五円玉に穴があるのはなぜ?見分けやすい硬貨の形に隠れた理由

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財布の中にある硬貨を見てみると、五円玉だけ少し特別に見えます。金色に近い色をしていて、中央には丸い穴が開いています。五十円玉にも穴はありますが、五円玉の穴はどこか昔のお金らしい雰囲気を感じさせます。

では、五円玉にはなぜ穴があるのでしょうか。飾りのためだけに開いているわけではありません。大きな理由は、ほかの硬貨と見分けやすくすることです。さらに、偽造をしにくくする工夫としても意味があります。

五円玉の形や模様には、戦後の日本を表す意味も込められています。小さな硬貨の中には、使いやすさと時代の空気が重なっているのです。


目次

五円玉に穴がある一番の理由

五円玉の穴には、いくつかの意味があります。その中でも大きいのは、ほかの硬貨と見分けやすくするためです。

硬貨は、財布の中やポケットの中で一瞬で選ばれることが多いものです。買い物のときに、いちいち表面の文字をじっくり読む人は少ないでしょう。色、大きさ、厚み、手ざわり、穴の有無などが、硬貨を見分ける手がかりになります。

触っただけでも分かりやすくなる

五円玉は、中央に穴があることで、見た目だけでなく手ざわりでも分かりやすくなっています。

財布の中で硬貨を探すとき、穴のある硬貨は指先に独特の感覚があります。目で見なくても「あ、五円玉かもしれない」と気づけることがあります。暗い場所や急いでいる場面でも、穴は分かりやすい目印になります。

もちろん、硬貨を見分ける方法は穴だけではありません。五円玉は黄銅の色をしていて、五十円玉とは色も大きさも違います。それでも、中央の穴はかなり印象に残る特徴です。

お金は、誰でも使うものです。子どもから高齢者まで、多くの人が日常で扱います。そのため、硬貨の形には「分かりやすさ」が求められます。五円玉の穴は、見た目の個性であると同時に、使う人にとっての目印でもあるのです。

偽造をしにくくする役割もある

穴には、偽造をしにくくする意味もあるとされています。

硬貨は、同じ大きさ、同じ重さ、同じ模様で大量に作られます。そこへさらに、中心にずれの少ない穴を開けるとなると、作る側には一定の技術や設備が必要になります。

五円玉の穴は、見た目には単純な丸い穴です。しかし、同じ品質の硬貨として大量に作るには、穴の位置や形をきちんとそろえる必要があります。中心からずれていたり、形が不自然だったりすると違和感が出ます。

偽造防止というと、紙幣の透かしや細かい印刷を思い浮かべるかもしれません。硬貨の場合も、模様、素材、重さ、縁の形、穴など、いくつもの要素が本物を見分ける手がかりになります。五円玉の穴も、その一つとして働いています。


穴の分だけ使う金属も少なくなる

五円玉の穴で特に大きいのは、見分けやすさや偽造防止につながる役割です。さらに、穴があるぶん、一枚あたりに使う金属が少なくなるという面もあります。

硬貨は一枚だけを見ると小さな金属片です。けれど、国全体で使われる枚数を考えると、必要な金属の量はかなり大きくなります。中央に穴があれば、一枚あたりに使う金属はその分だけ少なくなります。

ただし、五円玉の穴には、材料を減らすこと以外にも大切な役割があります。硬貨は、使いやすさ、見分けやすさ、作りやすさ、偽造されにくさなど、いくつもの条件を考えて作られます。

五円玉の穴も、そうした工夫が重なった形です。デザインとして目立つだけでなく、硬貨として使いやすくするための合理的な特徴になっています。


五円玉のデザインには何が描かれているのか

五円玉が特別に見える理由は、穴だけではありません。表面の模様にも意味があります。

五円玉には、稲穂、歯車、水が描かれています。これらは、五円玉が作られた当時の日本の主な産業を表しています。毎日の買い物で何気なく使う硬貨ですが、よく見ると戦後の日本の姿がデザインに反映されています。

