公園や森で見かけるリスは、木の上を走り回るかわいらしい動物という印象で覚えられがちです。けれど、リス科は世界に268種がいる大きなグループで、木の上で暮らすものだけでなく、地上で暮らすものや滑空する仲間まで含まれます。ひとことでリスと言っても、見た目も暮らし方もずいぶん幅があります。
しかも、彼らは「木の実を食べる小動物」というだけではおさまりません。食べ物をため込む習性、冬の越し方、頬袋の使い方など、知ってから見ると印象が変わる特徴がいくつもあります。ふだん何気なく見ていたしぐさにも、ちゃんと理由があります。
リスの仲間は「木にいる動物」だけではない
多くの人が思い浮かべるのは、枝の上を走るふさふさのしっぽを持った木リスです。ただ、リス科には木リスだけでなく、ジリス、シマリス、マーモット、プレーリードッグ、そして滑空する仲間も含まれます。つまり、リスの仲間は見た目も生活の場もかなり幅の広いグループです。
食べ物も木の実だけではありません。多くの種は種子や果実を好みますが、昆虫、卵、菌類、芽、花、樹皮などを口にすることもあります。リスを見ると「ナッツ専門」のように感じますが、実際には季節や環境に合わせてかなり柔軟に食べるものを変えています。
リスの仲間は冬になるとみんな眠るわけではない
リスと聞くと、冬眠する動物という印象を持つ人もいます。けれど、すべての仲間が同じように冬を過ごすわけではありません。木リスの多くは一年を通して活動し、地上で暮らす仲間の中には休眠や冬眠に入る種類もいます。つまり「リスは冬眠する」とひとまとめにすると少し乱暴で、どの仲間の話なのかでかなり違ってきます。
シマリスもこの点でよく誤解されます。ブリタニカによると、シマリスは秋に脂肪を大量にため込むというより、頬袋で運んだ種子や木の実を巣穴に蓄え、冬のあいだそれを使いながら過ごします。活動量は落ちても、ただ眠り続けているわけではありません。
木の実をただ埋めているわけではない
木リスなどの代表的なしぐさといえば、木の実を地面に埋める姿です。あれは気まぐれではなく、食べ物の少ない時期に備えるための貯蔵行動です。ブリタニカによると、まとめて一か所にためる場合もあれば、複数の場所に分けて埋める場合もあり、後者では食べ物の種類ごとに近い場所へまとめるような整理も見られます。見た目は単純でも、意外と理にかなった行動です。
しかも、埋めた木の実を全部回収できるとは限りません。ブリタニカは、忘れられたり回収されなかった実の一部は、そのまま芽を出して木になることがあると説明しています。食料をためているつもりの行動が、結果として木を増やすことにつながるわけです。かわいいしぐさの裏で、森の更新にひと役買っているかもしれないというのは、なかなか興味深いところです。
実は、すべてのリスの仲間に頬袋があるわけではない
頬袋と聞くと、リス全体の特徴のように思う人もいるかもしれません。けれど、ここは少し注意が必要です。ナショナル ジオグラフィックによると、頬袋があるのは地上性のリスの仲間で、シマリス、マーモット、プレーリードッグなどが含まれます。木の上で暮らすおなじみの木リスすべてに頬袋があるわけではありません。
とくにシマリスは、大きな内頬袋を使って食べ物を運ぶことで知られています。ブリタニカはシマリスを、大きな内頬袋を持つ地上性の小型リスと説明しています。食べ物をその場で食べるのではなく、まず頬袋に詰めて巣穴へ運び、あとでまとめて使う。そのための「持ち運び用の袋」が、シマリスの頬の中にあるわけです。
シマリスが頬袋いっぱいに食べ物を詰めるのはなぜ?
シマリスが頬袋をふくらませている姿は、見ているぶんにはかわいらしいものです。けれど、あれは単なる食いしん坊の行動ではありません。ナショナル ジオグラフィックは、頬袋を持つ動物たちは、外敵が現れても食べ物を持ったまま逃げられるように、頬袋をいわば持ち運び用の袋として使っていると説明しています。まず回収して安全な場所へ運ぶ。そのために、できるだけ多く詰め込もうとするわけです。
しかもシマリスの頬袋はかなりよく伸びます。ナショナル ジオグラフィックは、シマリスが自分と同じくらいの量を運ぶことがあると紹介しています。ブリタニカも、シマリスは種子や木の実を頬袋へ詰めて巣穴まで運び、冬に備えると説明しています。ふくらんだ頬は見た目の面白さだけでなく、寒い季節を生き抜くための実用的な仕組みでもあります。
頬袋を持つ動物はシマリスだけではありません。ハムスターやポケットゴーファー、サルの一部などにも頬袋があります。共通しているのは、「その場で食べる」のではなく、「いったん運ぶ」ための道具として使われることです。シマリスの頬袋も、その流れの中にある特徴と考えるとわかりやすくなります。
まとめ
リスの仲間は、木の実を食べる小さな動物という印象だけではおさまらない、多彩なグループです。木の上で暮らすものだけでなく、地上で暮らすものや滑空するものもいて、冬の過ごし方も種類によって違います。木の実を埋める行動には食料確保の意味があり、その一部は結果として木を増やすことにもつながります。さらに、シマリスのような仲間は頬袋を使って食べ物を運び、冬に備えています。そうした特徴を知ってから見ると、リスは「かわいい」だけで終わらない、よくできた動物だと感じられるはずです。
参考情報
- Encyclopaedia Britannica「squirrel」
- Encyclopaedia Britannica「chipmunk」
- Encyclopaedia Britannica「Is It True That Squirrels Forget Where They Bury About Half of Their Food?」
- National Geographic「How chipmunks and other animals stuff their cheeks so full」
