木枯らし1号はなぜ東京と近畿だけ?全国で発表されない理由

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秋が深まると、天気予報で「木枯らし1号が吹きました」というニュースを耳にすることがあります。

冬の訪れを感じさせる言葉ですが、実は気象庁が木枯らし1号を発表しているのは全国ではありません。

発表対象になっているのは東京地方と近畿地方です。

では、北海道や東北、東海、中国、四国、九州などでは木枯らしのような風は吹かないのでしょうか。

ほかの地域でも、晩秋から初冬に冷たい北寄りの風が吹くことはあります。違うのは風そのものではなく、「木枯らし1号」という名前で季節のお知らせを発表する仕組みです。

目次

木枯らし1号とはどんな風?

気象庁では「木枯らし」を、晩秋から初冬にかけて吹く、北よりのやや強い風としています。

秋から冬へ季節が移るころ、日本付近が西高東低の冬型の気圧配置になると、北や北西から季節風が吹きやすくなります。

その季節に、それぞれの地域で定められた目安を満たす風が初めて吹いたとき、東京地方と近畿地方では「木枯らし1号」として発表されます。

「1号」と聞くと、台風のように2号、3号と続きそうですが、気象庁が「木枯らし2号」「木枯らし3号」を順番に発表する仕組みはありません。

木枯らしそのものはその後も吹くことがあります。木枯らし1号は、秋から冬へ季節が進んだことを感じさせる最初の風を知らせるものと考えると分かりやすいでしょう。

木枯らし1号はなぜ東京地方と近畿地方だけ?

現在、気象庁が木枯らし1号のお知らせを発表しているのは東京地方と近畿地方です。

気象庁の一般向け公式ページには、「なぜ全国ではなくこの2地域だけなのか」という詳しい歴史的経緯までは示されていません。

この点について、気象庁天気相談所の担当者への公開取材では、木枯らし1号は冬の訪れを告げる季節のお知らせとして、報道機関などからの要望を受けて発表するようになったと説明されています。

また、東京と近畿で発表されている背景として、木枯らしと太平洋側の風との関係も挙げられています。

ただし、気象庁による一般的な「木枯らし」という用語そのものが、太平洋側だけに限定されているわけではありません。定義されているのは、晩秋から初冬にかけて吹く北よりのやや強い風です。

太平洋側でも、東京地方と近畿地方以外では木枯らし1号のお知らせは発表されていません。

そのため、「太平洋側だから発表される」と一つの理由だけで説明するのではなく、東京地方と近畿地方で続いている季節情報として捉えるのが適切です。

「東京地方」は関東地方全体ではない

「東京地方で木枯らし1号」と聞くと、関東地方全体の話のように感じるかもしれません。

しかし、気象庁でいう「東京地方」と「関東地方」は同じ範囲ではありません。

東京地方には東京都の23区と多摩地域が含まれます。伊豆諸島と小笠原諸島は別の区域で、埼玉県、千葉県、神奈川県なども東京地方には含まれません。

木枯らし1号の判断では、「東京」における風向や最大風速などが目安として使われています。

東京と近畿では木枯らし1号の条件も少し違う

同じ「木枯らし1号」という名称でも、東京地方と近畿地方では判断の目安が完全には同じではありません。

東京地方近畿地方
時期10月半ば~11月末霜降~冬至
気圧配置西高東低の冬型西高東低の冬型
風向東京で西北西~北北よりの風
風速東京で最大風速おおむね8m/s以上最大風速8m/s以上

東京地方では、10月半ばから11月末までの間に西高東低の冬型となって季節風が吹き、東京で西北西から北の風が最大風速おおむね8m/s以上になることなどを基本に、総合的に判断されます。

近畿地方は期間が少し長く、二十四節気の霜降から冬至までが目安です。西高東低の冬型となり、北よりの風が最大風速8m/s以上になることなどを基に判断されます。

つまり、全国共通の一つの基準があり、東京と近畿だけがその結果を発表しているのではありません。

発表対象となる2地域の間でも、対象期間や風向の目安に違いがあります。

「最大風速」と「最大瞬間風速」は別のもの

木枯らし1号のニュースでは、「最大瞬間風速17.7m/s」など、基準の8m/sよりかなり大きな数字が紹介されることがあります。

これは、最大風速と最大瞬間風速が別の数値だからです。

木枯らし1号の判断の目安に使われるのは「最大風速」です。一方、実際のお知らせでは、瞬間的にどれほど風が強まったかを表す「最大瞬間風速」が掲載されることがあります。

たとえば2025年11月3日の東京地方の木枯らし1号では、判断の目安として最大風速おおむね8m/s以上が示される一方、発表資料には最大瞬間風速17.7m/sが記載されました。

近畿地方でも、判断には最大風速8m/s以上が使われますが、報道発表には最大瞬間風速が掲載されています。

そのため、「基準は8m/sなのにニュースの数字はもっと大きい」と感じても、基準と発表された観測値が食い違っているわけではありません。

東京や近畿以外ではどうなる?

