団塊世代、バブル世代、ゆとり世代、Z世代。
ニュースや会話の中で、さまざまな「○○世代」という呼び名を見かけます。
ただ、世代区分には法律上の統一基準があるわけではありません。世代とは、同じ時代背景を共有した人たちを大まかに見るための社会的な枠組みです。
しかも、すべての世代名が同じ基準で作られているわけではありません。団塊世代のように人口の山から生まれた呼び名もあれば、就職氷河期世代のように雇用環境から広まった呼び名、Z世代のように海外由来の区分として使われる呼び名もあります。
そのため、世代区分はきれいに横一列に並ぶものではなく、重なり合うことがあります。世代名の成り立ちを知ると、ニュースや社会の変化が少し見えやすくなります。
世代区分はどのように決まるのか
世代は、単に「何年生まれ」と機械的に区切られるものではありません。
大きな社会変化、経済状況、技術革新、教育制度、雇用環境などを共有した人たちを、後から説明するために名付けられることが多いです。
たとえば、出生数が多い時期に生まれた人たちには人口動態に基づく呼び名がつきます。景気のよい時期に社会へ出た人たちは経済状況と結びつけて説明されます。教育制度の変化を経験した人たちは、その制度名と一緒に呼ばれることがあります。
そのため、世代区分には次のような特徴があります。
- 生年の境界は固定ではない
- 研究機関やメディアによって年代が少し異なる
- 学術的な区分とメディア的なラベルが混ざる
- 同じ人が複数の世代名に当てはまることがある
たとえば、ある人は「団塊ジュニア」でありながら、就職時期によっては「就職氷河期世代」として扱われることもあります。人口動態で作られた呼び名と、雇用環境で作られた呼び名は基準が違うためです。
世代名は、社会の流れを大まかにつかむための目印です。その人の性格や価値観を決めるものではないため、背景を知るための手がかりとして見ると理解しやすくなります。
世代という考え方が広まった背景
世代という区分が広く使われるようになった背景には、「ジェネレーションギャップ」という言葉の浸透もあります。
親世代と子世代の価値観や文化の違いを説明するとき、世代という枠組みは便利に使われてきました。音楽、ファッション、働き方、消費行動、メディアの使い方などは、育った時代によって差が出やすいからです。
1960年代以降、若者文化の変化が社会的に注目される中で、世代差を表す言葉はさらに広まりました。その後、メディアやマーケティング分野でも世代区分が活用されるようになり、現在のように多様な世代名が使われるようになりました。
ただし、世代名はあくまで大まかな分類です。同じ時代に生まれても、地域、家庭環境、進学や就職のタイミング、使ってきたメディアによって経験は変わります。
日本で広まった世代区分
日本の世代区分には、人口動態、経済状況、教育制度、メディアのイメージから生まれたものがあります。
海外由来のX世代やZ世代と重なる部分もあるため、日本独自の世代名だけで全員をきれいに分けられるわけではありません。
人口動態に基づく区分
団塊世代(1947〜1949年生まれ)
団塊世代は、戦後の第一次ベビーブーム期に生まれた世代です。出生数が突出して多く、日本の高度経済成長期を支えた世代として紹介されることが多い呼び名です。
「団塊」という言葉は、人口のかたまりを表すような印象を持つ呼び名です。日本の世代名の中でも、出生数というはっきりした人口動態を背景にしています。
団塊ジュニア(1971〜1974年頃生まれ)
団塊ジュニアは、第二次ベビーブーム期に生まれた層を指します。団塊世代の子ども世代にあたる人が多く、こちらも人口の多さを背景にした呼び名です。
ただし、団塊ジュニアは就職氷河期世代と重なることがあります。団塊ジュニアは人口動態の呼び名で、就職氷河期世代は雇用環境の呼び名なので、同じ人が両方に当てはまる場合があります。
海外の「ベビーブーマー」との関係
アメリカなどでは、1946〜1964年頃に生まれた人たちをベビーブーマーと呼びます。戦後の出生増加を背景にした世代名です。
日本の団塊世代は、海外でいうベビーブーマーの中の一部にあたります。ただし、日本では1947〜1949年の出生数の山が特に目立つため、「団塊世代」という独自の呼び名が定着しました。
1950〜1964年生まれ全体をまとめた日本独自の強い世代名はあまり定着していませんが、国際的な世代区分ではベビーブーマーに含まれることがあります。
経済や雇用環境に基づく区分
