屋外を歩いていて、かなり離れているのに前の人のタバコのにおいが流れてくることがあります。
こういうとき気になるのが、「どのくらい離れれば届きにくくなるのか」という点です。
ただ、この答えは固定の何メートルとは言い切れません。無風か微風か、強風か、そして風上か風下かで、においの残り方はかなり変わるからです。さらに、開けた空間かどうか、壁際かどうか、同じ方向に歩いているのか、立ち止まっているのかでも印象は大きく変わります。
ここでいう距離は、あくまで屋外でのにおいの届き方の目安です。安全距離や健康影響の境目を示すものではなく、条件しだいでかなり前後すると考えたほうが実感に合います。
まず押さえたいのは、距離だけでは決まらないこと
タバコのにおいは、いつも同じ広がり方をするわけではありません。空気の流れに乗って細長く伸びることもあれば、その場にとどまるように残ることもあります。だから、同じ5メートルでも、ほとんど気にならない日と、まだはっきりわかる日があります。
とくに差が出やすいのは風向きです。自分が風下にいると、煙やにおいはそのまま流れてきやすくなります。反対に風上なら、距離が近くても届きにくいことがあります。つまり、離れることも大切ですが、それ以上に煙の流れの中に入っているかどうかが感覚には効きやすいです。
無風のときは、遠くへ飛ぶというより近くに残りやすい
無風に近い状態では、煙は一直線に遠くまで飛ぶというより、その場の周囲にとどまりやすくなります。開けた空間で立ち止まっている場合でも、吸っている人の近くではにおいがまとまりやすく、数メートルの範囲で残ることがあります。
目安としては、条件が比較的よい場所なら、1〜3メートルではまだわかりやすく、5メートル前後で弱まることがあります。
ただし、壁際、建物のすき間、屋根のある通路のように空気が抜けにくい場所では、もっと残りやすくなります。無風は「飛ばないから安心」ではなく、近い範囲に残りやすい状態と見たほうが近いです。
微風は、いちばん読みづらい
微風は、においの届き方がいちばん読みづらい条件です。少し流れるぶん薄まりやすくはなりますが、向きが合うと煙やにおいが細い帯のように伸びてきて、「急に臭う」「少し離れたのにまだ届く」と感じやすくなります。
このとき風下側に入っていると、5〜10メートルほどでも気づく場合があります。反対に、少し横へずれるだけでかなり弱く感じることもあります。微風では、ただ後ろに下がるより、横に外れるほうが効く場面が少なくありません。
同じ方向に歩いている場合は、立ち止まっているときより不利になりやすい
ここで大事なのが、「立ち止まっている場合」と「同じ方向に歩いている場合」は条件が違うという点です。前を歩く人が煙を吐き、その後ろを同じ速度に近い形で歩くと、後ろの人はその煙の流れに入り続けやすくなります。単純に距離だけの問題ではなく、においの帯に向かって進んでいる状態になりやすいわけです。
そのため、無風から微風では、20メートル前後後ろを歩いていてもにおいを感じることがあります。これは、においに敏感な人だからと一言で片づく話ではありません。もちろん個人差はありますが、それだけでなく、空気が動きにくい道、壁沿い、建物に囲まれた通路、進行方向と風の向きが重なる条件では、思った以上ににおいが長く残ることがあります。
歩きタバコでは、真後ろより横や斜め後方へ外れたほうが避けやすい
前を歩く人のにおいが気になる場面では、真後ろにいるのがいちばん避けにくくなりやすいです。吐かれた煙が、そのまま進行方向の後方へ残りやすいからです。
この場合、数メートル離れるだけでは足りないこともあります。むしろ、少し横へずれる、斜め後方へ移る、可能なら追い越して風上側へ出るほうが、感じ方はかなり変わります。とくに微風では、「距離を少し空ける」より「煙の線から外れる」ことのほうが効きやすいです。
強風のときは、近くでは薄まりやすいが、風下へは伸びることがある
強風になると、煙はすぐに散るので、吸っている人の近くでも思ったほど濃くないと感じることがあります。
ただし、これは周囲に広がって薄まるという意味で、におい自体がなくなるわけではありません。風下へ乗れば、細く長く流れてくることがあります。
このため、強風では、横や風上では届きにくいのに、風下では離れていても断続的に臭うことがあります。風が強い日は、距離だけを見るより、風がどちらへ流しているかを見たほうがつかみやすいです。
離れても避けにくいときは、別の道を選ぶのも現実的
においが気になるとき、つい「もっと後ろへ下がればいいのでは」と考えがちです。けれど、無風から微風で、しかも同じ方向に歩いている場合は、距離だけで解決しにくいことがあります。壁沿いや通路ではにおいが長く残ることもあるからです。
そういう場面では、少し横へずれる、風上側へ移る、タイミングを変える、場合によっては別の道を選ぶほうが楽になることがあります。離れてもにおうときは、距離より立ち位置の影響が大きい場面だと考えるとわかりやすいです。
目安をひとことで言うなら、風下では想像より遠く、風上では想像より近い
結局のところ、タバコのにおいが届きにくい距離は、固定の何メートルでは言い切れません。
それでも屋外での感覚的な目安としてまとめるなら、こう考えるとつかみやすくなります。
無風では、近い範囲に残りやすい。
微風では、風下へ帯のように流れやすい。
強風では、近くは薄まりやすいが、風下へは長く伸びることがある。
風上では、思ったより近くても届きにくい。
風下では、距離より立ち位置の影響が大きい。
つまり、離れること自体は大事ですが、それ以上に風下から外れることが重要です。
まとめ
タバコのにおいがどこまで届くかは、固定の何メートルで決まるわけではありません。無風なら周囲に残りやすく、微風では風下へ流れやすく、強風では近くは薄まっても風下へ長く運ばれることがあります。しかも、開けた空間で立ち止まっている場合と、同じ方向に歩いている場合とでは条件がかなり違います。
とくに歩きながら後ろをついていく形では、煙の流れに入り続けやすいため、10メートル以上離れていても、条件によっては20メートル前後でにおいを感じることがあります。
においを避けたいときは、ただ後ろへ下がるより、横へずれる、風上側へ動く、煙の通り道から外れる、必要なら別の道を選ぶほうが、実際には楽になりやすいです。
- においが届きにくい距離と、健康影響が生じにくい距離は同じではありません。この記事で扱ったのは、あくまで屋外でのにおいの届き方の目安です。
参考情報
- 厚生労働省「受動喫煙対策」
- 国立がん研究センター がん情報サービス「たばこと健康」
- WHO「Tobacco / Second-hand smoke」
- CDC「Health Effects of Secondhand Smoke」
- 屋外受動喫煙に関する査読論文
