世界海事デーとは?1978年の始まりと9月へ移った経緯

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毎年9月には「世界海事デー」という国際デーがあります。

名前だけを見ると、海そのものを祝う日や船乗りの記念日のようにも感じますが、中心となるのは世界の海運です。

世界海事デーは、国際海事機関(IMO)が実施する国連の国際デーです。IMOは海運分野を担当する国連の専門機関で、船舶の安全や海上の保安、船による海洋・大気汚染の防止などについて国際的なルールづくりを担っています。

世界海事デーを設けることが決まったのは1977年で、最初に行われたのは1978年3月17日でした。その後、1979年に9月最終週へ移すことが決まり、1980年から新しい日程で行われるようになります。現在は毎年9月最後の木曜日で、2026年は9月24日です。

なぜ最初は3月だった世界海事デーが、現在は9月に行われているのでしょうか。

目次

世界海事デーとは?

世界海事デーは、国際海運の安全や環境、そこで働く人々、新しい技術などへ目を向けるための日です。

中心となる国際海事機関(IMO:International Maritime Organization)は、船舶の安全や保安、航行の効率化、船舶による海洋・大気汚染の防止などについて、各国が共通して使える国際的なルールを整えています。

船は一つの国だけを航行するとは限りません。ある国の港を出た船がいくつもの海域を通り、別の国へ貨物を届けるのが国際海運です。安全設備や航行方法、環境対策などが国ごとに大きく違えば、世界規模の輸送を安全に続けることが難しくなります。

そこでIMOでは、SOLAS条約(海上人命安全条約)や、MARPOL条約(船舶による汚染を防ぐための国際的なルール)など、国境を越えて船舶に適用されるさまざまな取り決めが作られてきました。

毎年、その時代の海運に関係するテーマも取り上げられます。船の事故防止だけでなく、海洋環境、技術、船員、国際ルールの実施など幅広い分野が対象です。

海運は普段の生活では見えにくい存在ですが、世界の商品貿易の80%超は、物量ベースで海上輸送が担っています。 食品の原料や衣類、家電、燃料、工業製品など、普段目にする多くの商品も船による輸送と無関係ではありません。

世界海事デーは、こうした世界規模の物流を支える仕組みに目を向ける機会でもあります。

世界海事デーはいつ?2026年は9月24日

現在、世界海事デーは毎年9月最後の木曜日に行われています。

特定の日付に固定されているわけではないため、毎年日付が変わります。2026年は9月24日、2027年は9月30日です。

世界海事デーの創設は1977年、第1回は1978年

世界海事デーを設けることが決まったのは、1977年11月に開かれた第10回IMCO総会です。

当時提出された提案では、世界海事デーを年に一度設け、第1回を1978年3月17日に行うこととされました。この提案は総会で受け入れられ、翌1978年に最初の世界海事デーが実施されました。

3月17日が選ばれたのには、IMOの成り立ちが関係しています。

国際海事機関を設立するための条約が発効したのが1958年3月17日で、第1回世界海事デーはその20周年にあたりました。

IMO設立条約そのものが採択されたのは、さらに10年前の1948年3月6日です。当時の組織名は現在とは異なり、政府間海事協議機関(IMCO:Inter-Governmental Maritime Consultative Organization)でした。

条約が採択されても、すぐに組織が発足したわけではありません。発効には21か国が締約国となる必要があり、そのうち7か国は、それぞれ100万総トン以上の船舶を保有していることが条件でした。

1958年3月17日にエジプトと日本が条約を受諾したことで21か国に達し、採択から約10年を経て条約が発効しました。

その20周年にあたる1978年3月17日が、第1回世界海事デーとなったわけです。

なお、IMCOは1982年に現在の国際海事機関(IMO)へ名称が変更されています。

なぜ3月から9月へ移ったのか

世界海事デーは、第1回から現在までずっと9月だったわけではありません。1978年と1979年は3月17日に行われました。

日程変更に先立ち、オランダ政府から開催時期を見直す提案が出されました。

提案では、3月17日はIMCOの歴史を記念する意味ではふさわしいものの、北半球では港や船を一般の人に見てもらう屋外行事には気候的に向きにくいと指摘されています。

また、毎年同じ日付では休日と重なる機会が少なく、人を集めにくいことも理由として挙げられました。オランダ政府は、屋外行事を開きやすい時期として9月を提案しています。

