宝くじの広告でよく目にする「1等・前後賞合わせて〇億円」という表現。
1等そのものは〇億円なのに、なぜ前後賞まで足した金額が示されるのでしょうか。そもそも前後賞とは、どんな仕組みなのでしょう。
宝くじの公式記録をたどると、1948年にはすでに「1等・前後賞合わせて」という賞金設定が登場しています。その後、宝くじの賞金が高額になるにつれて、前後賞を含めた合計額も大きくなっていきました。
宝くじの「前後賞」とは?
前後賞とは、1等の当せん番号と同じ組で、その番号の1つ前または1つ後に当たる賞です。
たとえば、ある組の「123456番」が1等だった場合、その同じ組の「123455番」と「123457番」が前後賞に当たります。
1等の券、その1つ前の券、その1つ後の券は、それぞれ別の宝くじです。そのため「1等・前後賞合わせて〇億円」は、1枚の宝くじの当せん金額ではなく、1等と前後賞2本を合算した金額を表しています。
番号の端には少し変わった決まりもあります。1等が199999番なら199998番と100000番、1等が100000番なら199999番と100001番が前後賞です。前後賞を決める際には、199999番と100000番もつながった番号として扱われます。
前後賞はいつからある?
現在につながる戦後の宝くじでは、1945年10月に政府第1回宝籤(たからくじ)が発売され、1等賞金は10万円でした。
宝くじ公式サイトの年表では、1948年12月に「1等・前後賞合わせて200万円」の宝くじが登場したことが記録されています。少なくともこの時点では、1等だけでなく前後の番号にも賞を設け、その合計額を示す仕組みが使われていました。
ただし、公式年表だけから「1948年が前後賞の誕生年」とまでは特定できません。1948年は、公開されている公式記録から前後賞の歴史をたどるうえで重要な時期の一つです。
1953年には「親子くじ」が登場
1953年には、政府宝くじと京都府宝くじで「親子くじ」が発売されました。
これは分割して販売しない形式の宝くじで、子券が前後賞に当たる仕組みでした。公式年表には、前後賞を組み込んだ新しい形式が好評だったことも記録されています。
一方、前後賞が最初に考案された詳しい理由について、公式年表には説明がありません。
「1等に惜しくも外れた人のために作られた」「連番を買ってもらうために作られた」といった説もありますが、これらを公式な由来とする根拠は見つかっていません。
賞金の高額化とともに前後賞の合計額も増えた
1974年には、第109回全国自治宝くじで史上初の前後賞付き2,000万円くじが発売されました。
賞金は、
- 1等:1,000万円
- 前賞:500万円
- 後賞:500万円
という構成で、3本を合算すると2,000万円です。前後賞まで含めた高額な賞金設定が注目を集めたことが、公式年表にも残されています。
その後も賞金は高額化し、1987年の年末ジャンボでは1等6,000万円、前後賞各1,500万円で合計9,000万円となりました。
1989年の年末ジャンボでは、1等6,000万円と前後賞各2,000万円を合わせて合計1億円に到達します。宝くじ公式サイトの「最高賞金額の主な推移」でも、1等単独だけでなく前後賞を含めた金額が記録されています。
なぜ「1等・前後賞合わせて〇億円」と表示する?
「1等・前後賞合わせて〇億円」という数字は、1等の当せん金と2本の前後賞を合算した金額です。
たとえば、
- 1等:5億円
- 前賞:1億円
- 後賞:1億円
なら、3本の合計は7億円です。この場合、「1等・前後賞合わせて7億円」と表すことができます。
こうした合計表示は現在のジャンボ宝くじでも使われています。1等と2本の前後賞をすべて保有していた場合、それぞれ別の当せん券として3本分の当せん金が対象になります。
ただし、なぜ合計額を広告などで前面に示すようになったのか、その経緯を詳しく記した公式資料は見当たりません。
そのため、「金額を大きく見せるため」といった意図まで理由として決めつけることはできません。現在確認できるのは、1等と前後賞を合算した賞金規模を示す表記として実際に使われていることです。
前後賞と連番にはどんな関係がある?
前後賞は、現在の「連番」という販売方法とも仕組み上の関係があります。
連番は、同じ組で番号の末尾が0~9まで連続する10枚を1セットにしたものです。その中に1等の番号と前後の番号がそろっていれば、1等・前賞・後賞に当たる3枚が同じセット内に含まれることになります。
ただし、前後賞が連番のために作られたという記録はありません。 現在の連番では番号が連続しているため、前後賞の仕組みと組み合わさる場合がある、という関係です。
通常の「バラ」は、連番のように10枚すべてが連続番号になったセットではありません。一方、現在は「3連バラ」という、連続番号を含む販売方法もあります。
そのため、「連番だけが前後賞に関係し、バラなら前後賞とは無関係」と完全に分けることもできません。
買い方にかかわらず、1等と前後賞はそれぞれ別の番号に設定された賞です。
前後賞はすべての宝くじにあるわけではない
前後賞は、宝くじ全体に共通する仕組みではありません。
ジャンボ宝くじなど、組と番号によって当せんを決める普通くじでは前後賞が設定されることがあります。一方、ロトやナンバーズは当せん方法そのものが異なります。
また、同じジャンボ系の商品でも賞金構成は毎回同じではありません。宝くじ公式サイトでは、ジャンボミニには1等の前後賞がない場合があると案内しています。
実際には前後賞が設定されるジャンボミニもあるため、「ジャンボミニには前後賞がない」と一律にはいえません。
前後賞があるかどうかや、その金額は商品・回号によって異なります。
まとめ
宝くじ公式サイトの年表では、1948年に「1等・前後賞合わせて200万円」の宝くじが登場したことが記録されています。1953年には前後賞を組み込んだ「親子くじ」、1974年には前後賞付き2,000万円くじも登場しました。
現在よく見る「1等・前後賞合わせて〇億円」は、1枚の宝くじで受け取れる金額ではなく、1等と前後賞2本を合算した金額です。
前後賞が最初に考案された詳しい理由について、公式年表には説明がありません。「惜しい人のため」「連番購入を促すため」といった説も、公式な由来として確認されたものではありません。
前後賞は戦後の早い時期から使われ、宝くじの賞金が高額になるにつれて、現在見られる「1等・前後賞合わせて」という賞金表示にもつながっていきました。
参考情報
- 宝くじ公式サイト「宝くじのあゆみ 昭和20年~昭和40年」
- 宝くじ公式サイト「宝くじのあゆみ 昭和41年~昭和58年」
- 宝くじ公式サイト「宝くじの歴史 ニーズに合わせた賞金体系」
- 宝くじ公式サイト「ジャンボ宝くじ等の普通くじをもっと楽しむには?」
- 宝くじ公式サイト「ジャンボ宝くじ等の普通くじを買うには?」
