「きのこ派か、たけのこ派か」という話題は、日本のお菓子をめぐる定番の会話です。
きのこの山は1975年、たけのこの里は1979年に登場したお菓子で、どちらもチョコレートと焼き菓子を組み合わせた身近な存在です。明治の公式情報でも、「きのたけ論争」は1980年頃から始まったものとして紹介されています。
この話題が長く親しまれているのは、どちらが正しいかを決めるためというより、好みを気軽に語れるからです。味や食感の違いをきっかけに、「自分はこっち」と言えるところに会話の広がりがあります。
では、海外にもきのこ派・たけのこ派のように、食べ物の好みで会話が盛り上がる文化はあるのでしょうか。
まったく同じ形のものは多くありません。けれど、海外にも「好きか苦手か」「どちらのブランドが好きか」「これは何に分類されるのか」といった形で、食べ物をめぐる話題が盛り上がる例はあります。
きのこ派とたけのこ派はなぜ盛り上がるのか
きのこ派とたけのこ派が長く話題になるのは、単にチョコ菓子の味が違うからだけではありません。
どちらも同じメーカーの商品で、チョコレートと焼き菓子を組み合わせた近い存在です。けれど、きのこの山はクラッカー系の軽さ、たけのこの里はクッキー系の甘さとサクサクしたクランキー感が印象に残りやすく、食感の違いが好みを分けます。
似ているから比べやすい。
けれど同じではないから選びたくなる。
この近さと違いがあるからこそ、「どっち派?」という会話になりやすくなっています。
味だけでなく「自分はどちら派か」を語りやすい
きのこ派・たけのこ派の話題は、味の優劣だけで続いているわけではありません。
「自分はこっちが好き」と言いやすく、相手もすぐ反応できます。難しい知識がいらず、子どもの頃によく食べていた記憶や、家で買っていたお菓子の好みとも結びつきます。
お菓子の違いを語っているようで、実際には思い出や好みの話にもなります。だからこそ、発売から長い時間が経っても、雑談のきっかけとして残り続けているのでしょう。
海外にも食べ物の好みで分かれる例はある
海外にも、きのこ派・たけのこ派とまったく同じ構図ではないものの、食べ物をめぐって好みが分かれる例はあります。
たとえばイギリスのマーマイトは、好き嫌いがはっきり分かれる食品としてよく知られています。パンなどに塗る酵母由来のスプレッドで、独特の風味があるため、強く好む人もいれば苦手に感じる人もいます。
この特徴は広告にも使われ、マーマイトは「Love it or hate it」、つまり「好きになるか、嫌いになるか」というコピーで知られるようになりました。このコピーは1996年に生まれたものとして紹介されており、好き嫌いが分かれること自体をブランドの個性にした例といえます。
これは「A派・B派」のように二つの商品を比べる話ではありません。けれど、食べ物をきっかけに「好きな人」と「苦手な人」に分かれやすい点では、きのこ派・たけのこ派に近い盛り上がり方があります。
ブランドの好みで分かれる例もある
海外でわかりやすい例としては、コカ・コーラとペプシのようなブランドの好みもあります。
いわゆる「コーラ戦争」は、両社の長い競争や広告戦略をめぐる言葉として知られています。特に1970年代後半から1980年代にかけて、両ブランドの競争は大きく注目されました。
これはお菓子ではなく飲み物ですが、「自分はこっちが好き」と言いやすい点では似ています。味の違いだけでなく、広告の印象、育った地域、家でよく飲んでいたブランドなども好みに影響します。
ただし、コカ・コーラとペプシの場合は、企業同士の競争や広告戦略の歴史も大きく関わります。消費者が「どちらが好きか」を語る軽い話題としても成立しますが、きのこ派・たけのこ派のような同じメーカーの商品同士の好みとは少し性質が違います。
きのこ派・たけのこ派も、単なる味覚だけでなく「昔からこっちを選んでいた」という記憶が混ざりやすい話題です。食べ物の好みは、味だけで決まるというより、経験や親しみも一緒に残りやすいものです。
食べ物の分類をめぐる議論もある
海外には、好みの分かれ方ではなく「これは何に分類されるのか」で話題になる食べ物もあります。
イギリスのジャファケーキは、その代表例としてよく知られています。名前には「ケーキ」とありますが、見た目や食べ方はビスケットにも近く見えるため、「ケーキなのか、ビスケットなのか」が議論になりました。
