食べ物の色で食欲は変わる?赤が気になる理由と見た目の効果

赤いトマトソース、つやのあるいちご、熟したりんご。
赤い食べ物を見ると、なんとなくおいしそうに感じることがあります。では、本当に赤は食べたい気持ちを後押ししやすいのでしょうか。

今の研究を見ると、赤が食欲や味の期待に関わる場面はたしかにあるものの、いつでも同じ方向に働くわけではない、という見方がいちばん近そうです。食べ物の色は、口に入れる前の「甘そう」「濃そう」「食べごろかもしれない」といった印象に影響しやすく、赤が好印象につながりやすい場面はあります。
ただし、赤なら必ず食欲が高まるわけではありません。研究では、赤い皿や赤いラベルが摂取量を減らした例もあり、不自然な赤は、かえって食べたい気持ちを下げることもあります。


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食べ物の色は、食べる前の期待をつくっている

人は食べ物を口に入れる前から、見た目でかなり多くのことを判断しています。色、つや、盛りつけ、量の見え方は、「おいしそうか」「味が濃そうか」「満足できそうか」といった予想に関わります。食べ物に関する視覚的な手がかりをまとめた研究でも、色を含む見た目の要素が、受け入れられやすさや食べる量に影響しうるとされています。

色の働きは、単に好き嫌いだけではありません。たとえば赤やピンクは、甘さや熟し方、味の強さを連想させやすい色として受け取られやすいと考えられています。飲み物や食品を使った研究でも、見た目の色が味や風味の予想を動かし、その後の感じ方まで変えることがあると報告されています。見た目が先に期待をつくり、その期待が実際の印象にも影響するわけです。


赤が気になりやすいのは、食べごろを思い出させるから

赤が食欲と結びつきやすい理由のひとつは、自然な食べ物の中に「食べごろの赤」が多いことです。いちご、さくらんぼ、熟したりんご、トマト、赤いソース類は、見た瞬間に甘そう、熟していそう、味がしっかりしていそうと感じやすい食品です。こうした経験が積み重なると、赤はそれだけで味の期待を引き出しやすい色になります。

実際、赤い食べ物を見ると、まだ口にしていないのに「濃い味かもしれない」「みずみずしそう」と思うことがあります。これは、赤そのものが魔法のように食欲を生み出しているというより、これまでの経験の中で、赤とおいしさが結びついてきたからでしょう。子どものころから見慣れてきた赤い果物や料理の印象が、今の感覚にも残っているのです。

近年の研究でも、赤が好ましい印象につながる場面は確認されています。赤を主調にした料理サンプルが、黄色や青より高く評価されたという報告もあります。ただ、この結果も「赤なら常に有利」という意味ではありません。料理の種類や見慣れた色との相性まで含めて見たほうが、実際の感覚には近いはずです。


ただし、赤なら何でも食べたくなるわけではない

ここがいちばん大切なところです。赤は、いつも食べたい気持ちを後押しする色ではありません。赤いラベルのついたコップではソフトドリンクの摂取量が減り、赤い皿でも、白や青の皿よりスナックの摂取量が少なくなった研究があります。研究者は、赤が警告や停止のサインのように働き、無意識の抑制につながった可能性を示しています。

つまり、赤には「おいしそう」と感じさせる面だけでなく、「少し注意したほうがよさそう」と感じさせる面もあります。普段の生活でも、赤はセールや注目の色であると同時に、禁止や注意を知らせる色としても使われます。そのため、同じ赤でも、食べ物に自然になじんでいるときと、警告色のように見えるときでは、受け取り方がかなり変わります。

さらに、食品の画像を不自然な赤や青に変えると、元の自然な色の食品画像より「食べたい気持ち」が下がった研究もあります。たしかに、熟したいちごの赤はおいしそうに見えても、色味が強すぎる真っ赤なお菓子や、着色感の強い飲み物には少し身構えることがあります。見た目があまりに不自然だと、赤は魅力より違和感につながりやすいのです。


食欲を動かしているのは、色そのものより見え方のまとまり

赤が食欲につながるかどうかは、色ひとつで決まるわけではありません。その赤が自然に見えるか、食品らしく見えるか、味の予想と合っているかで、印象はかなり変わります。研究でも、食べ物の見た目は色単独ではなく、量、形、つや、配置などと組み合わさって働くと考えられています。

