食品ロス削減月間はなぜ10月?由来と食品ロスの現状・減らす工夫

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スーパーや自治体の広報などで、10月になると「食品ロス削減月間」という言葉を見かけることがあります。

食品ロスとは、まだ食べられるにもかかわらず捨てられてしまう食品のことです。2024年度の日本では約461万トンが発生したと推計され、そのうち約224万トンは家庭から出ています。

では、なぜ10月なのでしょうか。

10月は3R推進月間で、10月16日には「世界食料デー」があります。忘年会など会食の機会が増える年末年始を前に、食品ロスを意識する時期という背景もあります。同じ10月には、30日の「食品ロス削減の日」も設けられています。

目次

食品ロス削減月間は毎年10月

正式な名称は「食品ロス削減月間」です。

「食品ロスの削減の推進に関する法律(食品ロス削減推進法)」によって、毎年10月が食品ロス削減月間、10月30日が食品ロス削減の日と定められています。

食品ロス削減推進法は2019年5月24日に成立し、5月31日に公布、同年10月1日に施行されました。企業や団体が独自に設けたキャンペーンではなく、法律に基づく月間です。「食品ロス月間」と短く呼ばれることもありますが、行政で使われている名称は「食品ロス削減月間」です。

なぜ10月が選ばれた?

法律では10月と定められていますが、その条文には10月を選んだ詳しい理由までは記されていません。

消費者庁の食品ロス削減ガイドブックでは、10月という時期の背景として次の要素が紹介されています。

  • 忘年会などが増える年末年始を前に食品ロスを意識する時期である
  • 10月が「3R推進月間」にあたる
  • 10月16日が国連の「世界食料デー」である

3Rとは、Reduce(リデュース=ごみを減らす)、Reuse(リユース=繰り返し使う)、Recycle(リサイクル=資源として再利用する)の3つです。

食品を必要な量だけ買って食べきることは、そもそも廃棄物の発生を減らすリデュースにもつながります。食やごみについて考える機会が重なる10月が、食品ロス削減を呼びかける月間になっています。

10月30日は「食品ロス削減の日」

食品ロス削減推進法では、10月30日を「食品ロス削減の日」としています。

消費者庁の資料では、宴会時の食べ残しを減らす「30・10(さんまる・いちまる)運動」にちなみ、10月30日に食品ロス削減に関する催しを行う自治体が多かったことなども背景として紹介されています。

食品ロス削減月間が10月全体の取組で、10月30日はその中に設けられた「食品ロス削減の日」という関係です。

食品ロスとは「食べられるのに捨てられる食品」

食品ロスという言葉から、野菜の皮や魚の骨など、食品から出るごみをすべて想像することもあるかもしれません。

食品ロスは、本来食べられるにもかかわらず廃棄される食品を指します。

たとえば、

  • 食べきれずに残した料理
  • 手を付けないまま捨てた食品
  • 保存中に傷ませてしまった食材
  • 食べられる部分まで厚くむいた野菜
  • 店舗で売れ残った食品
  • 飲食店で食べ残された料理

などです。

一方、魚の骨や卵の殻など、通常食べることのできない部分は食品ロスとは区別されます。

「食品廃棄物」と食品ロスは範囲が違う

食品ロスと似た言葉に「食品廃棄物」があります。

食品廃棄物には、まだ食べることができた食品だけでなく、魚や肉の骨など食べられない部分も含まれます。その中でも、食べることができたのに捨てられた部分に注目したものが食品ロスです。

食べ終えた魚の骨を廃棄することと、購入した食品を未開封のまま捨てることでは、同じ食品由来のごみでも意味が異なります。食品ロスと食品廃棄物では、対象となる範囲が違います。

日本の食品ロスは年間約461万トン

2026年6月に公表された最新の国の推計では、2024年度の日本の食品ロス量は約461万トンでした。

内訳は次のとおりです。

発生元2024年度の食品ロス量
事業系約237万トン
家庭系約224万トン
合計約461万トン

前年度の約464万トンからは約3万トン減りました。家庭系は約233万トンから約224万トンへ減った一方、事業系は約231万トンから約237万トンへ増えています。

食品ロスというと、スーパーや食品メーカーの売れ残りを思い浮かべやすいものです。しかし家庭から出る食品ロスも約224万トンあり、全体の半分近くを占めています。

1人にすると毎日「おにぎり約1個分」

年間461万トンという数字だけでは、どれほどの量なのか想像しにくいかもしれません。

国民1人当たりに換算すると、食品ロスは年間約37kg、1日約102gです。消費者庁では、1日当たりの量を「おにぎり約1個分」に相当すると紹介しています。

1日約102gという量は、食品ロスが毎日の買い物や食事の積み重ねから生まれていることを示しています。

食品ロスは食べ物だけの「もったいない」ではない

食品が捨てられると、失われるのは食べ物そのものだけではありません。

2024年度の食品ロスを基にした国の推計では、経済損失は約3.8兆円、温室効果ガス排出量はCO2換算で約978万トンとされています。国民1人当たりに換算した経済損失は、年間約3万1千円です。

ただし、約3万1千円という数字は「食品ロスをなくせば各家庭で毎年その金額をそのまま節約できる」という意味ではありません。事業部門と家庭部門を合わせた社会全体の経済損失を、人口で換算した数字です。

食品が食卓へ届くまでには、生産、加工、輸送、冷蔵・冷凍、販売などにも資源やエネルギーが使われています。食べられる食品が廃棄されれば、それまでに使われた資源も十分に生かされないままになります。