この話が有名になった大きな理由は、イギリスの付加価値税の扱いに関係していたからです。チョコレートで覆われたビスケットは課税対象になり得る一方、ケーキはゼロ税率扱いとされるため、ジャファケーキがどちらに分類されるかは単なる雑談ではありませんでした。
そのため、ジャファケーキはきのこ派・たけのこ派のような好みの話というより、身近なお菓子が分類や制度をめぐって話題になった例として見るほうが自然です。
食べ物をめぐる話題は、味の好みだけでなく、名前、形、分類、地域の文化、企業の歴史からも生まれます。海外例を見ると、食べ物が会話のきっかけになる理由の幅広さが見えてきます。
日本のきのこ派・たけのこ派が独特な理由
海外にも似たような例はありますが、日本のきのこ派・たけのこ派には独特のわかりやすさがあります。
第一に、商品名と形が対になっています。
「きのこ」と「たけのこ」はどちらも自然物の名前で、形の違いも目でわかります。
第二に、どちらも同じメーカーから出ている、近いタイプのチョコスナックです。
まったく別ジャンルの商品ではなく、チョコレートと焼き菓子を組み合わせた近い存在だからこそ、比較しやすくなっています。コカ・コーラとペプシのような企業・ブランド同士の競争とは違い、きのこ派・たけのこ派は、同じメーカーの商品同士の好みの分かれ方として受け止められやすいのです。
第三に、違いが味覚だけではなく食感に出ます。
きのこの山はクラッカー系の軽さ、たけのこの里はクッキー系の甘さやサクサクした食感が印象に残ります。どちらもチョコと焼き菓子の組み合わせなのに、食べたときの印象が違うため、好みが分かれやすくなります。
この「似ているのに違う」「同じメーカーの商品として比べやすい」「名前も形も対になっている」という条件がそろっているため、きのこ派・たけのこ派は長く親しまれる話題になったと考えられます。
海外では好みだけでなく文化やブランドの話になりやすい
日本のきのこ派・たけのこ派は、かなり軽い会話として成立します。
一方、海外の似た例は、国や地域の文化、ブランドの歴史、広告、制度と結びつくことがあります。マーマイトは好き嫌いが分かれる味の代表例として語られ、コーラの好みはブランドの印象や企業競争とも関係します。ジャファケーキは、分類と税制が話題になった例です。
きのこ派・たけのこ派は、その中間にあります。企業の商品でありながら、消費者側の遊びとしても広がっています。深刻な対立ではなく、軽い自己紹介や雑談として使えるところが特徴です。
「どっち派?」と聞くだけで会話が始まる。
その手軽さが、日本のきのこ派・たけのこ派らしさです。
完全に同じものは少ないが似た現象はある
海外にも、きのこ派・たけのこ派と似た現象はあります。
ただし、完全に同じ構造とは限りません。マーマイトのように「好きか苦手か」で分かれるものもあれば、コーラのようにブランドで分かれるものもあります。ジャファケーキのように、食べ物の分類そのものが話題になる例もあります。
きのこ派・たけのこ派は、これらの要素を少しずつ持っています。味の好み、メーカーの商品としての親しみ、形や食感の違い、そして話題にしやすい軽さが重なっています。
だからこそ、日本では長く続く定番の雑談テーマになっているのでしょう。
Q&A(よくある疑問)
まとめ
きのこ派とたけのこ派のように、食べ物の好みで盛り上がる文化は海外にも似た形で見られます。
ただし、海外では同じお菓子同士の好みというより、好き嫌いが分かれる食品、ブランド同士の好み、食べ物の分類をめぐる話題として現れることが多いです。
きのこ派・たけのこ派が特にわかりやすいのは、どちらも身近なチョコスナックで、同じメーカーの商品として比べやすく、名前も形も対になっていて、食感の違いまで語りやすいからです。
完全に同じ海外版があるというより、人が食べ物を通じて「自分はどちら派か」を語りたくなる文化は、世界のあちこちにあると見るのがよさそうです。
参考情報
- 明治「ヒストリー|きのこの山・たけのこの里」
- 明治「『きのこの山』&『たけのこの里』」
- Creative Review「The history of the Marmite You Either Love It Or Hate It slogan」
- HISTORY「How the ‘Blood Feud’ Between Coke and Pepsi Escalated During the 1980s Cola Wars」
- GOV.UK「VFOOD6260 – The borderline between cakes and biscuits」