稲穂・水・歯車が表すもの

五円玉の稲穂は農業を表しています。日本では米づくりが長く生活と結びついてきました。硬貨の表に稲穂が描かれていると、暮らしを支える農業の存在が自然に伝わってきます。

水の模様は水産業を表しています。日本は海に囲まれた国で、魚や海産物は食文化にも深く関わっています。五円玉の下のほうにある横線のような模様は、ただの飾りではなく、水や海に関わる産業を示すものです。

歯車は工業を表しています。戦後の日本がものづくりを通して復興していく時代に、工業はとても重要な産業でした。稲穂、水、歯車が一枚の硬貨に収まっていることで、農業、水産業、工業という当時の日本を支える力が表されています。

五円玉は、ただ金額を示すだけの道具ではありません。小さな丸い形の中に、その時代の社会の姿が反映されています。

裏面の双葉にも意味がある

五円玉の裏面には、双葉が描かれています。

双葉は、これから育っていくものを連想させる形です。五円玉のデザインでは、戦後、新しく民主国家となった日本を象徴しているとされています。

五円玉が穴あきの黄銅貨として登場したのは、戦後まもない昭和24年です。国の仕組みや社会の空気が変わり、人々の暮らしも大きく動いていた時代でした。

その中で、稲穂、水、歯車、双葉が選ばれたことを考えると、五円玉は単なるお金以上の意味を持って見えてきます。硬貨のデザインは、毎日の買い物で何気なく使われながらも、その時代が大切にしたものを静かに伝えています。

五円玉の表と裏はどちらなのか

五円玉を見ると、稲穂や歯車がある面と、双葉や年号がある面があります。では、どちらが表なのでしょうか。

実は、日本の貨幣には、表と裏を定める法的な決まりがあるわけではありません。ただし、これまでの扱いでは、年号がある面を裏、その反対側を表として見ることが多いです。

五円玉でいえば、稲穂、歯車、水、「五円」がある面が表として扱われ、双葉、「日本国」、年号がある面が裏として扱われます。

普段はあまり意識しない部分ですが、硬貨の表裏にも長く使われてきた見方があります。


五円玉は最初から今の形だったのか

現在の五円玉を見ると、五円玉には昔から穴があるように思えます。けれど、五円玉には穴のない時期もありました。

昭和23年から昭和24年にかけて発行された五円黄銅貨には、国会議事堂が描かれた穴のないデザインがありました。その後、昭和24年に、稲穂、歯車、水、双葉を使った穴あきの五円黄銅貨が登場します。

昭和24年の穴あき五円玉

穴あきの五円玉は、昭和24年に発行されました。このときの五円玉は、今の五円玉と同じく中央に穴があり、稲穂や歯車、水を使ったデザインでした。

ただし、文字の雰囲気は現在とは少し違っていました。昭和24年から昭和33年までの五円玉は、筆で書いたような楷書体の文字が使われており、古い五円玉らしい味わいがあります。

その後、昭和34年に文字の書体が改められ、現在よく見かけるゴシック体の五円玉になりました。このとき「日本國」の「國」も、現在の「日本国」の「国」へ変わっています。

つまり、五円玉の穴や基本的な模様は長く続いていますが、文字の形や表記には変化がありました。古い五円玉を見つけたときは、穴だけでなく文字にも注目すると違いが分かります。

五円玉には算用数字がない

五円玉をよく見ると、もう一つ気づくことがあります。現在の日本の通常硬貨の中で、五円玉だけは「5」という算用数字が使われていません。

一円玉には「1」、十円玉には「10」、五十円玉には「50」、百円玉には「100」、五百円玉には「500」が入っています。けれど、五円玉は「五円」と漢数字で表されています。