たとえば、赤いソースのかかった料理は「コクがありそう」と感じても、同じ赤でも器や照明の影響で不自然に見えると、印象は変わります。盛りつけが雑に見えたり、光が強すぎて色だけが浮いていたりすると、おいしそうという期待は弱くなりやすいはずです。食欲を動かしているのは、赤という単語ではなく、料理全体がどう見えているかです。

器の色も無視できません。白い皿より赤い皿や黒い皿で摂取エネルギーが多くなった研究もあれば、赤い皿で摂取量が減った研究もあります。結果がそろわないのは、皿の色だけでなく、料理の色、量の見え方、食べる場面、対象者の条件が違うからでしょう。照明の色によって食べたい気持ちや感情評価が動く可能性を示した研究もあり、食欲は食べ物そのものの色だけでなく、周囲の雰囲気も含めた見え方全体で動くと考えたほうが近そうです。


では、「赤い食べ物は食欲を刺激する」は本当なのか

この言い方は、完全な間違いではありません。赤は、熟した果実、濃い味、甘さ、温かさを思い出させやすく、食べ物を魅力的に見せることがあります。だから、赤い食べ物が目につきやすく、おいしそうに感じるのは不思議ではありません。

ただし、それをそのまま「赤は食欲増進の色」と言い切るのは少し粗い見方です。赤がよく働くのは、自然な赤として料理や果物になじんでいるときです。反対に、警告色として受け取られる赤や、不自然に見える赤は、食べたい気持ちにブレーキをかけることもあります。

少なくとも今の研究では、より正確なのは、食べ物の色は食欲や味の期待に影響するが、その方向は文脈で変わるという言い方です。赤はたしかに目を引きやすく、食べごろや濃い味を思い出させやすい色です。けれど、その効果は赤そのものの力だけで決まるのではなく、何の食べ物に見えるか、どんな場で見ているか、どれだけ自然に見えるかに左右されます。


Q&A(よくある疑問)

赤い皿や赤い店内でも食欲は変わる?

変わる可能性はありますが、一方向ではありません。赤い皿で摂取量が減った研究もあれば、白い皿より摂取エネルギーが増えた研究もあります。食べ物そのものの色、皿の色、照明の色は、それぞれ分けて考えたほうが混乱しにくくなります。

青い食べ物は食べたくなくなりやすい?

青は、赤より食べ物としてなじみにくい色として受け取られやすい傾向があります。研究でも、青は「食欲がない」「嫌悪感」と結びつきやすい結果が見られました。ただし、これも食品の種類や見せ方に左右されるため、青なら必ず食べたくなくなるとまでは言えません。

赤い食べ物がおいしそうに見えるのは気のせい?

気のせいとまでは言えません。色は味の予想を動かしやすく、赤は甘さや熟し方、濃い味を連想させやすいと考えられています。ただ、その働きは赤そのものの力だけで決まるわけではなく、自然さや見慣れた組み合わせも大きく関わります。


まとめ

赤い食べ物が食べたい気持ちを後押しする場面はあります。けれど、それは赤だから自動的に起こるわけではありません。自然な赤は熟し方や味の濃さを思い出させやすく、おいしそうという期待につながりやすい一方で、不自然な赤や警告色としての赤は、逆にブレーキになることもあります。

食欲を動かしているのは、色そのものだけではなく、その色が何を意味して見えるかです。赤が気になるのは、見た目とこれまでの経験が重なりやすい場面が多いからなのかもしれません。


参考情報

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    「A review of visual cues associated with food on food acceptance and consumption」
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  • Oliver Genschow, Leonie Reutner, Michaela Wänke
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    Appetite, 2012
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  • Asli Akyol, Aylin Ayaz, Elif Inan-Eroglu, Cansu Cetin, Gulhan Samur
    「Impact of three different plate colours on short-term satiety and energy intake: a randomized controlled trial」
    Nutrition Journal, 2018
  • Michaela Rohr, Friederike Kamm, Joerg Koenigstorfer, Andrea Groeppel-Klein, Dirk Wentura
    「The Color Red Supports Avoidance Reactions to Unhealthy Food」
    Experimental Psychology, 2015

この記事を書いた人

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