世界開発情報の日とは?10月24日の由来と制定の目的

当ページのリンクには広告が含まれています。

世界には貧困や教育へのアクセス、雇用、生活環境など、国や地域を越えて取り組む必要があるさまざまな開発課題があります。そうした問題について情報を広く伝え、人々の関心や国際協力につなげようとして設けられたのが「世界開発情報の日」です。

英語では「World Development Information Day」と呼ばれ、毎年10月24日に設けられています。国連総会が1972年に制定した国際デーで、開発問題そのものだけでなく、問題を多くの人へ知らせることの重要性にも目を向けているのが特徴です。現在も国連の国際デーとして10月24日に位置づけられています。

目次

世界開発情報の日とは?

世界開発情報の日は、開発問題への関心を高め、その解決に必要な国際協力の重要性を広く伝えるための日です。

国連総会は1972年12月19日、決議3038(XXVII)によってこの国際デーを設けました。制定の目的は、世界の人々に開発問題と、その解決に向けた国際協力の必要性へ関心を持ってもらうことです。

情報をより広く伝え、世論の関心を高めることで開発問題への理解が深まり、国際協力を進める取り組みにつながると考えられました。特に、若い世代への情報発信も重視されています。

ここでいう「開発」は、道路や建物を造ったり、経済規模を大きくしたりすることだけを意味するものではありません。

国連の説明では、経済・社会の発展によって生活水準を向上させ、人間の尊厳にふさわしい暮らしを実現することが開発の重要な目的とされています。栄養不足、教育を受けにくい状況、失業、基本的な生活環境の不足なども、開発と関わる問題です。

そのため世界開発情報の日は、経済成長だけではなく、人々がどのような環境で暮らし、教育や仕事などの機会を得られるのかという幅広い問題について考える日でもあります。

なぜ10月24日?制定前にはUNCTADからの提案があった

世界開発情報の日の制定に先立ち、国連貿易開発会議(UNCTAD)では、貿易や開発をめぐる問題について情報を広め、世論の関心を高めるための取り組みが検討されていました。

1972年5月17日、UNCTAD第3回会期で採択された決議43(III)は、「World Development Information Day」を設けるよう国連総会に勧告しています。

この決議では、先進工業国と開発途上国の双方で開発問題への関心を高め、その解決に必要な国際協力について広く知らせることが提案されました。また、国連創設記念日のような既存の国際的な機会と、この国際デーを結びつける案も示されています。

その後、同年12月19日に国連総会が決議3038(XXVII)を採択し、世界開発情報の日が正式に制定されました。決議には、UNCTADが同年5月17日に採択した決議43(III)についても明記されています。

10月24日は国連デーであり、開発戦略が採択された日でもある

10月24日は、国連デー(United Nations Day)です。

1945年10月24日に国連憲章が発効し、国際連合が正式に発足しました。そのため、この日は国連の創設を記念する日となっています。

世界開発情報の日を制定した国連総会は、その実施日を原則として国連デーと同じ10月24日にすることを決めました。

さらに、10月24日は国際開発の歴史でも意味を持つ日です。

1970年10月24日、国連総会は決議2626(XXV)によって「第2次国連開発の10年のための国際開発戦略」を採択しました。「第2次国連開発の10年」は1971年から1980年までを対象とし、経済・社会の発展に向けた国際的な目標や方針を示した取り組みです。

世界開発情報の日を定めた決議3038(XXVII)でも、10月24日が国連デーであることに加え、この国際開発戦略が1970年の同じ日に採択されたことが示されています。こうした背景から、世界開発情報の日は10月24日に設けられています。

制定は1972年、最初に実施されたのは1973年

世界開発情報の日が制定されたのは1972年ですが、最初に実施されたのは翌年の1973年10月24日でした。

国連の『Yearbook of the United Nations 1973』によると、ニューヨークの国連本部では事務総長の主催による公開フォーラムが開かれ、加盟国や国連機関、報道関係者などが参加しました。

さらに、日本を含む約60か国で世界開発情報の日に関連した取り組みが行われました。日本も、当時の国連年鑑に掲載された実施国・地域の一覧に含まれています。

各国での実施方法は一様ではありませんでした。国家元首や政府首脳によるメッセージのほか、テレビ番組、討論会、シンポジウム、映画上映、出版物、国連関係者による講演、記念切手の発行など、さまざまな形で開発問題が紹介されています。

こうした行事は政府だけが行ったものではなく、市民団体やメディアも関わっていました。

制定当時は、現在のようにインターネットを通じて世界各地の情報へ簡単にアクセスできる時代ではありませんでした。そのため、新聞やテレビ、出版物などを通じて開発問題を広く知らせることは、人々の関心と理解を深めるための大切な手段でした。

世界開発情報の日では、開発課題そのものとともに、世界で起きている問題をどのように社会へ伝えていくかという情報発信の役割にも重点が置かれていたのです。

「開発情報」とは何を知らせること?