こうした提案などを受け、1979年11月13日の第11回IMCO総会で、世界海事デーを3月17日から9月最終週へ移すことが決まりました。 当時は、その週の具体的な日を各国政府が選べる形で、翌1980年から新しい日程で行われるようになります。IMCO本部では1980年9月26日に世界海事デーが行われたことも記録されています。

9月への変更にはこうした提案がありましたが、これだけが変更理由だったとまでは分かっていません。

現在、IMOは世界海事デーを9月最後の木曜日として案内しています。ただし、1979年に決められた「9月最終週」から現在の「最後の木曜日」へ定着した詳しい経緯は、IMOの現在の案内からは分かりません。

世界海事デーでは時代に応じたテーマが掲げられる

世界海事デーでは、その時代の国際海運を取り巻く課題に合わせてテーマが設定されてきました。

船舶の安全だけを取り上げる日ではありません。新しい技術、船舶による汚染防止、海上の安全、海洋環境など、その時々の海運が抱える課題がテーマになっています。

船が安全に航行するための設備だけでなく、環境への影響を減らす取り組み、新しい燃料や技術、船員を取り巻く環境、国際ルールを実際に各国で運用する仕組みも海運には欠かせません。

2026~2027年は初めて2年間共通のテーマ

2026年と2027年のテーマは、

「From Policy to Practice: Powering Maritime Excellence」

です。

日本語では、「政策から実践へ――海事分野の卓越性を推進する」といった意味になります。

国際的なルールを作るだけで終わらせず、各国の法律や執行、実際の船舶・港湾などの日々の運用へつなげることに重点が置かれています。IMOによる技術支援、研修、能力開発などもテーマに含まれています。

また、世界海事デーのテーマが2年間続くのは2026~2027年が初めてです。IMO理事会は、加盟国などがテーマに沿った計画や取り組みを進める時間を確保しやすくするため、2年間のテーマを試行的に導入することを決めています。

日本の「海の日」や「船員の日」とは違う

日本には「海の日」があるため、世界海事デーと同じ記念日だと思うこともあるかもしれません。

しかし、成り立ちも目的も異なります。

日本の「海の日」は7月第3月曜日の国民の祝日で、「海の恩恵に感謝するとともに、海洋国日本の繁栄を願う」日です。

一方の世界海事デーは9月最後の木曜日で、国際海運の安全や保安、環境、国際的な海事ルールなどへ目を向ける日です。

さらにIMOには、毎年6月25日の「船員の日(Day of the Seafarer)」もあります。こちらは、国際貿易や世界経済を支える船員の貢献に焦点を当てた日です。

名称時期主な意味
海の日7月第3月曜日海の恩恵に感謝し、海洋国日本の繁栄を願う祝日
船員の日6月25日世界の海運を支える船員の貢献に目を向ける
世界海事デー9月最後の木曜日国際海運の安全・保安・環境などに目を向ける

「海に関係する日」という共通点はありますが、世界海事デーは特に国境を越えて動く海運と、それを支える国際的な仕組みに焦点を当てています。

まとめ

世界海事デーは、国際海事機関(IMO)が実施する国連の国際デーで、国際海運の安全・保安・環境などへ目を向ける機会となっています。

創設が決まったのは1977年で、第1回はIMO設立条約発効20周年にあたる1978年3月17日に行われました。1979年には開催時期を9月最終週へ移すことが決まり、1980年から新しい日程へ移行しています。現在は毎年9月最後の木曜日で、2026年は9月24日です。

世界の商品貿易の80%超を物量ベースで海上輸送が担う現在、海運は日々の暮らしとも深く結びついています。世界海事デーは、身近な商品が海を越えて届く仕組みや、その航海を支える安全・環境の国際ルールへ目を向けるきっかけになる日です。

参考情報

  • International Maritime Organization(IMO)「World Maritime Days – Archives」
  • International Maritime Organization(IMO)「Convention on the International Maritime Organization」
  • International Maritime Organization(IMO)「World Maritime Day theme 2026-2027」
  • International Maritime Organization(IMO)「Council, 134th session」
  • United Nations「World Maritime Day」
  • UN Trade and Development(UNCTAD)「Review of Maritime Transport」
  • International Association of Ports and Harbors(IAPH)「Ports and Harbors」

この記事を書いた人

気になったテーマを中心に、公開情報や資料を読みながら記事をまとめています。背景や違いが見えにくい話題も、公式サイトや公開資料を確認しつつ、できるだけわかりやすく整理してお届けしています。

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