「今年の花粉症、もう始まっている気がする」
そんな声は、毎年のように聞かれます。花粉症は、カレンダー上の決まった日に一斉に始まるものではありません。地域の気候、その年の天候、飛ぶ花粉の種類、体質や体調によって、症状を感じ始める時期は変わります。
春のスギ花粉を思い浮かべる人が多いですが、花粉症の原因になる花粉はスギだけではありません。ヒノキ、シラカバ、イネ科、ブタクサ、ヨモギなど、地域や季節によって注意される花粉は異なります。
「いつから始まるのか」を知るには、全国一律の日付ではなく、自分の地域の花粉情報と、毎年の体調の変化を合わせて見ることが大切です。
花粉症は「いつから始まる」と決まっているものではない
花粉症は、特定の日付から急に始まるものではありません。
たとえばスギ花粉の場合、一般的には2月ごろから症状を意識する人が増えます。ただし、これは多くの地域で飛散が本格化しやすい時期の目安であり、すべての人に当てはまるわけではありません。
早い地域では、1月のうちから花粉を感じる人もいます。反対に、3月になってから急に症状が強くなる人もいます。
花粉症の始まり方が人によって違うのは、花粉の量だけでなく、体の反応にも差があるためです。少量の花粉でも反応しやすい人もいれば、一定量を超えてから症状が出る人もいます。
そのため、「花粉が飛び始めた日」と「自分の症状が始まる日」は必ずしも同じではありません。
年ごとに花粉症の始まりが変わる理由
「去年より早い気がする」「今年は遅い気がする」と感じる背景には、気温や花粉量の違いがあります。
花粉は植物の状態や気象条件に影響されるため、毎年まったく同じ時期に同じ量だけ飛ぶわけではありません。
前年夏の気候は花粉量に関わる
スギ花粉の量は、前年の夏の気温や日照時間に左右されやすいとされています。
夏が暑く、日照時間が長い年は、スギの雄花が多く作られやすく、翌年の花粉量が増えることがあります。花粉量が多い年は、少量の飛散でも症状を感じる人が増えやすくなります。
ただし、前年夏の気候が主に関係するのは、翌年にどれくらい花粉が飛ぶかという「量」の部分です。
「いつ飛び始めるか」は、冬から春にかけての気温や天候の影響も大きくなります。
冬から春の気温は飛散開始に関わる
スギ花粉は、冬の寒さを経たあと、春に向けて気温が上がることで飛び始めやすくなります。
暖かくなるのが早い年は、飛散開始も早まりやすくなります。反対に、寒さが長引く年は、飛散開始が遅れることがあります。
同じ地域でも、暖冬の年と寒い冬の年では、症状を感じ始める時期が変わることがあります。
また、雨や風の影響もあります。雨の日は花粉が飛びにくい一方、晴れて風が強い日や、雨上がりに気温が上がった日は花粉が多く飛びやすくなることがあります。
地域差が生まれるのはなぜ?
花粉症の始まりには、地域ごとの気候差も大きく関係します。
日本列島は南北に長いため、同じスギ花粉でも、暖かい地域と寒い地域では飛び始める時期が変わります。
暖かい地域ほど早く始まりやすい
九州、四国、関東南部など、比較的暖かい地域では、スギ花粉が早めに飛び始めることがあります。
年によって差はありますが、1月下旬から2月上旬ごろに違和感を覚える人もいます。その後、気温の上昇とともに飛散量が増え、2月から3月にかけて症状が強くなりやすくなります。
一方、東北など寒冷な地域では、スギ花粉の本格化が2月後半から3月以降になりやすい傾向があります。
北海道では、本州のようにスギ花粉が中心になる地域ばかりではありません。シラカバ花粉が話題になることが多く、春の後半から初夏にかけて注意されることがあります。
スギだけでなく花粉の種類でも時期が変わる
花粉症というと春のスギ花粉が有名ですが、原因になる花粉は季節によって変わります。
春はスギやヒノキが代表的です。北海道などではシラカバ花粉が話題になることがあります。
夏から秋にかけては、イネ科、ブタクサ、ヨモギなどの花粉が関係する場合があります。
そのため、「花粉症は春だけ」とは限りません。春に症状が少ない人でも、夏や秋に鼻や目の症状が出ることがあります。
自分がどの花粉に反応しやすいかによって、花粉症の始まりは変わります。
「花粉が飛び始める」と「症状が出る」は別
花粉症の時期を考えるときに大切なのが、花粉の飛散開始と症状の開始は同じではないという点です。