「世界開発情報の日」という名称を見ると、経済統計や開発に関するデータを発表する日のようにも感じられます。

統計やデータも開発問題を理解するための大切な情報ですが、この国際デーで重視されている「情報」は、それだけに限られません。

制定時に重視されたのは、開発をめぐる問題を広く知らせ、世界の人々の理解と関心を高めることでした。情報の普及と世論への働きかけによって開発問題への認識を深め、国際協力への取り組みを後押しすることが期待されています。

開発問題は、その地域の外で暮らす人にとって触れる機会が少ないこともあります。

たとえば教育、食料、雇用、生活環境などに問題があっても、状況やその背景が伝わらなければ、なぜ問題が起きているのかまで理解することは難しくなります。

世界開発情報の日が重視しているのは、情報を集めることだけではなく、開発をめぐる状況や課題を社会へ伝え、多くの人が知る機会を増やすことです。

この考え方は、UNCTADが国際デーの設置を提案した段階から見られます。当時から国連や各国の情報機関、新聞・テレビなどのメディアを通じて、開発問題について広く知らせることが期待されていました。

現在ではインターネットやSNSなど、情報を伝える手段は当時から大きく変わりました。それでも、開発課題を広く知らせ、人々の理解や関心を深めようとする制定時の考え方は共通しています。

現在はデジタル格差も「情報と開発」に関わる課題

世界開発情報の日が制定された1972年には、現在のようなインターネット社会は存在していません。そのため、デジタル格差は制定当初の直接的なテーマではありません。

しかし、その後に情報通信技術が発達したことで、「情報と開発」を取り巻く環境も大きく変わりました。

国連の世界開発情報の日の公式ページでは、情報通信技術(ICT)が経済成長や競争力、情報・知識へのアクセス、貧困の削減、社会参加などに新たな可能性をもたらすものとして紹介されています。

一方で、情報通信技術やブロードバンドを利用できる環境には、国や地域によって差があります。

国連は、開発途上国が新しい技術を利用する際の課題として、資金や通信インフラ、教育、技術を活用するための人材や体制、投資、接続環境などを挙げています。

こうしたデジタル格差(デジタル・ディバイド)は、インターネットへの接続環境だけで完結する問題ではありません。国連公式ページでは、ICTやブロードバンドへのアクセス格差が、行政、ビジネス、保健、教育など、経済・社会のさまざまな分野に影響することへの懸念も示されています。

1970年代には、新聞やテレビ、出版物などを使い、開発問題をいかに広く知らせるかが重視されていました。情報通信技術が社会の基盤となった現在では、情報を届けることに加え、必要な情報や通信技術を利用できる環境が整っているかどうかも開発を考えるうえで重要になっています。

世界開発情報の日が設けられてから半世紀以上が経過しましたが、「情報と開発」の関係は形を変えながら現在にも続いています。

まとめ

世界開発情報の日は、開発問題への関心を高め、その解決に向けた国際協力の必要性を広く伝えるために国連が設けた国際デーです。

1972年5月にはUNCTADから国際デーの設置が提案され、同年12月19日に国連総会が正式に制定しました。最初の実施は1973年10月24日で、日本を含む約60か国で関連する取り組みが行われました。

10月24日は国連デーであり、1970年に「第2次国連開発の10年のための国際開発戦略」が採択された日でもあります。

名称にある「情報」は、統計やデータだけを意味するものではありません。開発をめぐる問題を広く知らせ、人々の理解や関心を国際協力につなげようという考えが込められています。

さらに、情報通信技術が広く普及した現在では、ICTや通信環境へアクセスできるかどうかという格差も、「情報と開発」に関わる課題となっています。世界開発情報の日は、世界が抱える開発問題とともに、それを知るための情報が人々へどのように届いているのかを考える機会でもあります。

参考情報

  • United Nations「World Development Information Day」
  • United Nations Digital Library「Dissemination of information and mobilization of public opinion regarding problems of trade and development(A/RES/3038(XXVII))」
  • UN Trade and Development(UNCTAD)「Third session of the United Nations Conference on Trade and Development(UNCTAD III)」
  • United Nations Digital Library「International Development Strategy for the Second United Nations Development Decade(A/RES/2626(XXV))」
  • United Nations「United Nations Day」
  • United Nations「Yearbook of the United Nations 1973」

この記事を書いた人

気になったテーマを中心に、公開情報や資料を読みながら記事をまとめています。背景や違いが見えにくい話題も、公式サイトや公開資料を確認しつつ、できるだけわかりやすく整理してお届けしています。

目次