これは、五円玉のデザインとして現在の形が選ばれているためです。数字の有無も、書体も、模様も、硬貨全体のデザインの一部です。

五円玉がどこか昔ながらの雰囲気を持っているのは、穴だけでなく、漢数字だけで金額を表していることも関係しているのかもしれません。


硬貨が丸いことにも理由がある

五円玉の穴に注目すると、中央の丸い穴ばかり見てしまいます。けれど、硬貨そのものが丸いことにも理由があります。

明治時代以降の日本の硬貨は、基本的に円形です。円形の硬貨は、手の中で扱いやすく、財布にも入れやすい形です。四角い硬貨のように角がないため、使っているうちに角から傷みやすいということもありません。

また、円形は大量に同じ形を作るうえでも都合がよい形です。硬貨は一枚だけを飾るものではなく、同じ規格でたくさん作られ、長い期間にわたって使われます。

五円玉は、丸い硬貨の中央にさらに丸い穴が開いています。単純に見える形ですが、その中には使いやすさの工夫が詰まっています。


五十円玉にも穴がある理由

日本の現在の通常硬貨で、穴があるのは五円玉と五十円玉です。五十円玉の穴も、ほかの硬貨と見分けやすくするために役立っています。

五十円玉は、最初から今のような穴あきだったわけではありません。かつての五十円玉には穴がありませんでした。その後、ほかの硬貨と区別しやすくするために穴あきの形へ変わっていきました。

五円玉と五十円玉は、どちらも穴がありますが、色や大きさ、縁の形が違います。五円玉は黄銅の色で、縁にギザはありません。五十円玉は白銅で、縁にギザがあります。

同じ「穴あき硬貨」でも、それぞれの特徴を変えることで、さらに見分けやすくしているのです。


Q&A(よくある疑問)

五円玉に穴がある一番の理由は何ですか?

一番大きな理由は、ほかの硬貨と見分けやすくするためです。穴があることで、見た目だけでなく指先の感覚でも区別しやすくなります。ほかにも、偽造をしにくくする意味があるとされています。

五円玉は最初から穴があったのですか?

五円玉には、穴のないものもありました。昭和23年から昭和24年にかけて発行された五円黄銅貨には、国会議事堂が描かれた穴なしのデザインがあります。その後、昭和24年に穴あきの五円黄銅貨が発行されました。

五円玉の模様にはどんな意味がありますか?

表面の稲穂は農業、水は水産業、歯車は工業を表しています。裏面の双葉は、戦後、新しく民主国家となった日本を象徴しているとされています。五円玉のデザインには、当時の日本の社会状況が反映されています。

五円玉の表はどちらですか?

日本の貨幣には、表と裏を定める法的な決まりがあるわけではありません。ただし、これまでの扱いでは、年号のある面を裏、その反対側を表として見ることが多いです。五円玉では、稲穂、歯車、水、「五円」がある面が表として扱われます。

なぜ五円玉には「5」と書かれていないのですか?

五円玉は、現在の通常硬貨の中で算用数字が使われていない珍しい硬貨です。これは、漢数字の「五円」を使うデザインが選ばれているためです。数字の形や書体も、硬貨全体のデザインの一部として扱われています。


まとめ

五円玉に穴があるのは、飾りのためだけではありません。ほかの硬貨と見分けやすくすること、偽造をしにくくすることなど、硬貨として使いやすくするための理由があります。さらに、穴の分だけ使う金属が少なくなるという面もあります。

また、五円玉の模様には、稲穂、歯車、水、双葉が描かれています。そこには、農業、水産業、工業、そして戦後に新しく歩み出す日本の姿が表されています。

五円玉は、小さくて身近な硬貨です。けれど、その穴や模様をよく見ると、使いやすさの工夫と時代の記憶が重なっていることが分かります。財布の中で何気なく見ている五円玉にも、形に隠れた理由があるのです。

参考情報

  • 日本銀行「貨幣はなぜ丸いのですか?5円玉や50円玉に穴があいているのはなぜですか?貨幣の表はどちらですか?」
  • 造幣局「貨幣のデザイン」
  • 造幣局「貨幣Q&A」
  • 財務省「通常貨幣一覧」
  • 日本銀行「現在発行されている銀行券・貨幣」
  • 日本銀行「5円貨(黄銅)」

この記事を書いた人

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