「法の日週間」という言葉を聞いても、どんな期間なのかすぐには思い浮かばないかもしれません。毎年10月1日から7日までのこの1週間には、裁判所や法務省、検察庁、弁護士会などが関わり、法廷見学や模擬裁判、講演、展示といったさまざまな取り組みが行われています。
法律関係者だけのための週間ではなく、私たちが法の役割や重要性について考え、裁判や司法を身近に知るための期間です。
法の日週間が始まる10月1日は「法の日」。その日付をたどると、戦前の陪審制度と「司法記念日」へ行き着きます。
現在行われているイベントだけでなく、なぜ10月1日から始まるのか、なぜ「法の日」とは別に1週間が設けられているのかを知ると、この期間が長く続いてきた背景も見えてきます。
法の日週間とは?毎年10月1日から7日まで
「法の日週間」は、毎年10月1日から7日までの1週間です。
10月1日の「法の日」を起点として、法の役割や重要性を知ってもらうため、全国各地で広報や啓発活動が行われています。
法務省によると、裁判所、法務省、日本弁護士連合会では1960年以来、毎年10月1日からの1週間を「法の日」週間として、講演会や座談会など各種の行事を実施してきました。現在は、最高裁判所、法務省・最高検察庁、日本弁護士連合会の共催による関連イベントも各地で行われています。
法の日週間は、1960年以来続いている取り組みです。
ただし、法の日も法の日週間も国民の祝日ではありません。10月1日から7日まで学校や会社が休みになるわけではなく、法や裁判について知り、考える機会を広げるための期間です。
私たちの暮らしは、日常のさまざまな場面で法と関わっています。買い物では契約が生まれ、働く場面には労働に関する法律があります。結婚や相続、交通、住まい、インターネット上で起きるトラブルなどにも、それぞれ関係するルールがあります。
法律は裁判所や法律家だけに関係するものではありません。法の日週間には、普段あまり意識することのない「暮らしと法のつながり」を知る機会という側面もあります。
法の日週間の行事は誰が行っている?
法の日週間の取り組みは、一つの機関が全国一律の内容で実施しているわけではありません。
現在は、最高裁判所、法務省・最高検察庁、日本弁護士連合会の共催により、法の日週間に合わせたイベントが各地で行われています。地域によっては、地方裁判所や家庭裁判所、地方検察庁、弁護士会などが協力して独自の企画を開くこともあります。
開催内容も地域によってさまざまです。裁判所見学を中心にした企画がある一方で、模擬裁判や講演、法律相談などが行われる場合もあります。
法の日週間ではイベントだけでなく、広報や相談などを通じて、法や司法を身近に知ってもらうための取り組みが続けられています。
法の日週間が10月1日から始まるのはなぜ?
法の日週間が10月1日から始まるのは、その初日である10月1日が「法の日」だからです。
では、なぜ法の日は10月1日なのでしょうか。
その直接のルーツとなったのが、戦前の日本で実施された陪審制度です。
1928年(昭和3年)10月1日、日本で「陪審法」が施行されました。これを受けて翌1929年から10月1日が「司法記念日」とされ、後の法の日の日付へとつながっていきます。
陪審制度というと海外の裁判を思い浮かべる人も多いかもしれませんが、日本でも戦前には一般の国民が刑事裁判へ参加する制度が実施されていました。
ただし、現在の裁判員制度とは仕組みが異なります。
戦前の陪審員は、犯罪を構成する事実があったかどうかについて評議し、その結果を裁判所へ答申しました。現在の裁判員制度では、裁判員が裁判官と一緒に審理し、有罪・無罪や、有罪の場合の刑の重さを判断します。
戦前の陪審制度と現在の裁判員制度には、市民が刑事裁判に関わるという共通点がある一方、判断する範囲や裁判官との関わり方には違いがあります。
司法記念日から現在の「法の日」へ
戦後になると、司法記念日の歴史を受け継ぎながら、10月1日を広く法について考える日にしようという動きが生まれました。
1959年10月、裁判所・検察庁・弁護士会による三者協議で、10月1日を「法の日」とすることが提唱されます。
これを受け、政府は1960年6月24日の閣議了解によって10月1日を「法の日」と定めました。同年以降、毎年10月1日からの1週間に各種行事が実施されています。
主な出来事を時系列で見ると、次のとおりです。
| 年 | 主な出来事 |
|---|---|
| 1928年 | 10月1日に陪審法が施行 |
| 1929年 | 10月1日が「司法記念日」となる |
| 1959年 | 三者協議で「法の日」の制定を提唱 |
| 1960年 | 10月1日を「法の日」と定める |
| 1960年以降 | 毎年10月1日から1週間、各種行事を実施 |
現在の法の日週間は、こうした日本の司法の歴史を背景に10月1日から始まっています。
なぜ10月7日までなの?
「10月1日が法の日なのは分かったけれど、なぜ7日までなのだろう」と疑問に思う人もいるでしょう。
法務省の公式資料では、1960年以来「毎年10月1日からの1週間」を法の日週間としていることが示されています。また、法務省は10月1日から7日までを法の日週間として案内しています。
一方、現在公開されている法務省や裁判所の案内では、なぜ期間を7日間としたのかという個別の理由は示されていません。
分かっているのは、法の日が設けられた1960年以来、10月1日からの1週間に、法や裁判を身近に知ってもらうための活動が続けられていることです。
「なぜ7日間なのか」については、理由を推測して補うより、現在公表されている範囲では詳しい経緯が示されていないものとして見るのがよいでしょう。
法の日週間には何が行われる?