バブル世代(1965年前後〜1970年頃生まれ)
バブル世代は、バブル経済期に就職活動や入社の時期を迎えた人たちを指すことが多い呼び名です。好景気の影響を受けた世代として知られています。
この世代は、生年だけでなく「いつ社会に出たか」が重要です。高卒、短大卒、大卒など進路によって就職時期が変わるため、該当する生年の感覚には少し幅があります。
就職氷河期世代(1970年代前半〜1980年代前半頃生まれ)
就職氷河期世代は、バブル崩壊後の厳しい雇用環境の中で社会へ出た人たちを指す呼び名です。
新卒採用が絞られた時期に就職活動を経験したため、雇用やキャリア形成の面で大きな影響を受けた世代として扱われることがあります。政策議論でも取り上げられる区分です。
この呼び名も、単純な生年だけで決まるものではありません。就職する時期や学歴によって、該当する範囲が少し変わります。
教育・社会イメージ由来の呼び名
ゆとり世代(1987年頃〜2004年頃生まれ)
ゆとり世代は、ゆとり教育を受けた世代として広まった呼び名です。教育制度に由来する言葉ですが、どこからどこまでを含めるかは厳密ではありません。
小学校からゆとり教育を受けた人もいれば、学生時代の一部だけ重なった人もいます。そのため、世代名としてはやや幅のある言葉です。
また、「ゆとり」という言葉は、世代への評価やイメージと結びついて使われることもありました。人を決めつける言葉としてではなく、教育制度の変化を背景にした呼び名として見ると理解しやすくなります。
さとり世代(1990年前後生まれ)
さとり世代は、消費欲が強くない若者像としてメディアで使われた言葉です。物を持つことや派手な消費に強くこだわらない、現実的で無理をしない若者像と結びついて説明されました。
ただし、正式な世代区分というより、社会的イメージを示すラベルに近い言葉です。すべての人に当てはまるものではなく、メディアが時代の空気を表すために使った呼び名として見るのがよいでしょう。
ゆとり世代以降、日本独自の世代名はやや流動的になっています。SNSやメディアによって新しい呼び名が生まれることもありますが、定着するものばかりではありません。
海外由来の世代区分
海外由来の世代区分は、主にアメリカや英語圏の調査、世代研究、マーケティングで広まった呼び方です。
ただし、世界中で完全に同じ意味で使われているわけではありません。日本で使う場合は、日本独自の世代名と重なることがあります。
サイレント世代(1928〜1945年頃)
サイレント世代は、戦争や戦後の社会変化の中で育った世代です。政治的な自己主張が目立ちにくい世代と見なされたことから、この名称が使われました。
海外の世代研究でよく見られる呼び名で、日本独自の人口動態に基づく世代名とは別の流れで使われています。
ベビーブーマー(1946〜1964年頃)
ベビーブーマーは、戦後の出生増加期に生まれた世代です。経済成長期と結びつけて説明されることが多い世代です。
日本の団塊世代はこの中の一部にあたりますが、ベビーブーマーはより長い期間を含む区分です。
X世代(1965〜1980年頃)
X世代は、ベビーブーマーの次にあたる世代として広まった呼び名です。
「X」は、はっきりした名前を持たない新しい若者層を表すような呼び名として広まりました。ベビーブーマー世代とは異なる価値観を持つ若者層として注目され、消費傾向の分析などとともに使われるようになりました。
X世代は、アナログ中心の時代からデジタル化が進み始める時代へ移っていく過程を経験した世代として説明されることもあります。
Y世代/ミレニアル世代(1981〜1996年頃)
Y世代は、X世代の次にあたるため「Y」と呼ばれました。現在では、ミレニアル世代という呼び名のほうが広く使われています。
ミレニアル世代という名前は、2000年前後に成人期を迎えたことに由来します。インターネットの普及期に成長し、アナログとデジタルの橋渡し世代として紹介されることもあります。
子どものころは紙の情報やテレビが身近で、成長するにつれてパソコン、携帯電話、インターネットが広がっていった人が多い世代です。
Z世代(1997〜2012年頃)
Z世代は、Y世代の次として使われる世代名です。X、Y、Zとアルファベット順に続いた呼び名で、Z自体が何かの略語というわけではありません。
スマートフォンやSNSが身近な環境で育った層として説明されることが多い世代です。動画文化、短時間で消費されるコンテンツ、オンラインコミュニケーションが日常に入り込んだ世代とされます。
