競馬場でハズレ馬券が投げられる背景には、予想が外れた悔しさやゴール直後の高揚感、周囲の行動につられやすい状況などが関係しているとみられます。
古い競馬中継では、レースが決着したころに観客席から大量の紙が舞い上がる場面があります。遠くから撮影された映像だけでは、舞っている紙が馬券、競馬新聞、マークカードのどれなのか判別できない場合もあります。
紙吹雪のように見えても、頭上へ投げた紙は座席や通路へ落ちます。現在のJRA(日本中央競馬会)では、コースやパドックへの物の投げ入れに加え、すべてのエリアで物を投げ上げる行為も認められていません。不要になった投票券やマークカードは、場内のゴミ箱やリサイクルボックスへ捨てるよう案内されています。
ハズレ馬券を投げる背景には悔しさや高揚感がある
レース前の馬券は、予想が的中すれば払戻金を受け取れる可能性を持っています。しかし、購入した馬や組み合わせが外れると、期待していた結果は得られません。
手元に残った馬券は、外れた予想を思い出させるものになります。握りつぶす、破る、頭上へ放るといった動作は、悔しさや落胆を目に見える形で表したものとも考えられます。
ただし、投げた人が全員怒っていたとは限りません。大きなレースが終わった勢いで投げる人や、仲間の行動につられる人もいたでしょう。馬券を手放す動作には、終わったレースへの気持ちを区切る意味もあったのかもしれません。
ハズレ馬券を投げる行為は、一つの心理だけで説明できるものではありません。落胆や興奮が高まったところへ会場の雰囲気が重なり、普段なら行わない動作につながったとみられます。
ゴール直後に馬券の役目が変わったように感じる
馬券の正式名称は「勝馬投票券」です。購入者が、勝つ馬や着順の組み合わせなどを予想して投票したことを示します。
レース前には期待を持たせる紙でも、予想が外れたように見えた瞬間には、不要なものへ変わったように感じられます。価値があると思っていた紙の役目が短時間で切り替わることも、ゴール直後に捨てる行動が起こりやすい理由の一つでしょう。
財布に残ったレシートを帰宅後に処分する場合とは異なり、競馬では大勢の観客が同じ瞬間に結果を見届けます。歓声と落胆が一斉に広がる環境も、感情的な行動を招きやすくします。
ただし、正式な結果が確定する前に馬券を捨てるのは避けたほうがよいでしょう。接戦では写真判定が行われ、審議によって着順が変わる場合もあります。
なぜ大量のハズレ馬券が宙を舞ったのか
一人が馬券を投げるだけなら、それほど目立つ光景にはなりません。しかし、多くの観客が集まるレースで一部の人が同じ時間に紙を投げれば、遠くからは大量の紙吹雪のように見えます。
紙の馬券を購入する観客は、馬券のほかに競馬新聞や記入済みのマークカードを手にしていることもありました。複数の紙が観客席へ持ち込まれる状況も、ゴール後の光景を派手に見せた一因です。
現在はインターネット投票やJRA-UMACA(ウマカ)など、従来の紙の勝馬投票券を手にしない購入方法もあります。UMACA投票機では購入内容を示すレシートが発行されるため、不要になった紙は決められた場所へ捨てる必要があります。
周囲の観客の行動が連鎖しやすかった
ゴール前では、多くの観客が一斉に声を上げ、馬券を握りながらレースを見守ります。普段より感情を表に出しやすく、近くにいる人の行動にも影響されやすい場面です。
誰かがハズレ馬券を投げると、それを見た別の人も同じ行動を取りやすくなります。「周りも投げているから、自分が投げても問題ないだろう」と感じ、普段ならためらう行為への抵抗が弱まることも考えられます。
すでに座席や通路へ大量の馬券が散らばっていれば、自分が一枚増やしても状況は変わらないように見えてしまいます。一人の行動が周囲へ連鎖したことも、大量の紙が舞う光景につながった可能性があります。
周囲の多くが行っていても、ほかの観客や施設スタッフへ負担を残すことは変わりません。不要になった紙は、座席や通路へ残さず、所定の場所へ捨てるのが適切です。
ハズレ馬券投げの始まりを示す定説はない
