最近のゲーミングマウスは、ひと昔前よりかなり軽くなりました。ZOWIE の FK2-B RED V2 は 80g、軽量化された FK2-C は 70gです。主流どころでも Logitech G の PRO X SUPERLIGHT 2 DEX は 60g、Razer の DeathAdder V3 Pro は 63gまで下がっています。しかも今はそれだけではなく、Finalmouse の ULX Pro Series Cheetah は約31g、ULX Frostlord は 33g、Zaunkoenig の M3K は 24g のゲーミングマウスとして案内されています。軽量化はもう一部の変わり種ではなく、競技向けマウス全体の大きな流れになっています。
軽いほど、初動も切り返しも出しやすい
軽量化が進むいちばん大きな理由は、軽いほうが動かし始めやすく、途中で切り返しやすく、最後に止めやすいからです。ZOWIE は FK-C シリーズで、軽量化によって movement flexibility と stability が増すと説明していますし、Logitech G も DEX を「more accurate, precise and fluid」な操作へつなげています。軽いマウスは、ただ持ち上げたときに軽く感じるだけではなく、狙った方向へ素早く動かし、余計な力をかけずに止めやすい道具として評価されているわけです。
とくに感度を低めにして、腕ごと大きく動かす人ほど、この差は体感に出やすくなります。机の上を長く滑らせるような使い方では、ほんの数グラムの違いでも、何度も振るううちに扱いやすさの差が積み重なります。軽量化は数字遊びというより、操作の気持ちよさを詰めた結果と見たほうが自然です。
プロ向け競争が軽量化を押した
この流れを強くしたのが、eスポーツ向けの開発競争です。Logitech G は PRO シリーズを世界トップクラスのeスポーツ選手との共同開発だと説明し、Razer も DeathAdder V3 Pro をトップのeスポーツ選手の協力で磨いたと案内しています。競技向けデバイスでは、ほんの少しの扱いやすさの差がそのままエイムや視点移動の感覚に出やすいため、各社が「より速く、より正確に、より思いどおりに動かせる」方向を詰めていくと、自然に軽量化が大きなテーマになります。
しかも軽量化は、主流モデルの 60g 前後にとどまりません。Finalmouse のように 30g 台前半まで攻めるメーカーや、Zaunkoenig のように 24g の超小型モデルを「extremely light gaming mouse」として打ち出すメーカーも見られます。軽さそのものが、競技向けマウスの設計思想のひとつになっていることがよく分かります。
無線でも重くなりにくくなった
以前は、無線化や高性能化を進めると重さが増えやすい印象がありました。バッテリーを積み、通信を安定させ、高性能センサーを載せれば、そのぶん重くなりやすかったからです。けれど今は、その前提がかなり変わっています。Logitech G は PRO X SUPERLIGHT 2 DEX で 60g の軽さと最大95時間のバッテリー駆動を両立しており、Razer も DeathAdder V3 Pro を前世代より 25%以上軽くしたうえで競技向け性能を強調しています。高性能な無線、長時間駆動、軽量化を同時に成立させやすくなったことが、軽量化の流れを後押ししています。
素材と内部設計が、軽量化の幅を広げた
最近の軽量化は、単に部品を減らしているだけではありません。Logitech G は DEX で ultra-thin 0.7mm plate を採用したと説明しており、Finalmouse はカーボンファイバー複合素材を打ち出しています。Zaunkoenig も M3K で、精密ブラスト加工のカーボンファイバーシェルや小型 PCB を前面に出しています。つまり今の軽量化は、外殻、素材、内部レイアウト、基板設計まで含めた総合的な作り込みです。
少し前の軽量マウスは、外殻に大きく穴を開けた見た目が象徴的でした。もちろんあの方向も軽量化のひとつの答えでしたが、今は薄肉化や内部構造の最適化で、見た目を大きく崩さずに軽くする流れも強くなっています。軽量化が主流に広がったのは、こうした設計の引き出しが増えたからでもあります。
メーカーによっては、長く使うときの負担の少なさも意識している
軽量化の狙いは、速く振りやすくすることだけではありません。メーカーによっては、軽さを快適さや扱いやすさとも結びつけています。Razer は DeathAdder V3 Pro で handling and comfort を磨いたと説明し、同じく Orochi V2 でも 60g 未満の軽量設計と自然なフィット感を打ち出しています。すべてのメーカーが「疲れにくさ」を同じ言葉で前面に出しているわけではありませんが、軽さが長時間の扱いやすさにつながるという考え方は確かに見えます。
それでも、軽ければそれだけで正解とは限らない
ただし、軽いほど必ず全員に合うわけではありません。マウスは重さだけで決まる道具ではなく、形状、サイズ、持ち方、重心、表面の感触まで含めて使い心地が決まります。ZOWIE も軽量モデルで、かぶせ持ちやつかみ持ちでの支えやすさを細かく説明していますし、Razer も Logitech G も重量だけでなくエルゴノミクスやグリップ感を重視しています。
とくに 30g 台前半や 24g のような極端な軽さは、魅力でもあり、好みが分かれやすい領域でもあります。そこまで軽いほうが自由に感じる人もいれば、ある程度の重さがあったほうが安心して握れる人もいます。軽量化は大きな流れですが、最後に残るのはやはり相性です。
まとめ
ゲーミングマウスの軽量化が進むのは、軽いほうが初動を出しやすく、切り返しや停止の操作もしやすく、競技向けの操作感に合いやすいからです。そこへ、eスポーツ向けの開発競争、無線技術の進歩、素材や内部設計の進化が重なって、いまは 60g 前後どころか、一部では 30g 台前半、さらに特化型では 24g のゲーミングマウスまで現れています。とはいえ、各社が形状や快適さも重視していることから分かるように、軽さだけが正解というわけではありません。軽量化が進んでいるのは、軽いこと自体が目的というより、より思いどおりに、より無理なく動かせる道具を目指した結果と考えるのがいちばん自然です。
参考情報
- ZOWIE「FK2-B RED V2」
- ZOWIE「FK2-C」
- Logitech G「PRO X SUPERLIGHT 2 DEX」
- Razer「DeathAdder V3 Pro」
- Finalmouse「ULX Frostlord」
- Finalmouse「ULX Pro Series – Aceu」
- Zaunkoenig「M3K」