食品ロスを減らすことは、食べ物を無駄にしないだけでなく、経済的な損失や環境負荷を抑えることにもつながります。

2030年度に向けた削減目標もある

国は、2000年度を基準とした食品ロスの削減目標を設定しています。

家庭系食品ロスは、2030年度までに2000年度比で半減となる216万トンが目標で、政府はその早期達成を目指しています。事業系は2030年度までに60%削減となる219万トンが目標です。

2024年度は家庭系約224万トン、事業系約237万トンでした。これまで削減は進んできましたが、目標との差はまだ残っています。

食品ロスは家庭と事業者のさまざまな場面で生まれる

食品ロスが発生する場面は、家庭と事業者でそれぞれ異なります。

家庭では「冷蔵庫に入れたまま忘れた」「料理を作りすぎた」、店では「商品が売れ残った」、飲食店では「注文された料理が残った」といった出来事が積み重なっています。

家庭では3つの形で食品ロスが生まれる

家庭系食品ロスは、主に直接廃棄・食べ残し・過剰除去に分けられます。

直接廃棄は、購入した食品を手つかずのまま捨てることです。冷蔵庫の奥に入れたまま忘れてしまった食品などが当てはまります。

食べ残しは、作った料理や購入した食品を食べきれずに廃棄すること。

過剰除去は、野菜の皮を必要以上に厚くむくなど、本来食べられる部分まで取り除くことです。

食品を丸ごと捨てたときだけでなく、普段の調理方法によって食品ロスが生まれる場合もあります。

事業系は製造・小売・外食などから発生する

2024年度の事業系食品ロス約237万トンを業種別に見ると、次のようになっています。

業種食品ロス量
食品製造業約110万トン
食品卸売業約9万トン
食品小売業約48万トン
外食産業約70万トン

食品製造では余剰や規格外品、小売では売れ残り、外食では食べ残しなど、食品が作られてから消費されるまでのさまざまな段階でロスが発生します。

食品ロス削減月間に見直したい身近な習慣

食品ロスを減らすために、特別な道具を用意する必要はありません。

買い物前に冷蔵庫を見る、必要な量を購入する、食べられる量を作る、期限表示の意味を知るなど、普段の生活の中にも取り組めることがあります。

買い物前に冷蔵庫や食品棚を見る

買い物へ出かける前に、冷蔵庫や食品棚に何が残っているかを見るだけでも、同じ食品を重ねて購入することを防ぎやすくなります。

安いからと大量に買っても、使い切れずに廃棄すれば食品ロスにつながります。必要な物を必要な量だけ買えば、使い切れずに捨てる食品を減らせます。

すぐに食べる予定の商品であれば、商品棚の手前にある販売期限の近いものから選ぶ「てまえどり」も、店頭で発生する食品ロスの削減につながります。

賞味期限と消費期限は意味が違う

食品の期限表示には「賞味期限」と「消費期限」があります。

賞味期限は、おいしく食べることができる期限です。未開封で表示された保存方法を守っていた場合、期限を過ぎた瞬間に食べられなくなるという意味ではありません。

一方、消費期限は、過ぎたら食べないほうがよい期限です。

どちらも未開封で、表示された方法で保存した場合の期限です。開封後は表示された期限にかかわらず、早めに食べます。

賞味期限を過ぎた食品は消費期限とは意味が異なるため、保存方法や食品の状態などに応じて扱う必要があります。期限表示の違いを知っておくことは、まだ利用できる食品を必要以上に廃棄しないことにもつながります。

作る量と食べられる量を合わせる

家庭では、料理の作りすぎも食べ残しにつながります。

家族の人数やその日の食事量に合わせて作り、余った料理は保存方法に注意しながら次の食事で活用するなど、使い切れる方法を考えることも食品ロス対策になります。

料理を少なくすることだけが目的ではありません。作る量だけでなく、買った食品や残った料理を最後まで使い切れるようにすることも食品ロス削減につながります。

外食では食べきれる量を注文する

外食でも、食べられる量を考えて注文することで食べ残しを減らせます。

小盛りやハーフサイズを選べる店なら、人数や食欲に合わせて利用する方法もあります。

料理を持ち帰れる店もありますが、食品によっては衛生上持ち帰りに適さない場合があります。持ち帰りを希望するときは自己判断せず、店側の案内に従うことが前提です。

まとめ

毎年10月は「食品ロス削減月間」です。 2019年に施行された食品ロス削減推進法に基づいて設けられ、10月30日には「食品ロス削減の日」もあります。

2024年度の日本の食品ロスは約461万トン。国民1人当たりでは1日約102gで、おにぎり約1個分に相当します。食品の廃棄は食べ物そのものだけでなく、それまでに使われた資源やエネルギー、経済的な損失とも関係しています。

買い物前に家の食品を確認する、必要な量を選ぶ、賞味期限と消費期限の違いを知る、食べられる量を作る。10月の食品ロス削減月間は、普段の買い方や食べ方の中にある「まだ捨てなくてもよかった食品」を減らすきっかけになる月です。

参考情報

  • 消費者庁「食品ロスの削減の推進に関する法律等」
  • 消費者庁「食品ロス削減ガイドブック」
  • 消費者庁「2024(令和6)年度食品ロス量推計値の公表について」
  • 消費者庁「食品ロスについて知る・学ぶ」
  • 農林水産省「事業系食品ロス量(2024年度推計値)を公表」

この記事を書いた人

気になったテーマを中心に、公開情報や資料を読みながら記事をまとめています。背景や違いが見えにくい話題も、公式サイトや公開資料を確認しつつ、できるだけわかりやすく整理してお届けしています。

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