花粉の飛散開始は、観測上の基準によって判断されます。一方で、症状が始まるタイミングは、人によって違います。
花粉が少量でも反応する人は、飛散が本格化する前から違和感を覚えることがあります。反対に、花粉が飛び始めていても、しばらく症状が出ない人もいます。
また、その日の体調によっても感じ方は変わります。睡眠不足や疲れ、風邪気味の状態などが重なると、いつもより症状を強く感じることがあります。
ニュースで「花粉が飛び始めました」と聞いても、すぐ全員が同じように症状を感じるわけではありません。花粉情報は目安として使い、自分の体調の変化も合わせて見ておくと、時期のずれに気づきやすくなります。
すでに症状が出る人と、まだ平気な人の違い
同じ地域にいても、花粉症の症状が出る人と出ない人がいます。
これは、花粉に対する体の反応が人によって違うためです。花粉症は、体の免疫が花粉に反応して起こります。花粉に対してどれくらい敏感かは、体質や過去の花粉への触れ方、体調などによって変わります。
また、同じ人でも年によって症状の強さが変わることがあります。
「今年は早く症状が出た」
「去年より軽い気がする」
「周りは平気なのに自分だけつらい」
こうした違いは珍しくありません。
花粉量が多い年でも症状が軽い人もいれば、花粉量がそれほど多くない年でも強く反応する人がいます。花粉症は、飛んでいる花粉の量だけでなく、体の状態との組み合わせで感じ方が変わるものです。
いつから対策を意識すればいいのか
花粉症対策は、症状が強くなってから慌てるより、少し早めに意識しておくと準備しやすくなります。
ただし、「必ずこの日から始める」という正解はありません。
目安にしやすいのは、次のようなタイミングです。
例年つらくなりやすい時期の少し前。
花粉情報で飛散開始が近いと分かった頃。
鼻や目に軽い違和感が出始めた頃。
このあたりから、外出時のマスクやメガネ、帰宅後に花粉を払う、洗濯物の干し方を考える、室内に花粉を持ち込まないといった工夫を意識しやすくなります。
症状が強い人や、毎年同じ時期につらくなる人は、早めに医療機関で相談することも選択肢です。自己判断で我慢し続けるより、症状の出方に合わせて対応を考えるほうが、過ごし方を選びやすくなります。

花粉症の始まりを知るには記録も役立つ
花粉症は、毎年同じ日に始まるわけではありません。それでも、自分の傾向を知ることはできます。
たとえば、毎年いつごろから鼻水や目のかゆみが出るのか。どんな天気の日につらくなりやすいのか。スギ花粉の時期なのか、ヒノキや秋の花粉の時期なのか。
こうした情報を簡単に記録しておくと、翌年以降の対策の目安になります。
花粉情報だけを見て判断するより、自分の体調の変化と合わせて見るほうが実感に近くなります。
「今年は早い」「今年は軽い」と感じるのは、気のせいとは限りません。気温、風、雨、花粉量、体調が重なって、その年ごとの違いが生まれます。
Q&A(よくある疑問)
まとめ
花粉症は、決まった日に一斉に始まるものではありません。
スギ花粉の場合、2月ごろから意識されることが多いものの、地域や年の気候によって始まり方は変わります。前年夏の気候は翌年の花粉量に関わり、冬から春にかけての気温は飛散開始に影響しやすくなります。
また、花粉症の原因になる花粉はスギだけではありません。ヒノキ、シラカバ、イネ科、ブタクサ、ヨモギなど、地域や季節によって注意される花粉は異なります。
「花粉が飛び始める日」と「自分の症状が出る日」も同じとは限りません。花粉量、体質、体調によって、感じ方には個人差があります。
花粉症の始まりを知るには、花粉情報だけでなく、自分が毎年いつごろつらくなるかを見ておくことも役立ちます。症状が強い場合や、日常生活に支障がある場合は、自己判断で我慢せず医療機関に相談してください。
※診断や治療を目的とした内容ではなく、花粉症の始まり方や地域差を一般的に紹介する内容です。
参考情報
- 環境省「花粉症環境保健マニュアル2022」
- アレルギーポータル「花粉症」
- 厚生労働省ほか「花粉症に悩む国民の皆さんへ」
- 政府広報オンライン「花粉症で悩む皆さま!早めの治療や予防行動を!」
- 東京都保健医療局「東京都アレルギー情報navi.」
- 北海道立衛生研究所「シラカバの花粉飛散状況」