誰が最初にハズレ馬券を投げたのか、どのレースをきっかけに広まったのかについて、広く知られた定説はありません。
紙の馬券が中心だった時代の競馬場には、馬券や競馬新聞を手にした観客が大勢集まっていました。その中で、予想が外れた人の行動が周囲へ広がり、大レース後に見られる光景になったと考えられます。
ハズレ馬券を投げる行為は、競馬の正式な儀式や決められた作法ではありません。観客の感情や会場の雰囲気から生じた非公式な行動です。
もちろん、競馬場にいたすべての観客が馬券を投げていたわけではありません。一部の観客が同じ時間帯に投げることで、観客席全体から紙が舞っているように見えたのでしょう。
紙吹雪のように見えても周囲には負担がかかる
ゴール後に紙が舞う映像は、迫力のある場面に見えるかもしれません。しかし、投げられた馬券や新聞は、近くにいる観客の頭や衣服へ降りかかることがあります。
座席や階段、通路へ散らばれば、通行や清掃の妨げにもなります。投げた紙がどこに落ちるかは制御できず、風に流されて離れた場所まで届く場合もあります。
散乱した紙は清掃作業を増やす
座席や通路に残った馬券、新聞、マークカードは、施設側による回収や清掃が必要になります。
一枚の馬券は小さくても、大量に散らばれば、拾い集めて分別し、処分する範囲が広がります。一瞬の動作であっても、散らばった紙は周囲の観客や清掃を担当するスタッフの負担になります。
JRAは、不要になった投票券やマークカード、その他の紙くずを、構内のゴミ箱やリサイクルボックスへ捨てるよう案内しています。競馬場やウインズ周辺でのゴミの投げ捨ても、地域住民の生活に影響を及ぼすため、やめるよう求めています。
JRAでは物を投げ上げる行為が認められていない
JRAの競馬場やウインズでは、コースやパドックへの物の投げ入れだけでなく、すべてのエリアで物を投げ上げる行為も認められていません。
競走の実施や安全で快適な観戦環境を妨げる行為、ほかの観客の迷惑になる行為についても断ると案内されています。
頭上へ放った馬券は座席や通路へ落ちるため、結果として投げ捨てにつながります。中央競馬ではJRAのルールに従い、地方競馬場では各主催者や施設が定める案内を守る必要があります。
ハズレだと思っても結果確定までは捨てない
ゴールした直後に予想が外れたように見えても、紙の馬券はすぐに捨てないほうがよいでしょう。
接戦では、写真判定によって着順の確定に時間がかかる場合があります。また、審議によって着順が変更される可能性もあるため、JRAは競走が確定するまで勝馬投票券を捨てないよう注意を促しています。
出走取消や競走除外などがあった場合には、購入した組み合わせが返還の対象になることもあります。予想が外れたように見えても、返還券として購入金額を受け取れる場合があります。
JRAの的中券と返還券の払戻期間は60日間です。地方競馬でも、競走が確定するまでは馬券を捨てないよう案内され、紙の馬券の払戻有効期限はレース終了後60日とされています。
正式な結果と返還情報を確かめ、不要になったことを確認してから、決められた場所へ捨てるのが確実です。
Q&A
まとめ
競馬場でハズレ馬券が投げ捨てられてきた背景には、予想が外れた悔しさやゴール直後の高揚感、不要になったと感じた紙を手放す動作などが関係していると考えられます。
紙の馬券や競馬新聞を持つ人が集まる場所では、一部の観客の行動が周囲へ連鎖しやすくなります。「周りも投げているから問題ない」と感じ、投げ捨てへの抵抗が弱まることも、大量の紙が舞う光景につながった可能性があります。
しかし、頭上へ投げた馬券は観客席や通路へ落ち、周囲の観客や清掃作業にも影響します。現在のJRAでは、すべてのエリアで物を投げ上げる行為が認められていません。
周囲の行動に流されず、正式な結果を確かめたうえで、不要になった馬券やマークカードを決められた場所へ捨てることが、現在の競馬場で求められる観戦マナーです。
参考情報
- JRA「JRAからのお願い・ご注意」
- JRA「馬券のルール」
- JRA「馬券の購入(UMACA)」
- 地方競馬全国協会「結果を確認する」
