大勢が集まる場所で静かにしている人を見ると、「内向的なのかな」「シャイなのかな」と思うことがあります。見た目の行動は似ていても、内向的であることとシャイであることは同じではありません。
大きな違いは、内向性は内面への意識の向き方などに関わる広い性格特性で、シャイさは人との関わりで生じる不安や緊張、ためらいなどに関係する特徴だという点です。
一人や少人数で過ごすことを好んでいても、人前ではほとんど緊張しない人がいます。反対に、人と交流したい気持ちはあっても、初対面の相手を前にすると緊張して話しかけにくくなる人もいます。
似て見える2つの特徴には、どのような違いがあるのでしょうか。
内向的な人とシャイな人は何が違う?
「内向的」と「シャイ」の違いは、なぜ静かにしているのかを見ると分かりやすくなります。
| 内向的 | シャイ | |
|---|---|---|
| 主に関係するもの | 性格傾向 | 対人場面での不安・緊張・抑制 |
| 一人でいる場合 | 一人や少人数で過ごすことを好む場合がある | 人と関わりたくても緊張して距離を置く場合がある |
| 人前での不安 | 必ずしも強いとは限らない | 生じやすい |
| 人付き合い | 落ち着いた交流や少人数を好むことがある | 交流したくてもためらうことがある |
| 両方当てはまる? | シャイな場合も、そうでない場合もある | 内向的な場合も、そうでない場合もある |
心理学でいう内向性は、自分の内面や思考、感情へ意識が向きやすいことなどに関わる幅広い性格特性です。内向性と外向性は完全に二分されるものではなく、一つの連続した性格傾向として捉えられています。
一方、シャイさには、社会的な場面での不安や抑制、自意識、他人からどう評価されるかへの心配などが関係します。人によっては顔が赤くなったり、視線を合わせにくくなったりすることもあります。
そのため、同じように会話の輪から離れている人でも、「その場所では静かに過ごしたい」のか、「話したいけれど緊張して入れない」のかでは事情が異なります。
内向的だからといって人付き合いが苦手とは限らない
内向的な人というと、「人と話すのが苦手」「いつも一人でいたい」といったイメージを持たれることがあります。
しかし、内向性そのものは、人付き合いの得意・不得意をそのまま表すものではありません。
内向的な傾向を持つ人には、比較的静かな環境を好んだり、一人で物事に取り組んだりする人もいます。大人数の集まりより、少人数で落ち着いて話すほうが過ごしやすい人もいるでしょう。
だからといって、人前で話せないとは限りません。必要な場面では多くの人と会話したり、発表や接客をこなしたりする内向的な人もいます。
どのような交流を好むかと、人と関わる能力は同じものではありません。
内向型と外向型はきっぱり二つに分かれるわけではない
「自分は内向型」「あの人は外向型」と二種類に分けたくなることがありますが、内向性と外向性は一つの連続体として捉えられています。
つまり、全員が完全な「内向型」か「外向型」のどちらかに分かれるわけではありません。
親しい友人とはよく話すものの、大人数の集まりでは静かに過ごしたい人もいます。人によって傾向の程度が違い、場面によって振る舞い方が変わることもあります。
内向性と外向性という概念は、スイスの心理学者カール・ユング(Carl Jung)が性格類型を考えるために用いたことでも知られています。
シャイな人は人と関わりたくないとは限らない
シャイな人も、外から見ると静かだったり、人の輪から少し離れていたりすることがあります。
ただし、その背景には対人場面での緊張や気まずさ、相手からどう思われるかへの心配がある場合があります。
たとえば、初対面の人と話してみたいと思っていても、
「何を話せばいいだろう」
「変なことを言ったらどうしよう」
と気になり、なかなか話しかけられないことがあります。
一人でいることそのものを好んでいる場合とは、この点が異なります。
また、シャイであること自体が性格上の欠点というわけではありません。
シャイさは相手や場面によっても変わる
シャイだからといって、いつでも誰に対しても同じように緊張するとは限りません。
親しい家族や友人とは気軽に話せる一方、初対面の人や大人数の集まり、人から注目される場面になると緊張しやすい人もいます。
知らない場所ではしばらく様子を見ていても、慣れてくると会話に加われる人もいるでしょう。同じ人でも、相手や状況によってシャイさの表れ方は変わります。
そのため、「口数が少ない」「人の輪から離れている」といった行動だけで、その人が内向的なのかシャイなのかを決めることはできません。
外向的でもシャイな人はいる
「シャイ=内向的」とも限りません。
人と一緒に過ごすことが好きで、交流したい気持ちが強くても、知らない人に声をかけたり、大勢の前で発言したりすると緊張する人はいます。
内向性とシャイさを別の特徴として考えると、
内向的でシャイな人
内向的でもシャイではない人
外向的でもシャイな人
のいずれも考えられます。
内向的か外向的かという性格傾向と、対人場面で緊張しやすいかどうかは、一つの軸だけでは分けられません。
シャイと社交不安症は同じではない
シャイという言葉は日常的な特徴を表すためにも使われますが、シャイであること自体が病気というわけではありません。
一方、社交不安症(social anxiety disorder)は、人から見られたり評価されたりする社会的な場面で強い恐怖や不安を感じ、それが日常生活の妨げになることがある不安症です。
「初対面では少し恥ずかしい」「人前では緊張しやすい」といった経験だけで、社交不安症を意味するわけではありません。
強い不安が続き、学校や仕事、人間関係などに支障が生じる社交不安症は、日常的なシャイさとは区別されます。
そのため、「シャイ」と「社交不安症」は似た部分があっても、同じ意味の言葉として扱うものではありません。
まとめ
内向的な人とシャイな人は、外から見るとどちらも静かに見えることがあります。しかし、背景にあるものは同じとは限りません。
内向性は、自分の内面や思考、感情への意識などに関わる広い性格特性です。一人や少人数で過ごすことを好む人もいますが、内向的であること自体が、人付き合いの苦手さを意味するわけではありません。
シャイさは、人との関わりで生じる不安や緊張、自意識、ためらいなどと関係します。人と交流したいと思っていても、緊張によって行動しにくくなることがあります。
シャイさそのものに優劣があるわけではなく、表れ方も人や場面によって異なります。
静かに過ごすことを好んでいるのか、人と関わりたいけれど緊張しているのか。 この違いを見ると、内向性とシャイさが同じものではないことが分かります。
参考情報
- American Psychological Association(APA)「APA Dictionary of Psychology:introversion」
- American Psychological Association(APA)「APA Dictionary of Psychology:introversion–extraversion」
- American Psychological Association(APA)「Shyness」
- American Psychological Association(APA)「Why are some kids shy?」
- National Institute of Mental Health(NIMH)「Social Anxiety Disorder: What You Need to Know」
- 厚生労働省「ICD-11における精神・行動・神経発達の疾患分類」