多様性や個人の尊重を大切にする傾向が語られることもあります。ただし、Z世代の人が全員同じ価値観を持っているわけではありません。地域、家庭環境、年齢差、使うメディアによって感覚は変わります。
資料によっては、Z世代を1995〜2009年頃とする場合もあります。Z世代の範囲は世界共通で固定されているわけではなく、調査機関や文脈によって少し変わります。
X・Y・Zは略称ではなく、順番としての呼び方です。
Z世代の次はどうなったのか
アルファベットはZで終わります。そのため、Z世代の次の呼び名として新しい区分が考えられるようになりました。
ここからはラテン文字(A〜Z)ではなく、ギリシャ文字へ移る形で、アルファ世代という呼び名が使われています。
アルファ世代(2010〜2024年頃)
アルファ世代は、Z世代の次の呼び名として広く使われるようになっている世代名です。アルファはギリシャ文字のAlpha(α)にあたります。
この世代は、タブレットや音声アシスタント、動画配信、AIなどが身近な環境で育つ世代として扱われます。また、幼少期にコロナ禍を経験した層も含まれるため、学校生活や家庭でのデジタル利用に大きな影響を受けた世代ともいえます。
ただし、まだ成長途中の人が多く、社会に出ている層は限られています。そのため、アルファ世代の特徴は今後の社会環境によって変わる可能性があります。
ベータ世代(2025〜2039年頃)
ベータ世代は、アルファ世代の次として提案されている呼び名です。
2025年頃以降に生まれる世代を指す区分として使われ始めています。AIや自動化、スマートデバイスがさらに進んだ環境で育つ世代として語られることがあります。
ただし、ベータ世代は生まれ始めたばかりの世代です。特徴についてはまだ予測の段階であり、今後の社会や技術の変化によって見方が変わっていくと考えられます。
世代区分の一覧表
一覧表は、世代を完全に分けるためのものではなく、それぞれの呼び名がどの時代や背景から生まれたのかを見るための目安です。
| 呼称 | 年代(目安) | 由来 |
|---|---|---|
| サイレント世代 | 1928〜1945頃 | 海外・世代研究 |
| ベビーブーマー | 1946〜1964頃 | 海外・人口動態 |
| 団塊世代 | 1947〜1949 | 日本・人口動態 |
| 団塊ジュニア | 1971〜1974頃 | 日本・人口動態 |
| バブル世代 | 1965前後〜1970頃 | 日本・経済現象 |
| 就職氷河期世代 | 1970年代前半〜1980年代前半頃 | 日本・雇用環境 |
| X世代 | 1965〜1980頃 | 海外・世代研究 |
| Y世代/ミレニアル世代 | 1981〜1996頃 | 海外・世代研究 |
| ゆとり世代 | 1987〜2004頃 | 日本・教育制度(メディア普及) |
| さとり世代 | 1990前後 | 日本・メディア由来 |
| Z世代 | 1997〜2012頃 | 海外・世代研究 |
| アルファ世代 | 2010〜2024頃 | 海外・ギリシャ文字区分 |
| ベータ世代 | 2025〜2039頃 | 海外・提案段階 |
- 生年区分は機関によって異なります。世代名によって基準が異なり、複数の世代名が重なることがあります。
Q&A(よくある疑問)
まとめ
○○世代という呼び名は、制度ではなく社会を理解するための枠組みです。
日本では、人口動態、経済状況、雇用環境、教育制度、メディアのイメージなどを背景に世代名が生まれてきました。一方、海外ではX世代、Y世代、Z世代のように、アルファベット順の区分が広まりました。
Z世代以降はギリシャ文字へ移り、アルファ世代、ベータ世代という呼び名も使われ始めています。ただし、区分は固定されたものではなく、世代名ごとに基準も異なります。
世代名は、人を決めつけるためのものではありません。社会の変化を大まかに見るための目印です。成り立ちを知っておくと、ニュースや社会の動きがより立体的に見えてきます。
参考情報
- Pew Research Center「Where Millennials end and Generation Z begins」
- McCrindle「The generations defined」
- McCrindle「Generation Beta Defined」
- 内閣府「令和22年版 高齢社会白書 第1章 第1節 1(2)将来推計人口でみる50年後の日本」
- 厚生労働省「中高年の活躍支援」