東京地方や近畿地方以外でも、晩秋から初冬に北寄りの強い風が吹くことはあります。

「木枯らし」という風と、気象庁が発表する「木枯らし1号」は同じ意味ではありません。

気象庁の用語としての木枯らしは、晩秋から初冬にかけて吹く北よりのやや強い風です。東京と近畿だけに存在する風ではありません。

一方の木枯らし1号は、東京地方と近畿地方について発表される季節のお知らせです。

ほかの地域で同じような北寄りの風が吹いても、その地域を対象とした「木枯らし1号」が気象庁から発表されることはありません。

東京や近畿でも発表されない年がある

発表対象となっている東京地方や近畿地方でも、毎年必ず木枯らし1号があるとは限りません。

決められた期間に風向・風速・気圧配置などの条件がそろわなければ、木枯らし1号がないまま対象期間を終えることがあります。

実際、東京地方では2018年と2019年の2年続けて木枯らし1号が発生しませんでした。2019年は、2年連続で木枯らし1号がなかった初めての年として気象庁の資料にも記録されています。

もちろん、木枯らし1号がなかったからといって、冬が来なかったわけではありません。

木枯らし1号は、冬になったかどうかを決める情報ではなく、決められた時期に一定の条件を満たした最初の風を知らせるものです。

木枯らし1号がなかったという事実だけで、その年が暖冬になるとも決められません。

木枯らし1号は警報や注意報ではない

最大風速8m/s以上という数字を見ると、防災情報のように感じるかもしれませんが、木枯らし1号は警報や注意報とは役割が異なります。

木枯らし1号は冬の訪れを知らせる季節のお知らせです。

強い風によって災害のおそれがある場合には、木枯らし1号とは別に、気象庁が必要に応じて注意報や警報などを発表します。

木枯らし1号が発表されない地域だからといって、強風に関する防災情報が出ないという意味でもありません。

季節の移り変わりを知らせる木枯らし1号と、災害への注意や警戒を呼びかける防災情報は、目的の異なるものです。

まとめ

木枯らし1号が気象庁から発表されるのは、全国ではなく東京地方と近畿地方です。

この2地域で発表されている背景については、気象庁担当者への公開取材で、冬の訪れを知らせる季節のお知らせとして始まった経緯や、太平洋側の風との関係が説明されています。一方、気象庁の一般向け公式ページでは、2地域だけになった詳しい歴史的経緯までは示されていません。

東京や近畿以外でも、晩秋から初冬に冷たい北寄りの風が吹くことはあります。違うのは、気象庁が「木枯らし1号」という名称で季節のお知らせを発表する仕組みがあるかどうかです。

さらに東京地方と近畿地方では、対象となる時期や風向の目安も少し異なります。条件がそろわなければ、発表されない年もあります。

毎年何気なく耳にする「木枯らし1号」は、全国で順番に番号を付けていく風ではなく、東京地方と近畿地方で冬の訪れを伝える季節の情報なのです。

参考情報

  • 気象庁「風に関する用語」
  • 気象庁「はれるんランド 木枯らし1号って何のこと?」
  • 気象庁「本日(11月3日)、東京地方で『木枯らし1号』が吹きました」
  • 気象庁・大阪管区気象台「近畿地方で11月3日に『木枯らし1号』が吹きました」
  • 気象庁「近畿地方の平年の天候」
  • 気象庁「日々の天気図 No.214 2019年11月」
  • 気象庁「警報・注意報や天気予報の発表区域(細分区域等一覧表)」
  • 広島市江波山気象館「木枯らし1号について」

この記事を書いた人

気になったテーマを中心に、公開情報や資料を読みながら記事をまとめています。背景や違いが見えにくい話題も、公式サイトや公開資料を確認しつつ、できるだけわかりやすく整理してお届けしています。

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