ノーベル賞の発表はなぜ10月?選考日程と授賞式までの流れ

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毎年10月になると、物理学賞や化学賞、文学賞、平和賞など、ノーベル賞の受賞者が次々と発表されます。

では、なぜ発表は10月なのでしょうか。

現在のノーベル賞では、前年秋から続く推薦や評価を経て、各賞の受賞者が10月ごろに最終決定されます。そして、受賞者が決まるとその結果が公表されます。

実は、ノーベル賞が始まった当初から現在と同じ発表方法だったわけではありません。初期には受賞者名を12月10日に公表する予定でしたが、受賞者本人への事前連絡や報道との関係から、後に「決定したら公表する」という形へ変わりました。

現在の発表が10月なのは、長く続いた選考がこの時期に最終決定を迎え、その決定に続いて受賞者名が公表されるためです。

目次

ノーベル賞は毎年10月に発表される

ノーベル賞では、毎年10月にその年の受賞者が発表されます。

すべての賞を同じ日にまとめて発表するのではありません。10月上旬を中心に、各賞の選考機関が順番に結果を公表していきます。

発表日そのものも毎年同じ日付ではありません。たとえば生理学・医学賞は、10月第1月曜日にカロリンスカ研究所ノーベル会議が受賞者を決定する仕組みになっています。第1月曜日の日付が変わるため、発表日も年によって異なります。

近年のノーベル賞発表週は、この生理学・医学賞の発表から始まり、その後に物理学賞や化学賞などが続く形になっています。

なぜ10月?推薦に向けた動きは前年秋から始まる

ノーベル賞が10月に発表される背景には、発表までに長期間の推薦と選考があることも関係しています。

科学賞では、候補者を推薦してから受賞者が決まるまで何か月にもわたって評価が続きます。推薦準備まで含めると、動きは前年秋から始まっています。

物理学賞を例にすると、主な流れは次のようになっています。

時期主な動き
前年9月推薦依頼を送る
翌年1月末推薦の締め切り
2月推薦を確認し候補者を絞り込む
3~5月専門家による評価
6~8月委員会が報告書を作成
9月候補者について推薦案を提出
10月受賞者を決定して発表
12月10日授賞式

物理学賞では、ノーベル委員会が前年9月に世界各地の推薦資格者へ推薦依頼を送ります。推薦書の締め切りは翌年1月31日です。

そこから候補者を絞り、3月から5月にかけて専門家から評価を受けます。6月から8月には委員会が報告書を作成し、9月には候補者についての推薦案をスウェーデン王立科学アカデミーへ提出します。

10月上旬になると、スウェーデン王立科学アカデミーが投票で受賞者を決定します。その決定に続いて、受賞者の名前が公表されます。

化学賞にもよく似た流れがあり、春の専門家評価、夏の報告書作成、9月の推薦案提出を経て、10月上旬に受賞者が決まります。

10月に候補者の選考が始まるわけではありません。10月は、前年秋から続く長い過程が最終決定へ進む時期です。

最初は12月10日に受賞者名を発表する予定だった

現在は10月に受賞者が発表されますが、ノーベル賞が始まったころは事情が異なりました。

当初は、受賞者の名前を12月10日に一般へ公表する予定でした。12月10日はアルフレッド・ノーベルの命日であり、授賞の日でもあります。

ところが、ストックホルムでの授賞式に出席してもらうには、受賞者本人へ事前に知らせて旅行の準備をしてもらう必要があります。

初期には現在ほど選考情報の秘密保持も厳格ではなく、12月10日を迎える前に報道機関が受賞者の名前を報じてしまうことがありました。

こうした事情から、受賞者名を12月10日まで伏せておく方式は続かず、受賞者が決定したら、その時点で報道機関にも公表する方式へ変わりました。

つまり、単に「12月10日の授賞式から2か月逆算して10月にした」という話ではありません。現在は各賞の最終決定が10月に行われ、その決定後に発表する仕組みになっているため、受賞者発表も10月に行われています。

賞によって選考の進み方は少し違う

ノーベル賞には複数の部門があるため、すべてがまったく同じ手順で進むわけではありません。

物理学賞や化学賞ではスウェーデン王立科学アカデミー、生理学・医学賞ではカロリンスカ研究所ノーベル会議など、賞ごとに受賞者を決める機関も異なります。

生理学・医学賞は10月第1月曜日に決まる

生理学・医学賞では、夏まで候補者の評価が続きます。9月にはノーベル委員会が候補者について推薦し、10月第1月曜日にカロリンスカ研究所ノーベル会議が多数決で受賞者を選びます。

