー、海底ケーブル、衛星、データセンター、周波数管理など、多くの仕組みが重なって、私たちの「つながる日常」は成り立っています。

世界電気通信・情報社会デーは、そうした見えない基盤を思い出すきっかけになります。通信が止まったときに初めて大切さに気づくのではなく、普段から通信インフラや情報社会のあり方を考える日として意味があります。


Q&A(よくある疑問)

世界電気通信・情報社会デーはいつですか?

毎年5月17日です。1865年5月17日に、最初の国際電信条約がパリで署名され、国際電気通信連合、現在のITUが創設されたことに由来します。

World Telecommunication and Information Society Dayは何を考える日ですか?

インターネットやICTが社会や経済にもたらす可能性、そしてデジタル格差をどう埋めるかを考える日です。通信技術の記念日であると同時に、情報社会のあり方を考える国際デーでもあります。

もともとは別の名前だったのですか?

はい。もともとはWorld Telecommunication Day、つまり世界電気通信デーとして1969年から行われていました。その後、情報社会の重要性が高まり、2006年にWorld Telecommunication and Information Society Dayへ統合されました。

ITUとは何ですか?

ITUはInternational Telecommunication Union、国際電気通信連合のことです。通信やデジタル技術に関する国際的な調整を行う国連の専門機関です。

2026年のテーマは何ですか?

2026年のテーマは、Digital lifelines: Strengthening resilience in a connected worldです。デジタル基盤を社会の命綱として捉え、つながる世界のレジリエンスを高めることがテーマになっています。


まとめ

世界電気通信・情報社会デーは、毎年5月17日に行われる国際デーです。

この日は、1865年に最初の国際電信条約が署名され、ITUが創設された日に由来します。もともとは世界電気通信デーとして始まり、インターネットやICTの重要性が高まったことで、現在の世界電気通信・情報社会デーへと広がりました。

この記念日は、通信技術の発展だけでなく、情報社会の課題にも目を向ける日です。インターネットやデジタル技術が生活を支える一方で、デジタル格差や通信インフラの強さも考える日といえます。

スマホで当たり前につながる毎日の裏にある、通信の仕組みや格差にも目を向けるきっかけになる日です。


参考情報

  • ITU「World Telecommunication and Information Society Day 2026」
  • ITU「About World Telecommunication and Information Society Day」
  • ITU「World Telecommunication Day / World Telecommunication and Information Society Day Events Collection」
  • United Nations「World Telecommunication and Information Society Day」

この記事を書いた人

気になったテーマを中心に、公開情報や資料を読みながら記事をまとめています。背景や違いが見えにくい話題も、公式サイトや公開資料を確認しつつ、できるだけわかりやすく整理してお届けしています。

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