法の日週間だからといって、国民に何か特別な義務が課されるわけではありません。
この期間には、法や裁判を身近に感じてもらうため、全国の関係機関でさまざまな企画が行われます。
代表的なものには、次のような行事があります。
- 裁判所や法廷の見学
- 模擬裁判や模擬裁判員裁判
- 裁判官・検察官・弁護士への質問
- 模擬取調べや模擬接見
- 法服の試着や記念撮影
- 法律や司法制度に関する講演・座談会
- パネルや法務史料などの展示
- 法律や法務行政に関する相談
- 子どもや学生を対象とした司法体験イベント
こうした取り組みは、法律の条文を覚えることだけを目的としているわけではありません。
実際の法廷を見たり、司法に携わる人の仕事を知ったりすることで、「裁判はどのように進むのか」「裁判官・検察官・弁護士にはそれぞれどのような役割があるのか」といった、普段は触れる機会の少ない司法の仕組みを知ることができます。
さらに、法の日週間の活動は会場で行うイベントだけに限りません。講演や相談、各種広報なども行われており、それぞれの地域や対象者に合わせた方法で法に触れる機会が設けられています。
関連行事は10月1日から7日以外に開かれることもある
「法の日週間」という名称から、関連イベントもすべて10月1日から7日に行われると思うかもしれません。
実際には、法の日週間にちなんだ行事が10月7日より後に開催されることもあります。
2026年には、東京の裁判所などによる法の日週間行事「霞が関司法探検スタンプラリー」が10月22日に予定されています。裁判所・検察庁・弁護士会・法テラスの共催による企画です。
熊本でも、法の日週間行事「刑事事件まるごと体験ツアー2026」が10月20日に予定されています。熊本の裁判所・検察庁・弁護士会が共催し、模擬接見、模擬取調べ、模擬裁判員裁判などが予定されています。
法の日週間そのものは10月1日から7日までですが、関連行事の開催日はその7日間だけに限定されていません。
参加できるイベントを探す場合は、10月1日から7日だけに絞らず、9月から10月にかけて各地の裁判所や弁護士会などの公式情報を確認すると、法の日にちなんだ行事を見つけられる場合があります。
憲法週間と法の日週間は何が違う?
法の日週間と似た名称の期間に「憲法週間」があります。
憲法週間は、5月3日の憲法記念日を中心とした5月1日から7日までです。
どちらも裁判所などによる広報活動やイベントが行われるため、同じような期間に見えるかもしれません。しかし、中心となる記念日と成立の背景が異なります。
| 項目 | 法の日週間 | 憲法週間 |
|---|---|---|
| 期間 | 10月1日~7日 | 5月1日~7日 |
| 中心となる日 | 10月1日の法の日 | 5月3日の憲法記念日 |
| 主なテーマ | 法の役割や重要性 | 憲法の精神や司法への理解 |
| 中心となる日は祝日か | 法の日は祝日ではない | 憲法記念日は国民の祝日 |
法の日週間は、法そのものの役割や重要性に目を向ける期間です。
一方、憲法週間は、日本国憲法が施行された5月3日の憲法記念日を中心に、憲法の精神や司法への理解を広げる期間となっています。
行事には似たものもありますが、10月と5月に同じ週間を繰り返しているわけではありません。それぞれ異なる記念日を中心として設けられています。
2026年の法の日週間ではどんな行事がある?
2026年も、法の日週間に合わせた行事が予定されています。
最高裁判所では、2026年10月3日(土)に「来て!見て!知って!最高裁見学会」が開催予定です。小学生・中学生を対象とした法の日週間記念行事で、大法廷を見学する機会などが用意されています。
法務省でも同じ10月3日(土)に「法の日フェスタin赤れんが2026」が予定されています。
法務省のイベントでは、事前予約が必要な企画と当日参加できる企画が用意されています。2026年9月11日時点では、「模擬裁判―みんなが裁判員―」「検察官による模擬取調べ実演」はすでに申込受付を終了しています。
法の日週間に関する行事は、このほかにも各地で企画されています。開催日や内容、対象年齢、参加方法は地域やイベントによって異なるため、参加する場合は裁判所や法務省、弁護士会などの公式情報を確認しておくとよいでしょう。
※2026年度の行事情報は2026年9月11日時点の内容です。開催内容や定員、申込状況などが変更される場合があります。
まとめ
「法の日週間」は、毎年10月1日から7日までです。
10月1日の法の日を起点として、法や裁判を身近に知るための取り組みが行われています。1960年以来続いており、その日付の背景をたどると、1928年10月1日の陪審法施行と翌1929年の司法記念日へつながります。
期間中やその前後には、法廷見学、模擬裁判、講演、展示、相談など、地域に応じたさまざまな行事が開かれます。法の日週間自体は10月1日から7日までですが、関連行事がそれ以外の日に開催されることもあります。
法律は裁判所の中だけに存在するものではありません。法の日週間は、普段の暮らしを支えている法や司法に目を向けるきっかけになる1週間です。
参考情報
- 法務省「『法の日』とは」
- 法務省「法の日フェスタin赤れんが2026特設ページ」
- 最高裁判所「令和8年度『法の日』週間記念行事」
- 東京高等裁判所「法の日週間行事『霞が関司法探検スタンプラリー』のご案内」
- 熊本地方裁判所・熊本家庭裁判所「法の日週間行事『刑事事件まるごと体験ツアー2026』」
- 広島高等裁判所「広報活動・憲法週間行事」