受賞者の最終決定後は、本人への通知と世界への発表までが短時間で進みます。

受賞者が決まると本人へ知らせ、その後に記者会見で決定が公表されます。

何か月も前に決定された結果を10月まで保管しておき、発表日に初めて本人へ伝えるわけではありません。少なくとも生理学・医学賞では、10月第1月曜日の最終決定に続いて本人への通知と公表へ進みます。

平和賞などは細かな進み方が異なる

平和賞は、ノルウェー・ノーベル委員会が受賞者を選びます。科学賞とは選考機関も手順も異なるため、物理学賞の年間日程をそのまま当てはめることはできません。

候補者は2月から3月ごろに絞られ、春から夏にかけて検討が続きます。ノルウェー・ノーベル委員会は候補者について議論を重ね、通常は10月上旬の発表に近い時期まで選考を進めます。

賞ごとに細かな手順は異なりますが、長期間の検討を経て秋に受賞者を決定する点では共通しています。

候補者や推薦者に関する情報は長期間非公開です。発表前に公式な候補者一覧を確認できる仕組みにはなっていません。

発表日は各賞で違う

「ノーベル賞は毎年10月○日に発表される」という一つの日付が決まっているわけではありません。

賞ごとに受賞者を決定する機関が異なり、発表日も分かれています。

2026年の発表予定日は次の通りです。

賞2026年の発表予定日
生理学・医学賞10月5日(月)
物理学賞10月6日(火)
化学賞10月7日(水)
文学賞10月8日(木)
平和賞10月9日(金)
経済学賞10月12日(月)

10月5日の生理学・医学賞から金曜日の平和賞まで連日発表され、週末を挟んで翌月曜日に経済学賞が続きます。

こうして複数の賞が短期間に次々と発表されるため、10月上旬にはノーベル賞のニュースが集中します。

10月の発表と12月10日の授賞式は別

ノーベル賞で混同しやすいのが、受賞者の発表と実際の授賞式が別の日に行われることです。

10月に行われるのは、その年の受賞者を決定し、名前を公表する「発表」です。

実際にメダルや賞状などが贈られる授賞式は、約2か月後の12月10日に行われます。

12月10日は、アルフレッド・ノーベルが1896年に亡くなった日です。物理学賞、化学賞、生理学・医学賞、文学賞はスウェーデンのストックホルムで授与され、経済学賞も同地で授与されます。平和賞だけはノルウェーのオスロで授賞式が行われます。

10月に「ノーベル賞を受賞した」というニュースが流れても、その日にメダルや賞状を受け取っているわけではありません。

「12月に授賞式があるから10月発表」ではない

10月の発表から12月10日の授賞式までは、およそ2か月あります。この間には授賞式へ向けた準備も進みます。

ただし、授賞式の準備期間を2か月確保するために10月を発表月にした、と説明されているわけではありません。

むしろ歴史をたどると、初期には受賞者名を12月10日まで秘密にする予定でした。それが本人への事前連絡や報道との関係から難しくなり、受賞者が決定した時点で公表する形へ変わっています。

現在の物理学賞では春から夏に評価や報告書作成が進み、9月の推薦案を経て10月に最終決定します。

「決定したら公表する」という方式と、現在の選考が10月に最終決定を迎える日程が組み合わさり、受賞者の発表も10月に行われています。

まとめ

ノーベル賞の受賞者が10月に発表されるのは、現在の選考が10月ごろに最終決定を迎え、受賞者が決まるとその結果が公表されるためです。

物理学賞では前年9月から推薦に向けた動きが始まり、翌年1月末の推薦締め切りを経て、春から夏に候補者を評価します。9月には推薦案がまとめられ、10月に受賞者が決まります。

ノーベル賞が始まった当初は、受賞者名を12月10日に公表する予定でした。しかし、受賞者本人への事前連絡や報道との関係から、後に決定後すぐ公表する方式へ変わりました。

10月は選考のスタートではなく、長く続いた選考が結果へたどり着く時期です。その約2か月後、アルフレッド・ノーベルの命日である12月10日に授賞式が行われます。

参考情報

  • NobelPrize.org「“We’re in this forever” – The Nobel Foundation」
  • NobelPrize.org「Nomination and selection of physics laureates」
  • NobelPrize.org「Nomination and selection of medicine laureates」
  • NobelPrize.org「Nomination and selection of Nobel Peace Prize laureates」
  • NobelPrize.org「The 2026 Nobel Prize announcements」
  • NobelPrize.org「The Nobel Prize award ceremonies and banquets」

この記事を書いた人

気になったテーマを中心に、公開情報や資料を読みながら記事をまとめています。背景や違いが見えにくい話題も、公式サイトや公開資料を確認しつつ、できるだけわかりやすく整理してお届けしています。

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