住宅や学校、駅、オフィス、図書館。私たちが毎日使っている建物には、雨風を防ぐこと以外にも多くの役割があります。使いやすさや安全性だけでなく、周囲の街並みや地域の気候なども考えながらつくられているからです。
そんな建築と人々の暮らしに目を向ける日が、世界建築の日(World Architecture Day)です。国際建築家連合(UIA)が設けたもので、毎年10月の第1月曜日に行われます。2026年は10月5日(月)です。
同じ日には、国連の「世界ハビタット・デー」も行われます。2つは別の取り組みですが、建築、住宅、都市、人が暮らす環境という共通するテーマを持っています。
世界建築の日は毎年10月の第1月曜日
世界建築の日を設けた国際建築家連合(UIA)は、世界各国・地域の建築家組織をつなぐ国際組織です。
UIAは、世界建築の日を1985年に創設したとしています。毎年決まった日付ではなく10月の第1月曜日に行われるため、日にちは年ごとに変わります。
| 年 | 世界建築の日 |
|---|---|
| 2024年 | 10月7日 |
| 2025年 | 10月6日 |
| 2026年 | 10月5日 |
| 2027年 | 10月4日 |
UIAそのものは1948年にスイスのローザンヌで設立されました。現在は各国・地域の建築家組織を結び、建築をめぐる国際的な交流や活動を行っています。
世界建築の日には毎年テーマが設けられます。住宅、都市、地域社会、環境、災害への備えなど、UIAがその年に重視する建築や都市の課題が取り上げられてきました。
そのため、有名な建造物や著名な建築家を紹介するためだけの日ではありません。建物が人の暮らしや社会とどう関わるのかにも目を向ける日となっています。
10月第1月曜日は世界ハビタット・デーと同じ日
世界建築の日と同じ日に行われるのが、国連の世界ハビタット・デー(World Habitat Day)です。
世界ハビタット・デーは、都市や人々の居住環境について考える国際デーです。国連総会は1985年12月17日の決議で、毎年10月の第1月曜日を世界ハビタット・デーとすることを決めました。
最初の世界ハビタット・デーは、1986年にケニアのナイロビで行われています。
その年のテーマは、
“Shelter is my right”
でした。日本語では「住まいは私の権利」といった意味です。
住宅は一棟の建物だけで成り立つものではありません。安全に暮らせることに加え、道路や交通機関とのつながり、地域の気候、周囲の生活環境なども関係します。
世界建築の日は世界ハビタット・デーと同じ日に行われており、建築を建物だけでなく、住宅や都市、人が暮らす場所まで含めて考える機会にもなっています。
国連が定めた国際デーは世界ハビタット・デー
2つの日は実施日が同じため、同じ記念日の別名と思われることもあります。しかし、設けた組織は異なります。
| 世界建築の日 | 世界ハビタット・デー | |
|---|---|---|
| 英語名 | World Architecture Day | World Habitat Day |
| 主体 | 国際建築家連合(UIA) | 国際連合 |
| 日付 | 10月第1月曜日 | 10月第1月曜日 |
| 主な対象 | 建築・都市・居住環境 | 都市・住まい・人間居住 |
国連が定めた国際デーは世界ハビタット・デーで、世界建築の日はUIAによる取り組みです。
2つは別の日ですが、どちらも毎年10月の第1月曜日に行われます。この関係が、世界建築の日の日付を知るうえで重要なポイントです。
2026年は「住まいと人権」がテーマ
2026年の世界建築の日でUIAが掲げたテーマは、
“Housing is a Human Right. Build It.”
です。
日本語では、「住まいは人権。築こう。」といった意味です。2026年の世界建築の日は10月5日に行われます。
同じ2026年の世界ハビタット・デーでは、
“Adequate Housing for All”
がテーマとなっています。「すべての人に適切な住まいを」といった意味です。
UIAは2026年のテーマで、適切で手頃な住宅へのアクセス、既存建物の再利用、地域の状況に応じた住宅づくりなどを取り上げています。新しい住宅を建てることだけでなく、すでにある建物をどう生かすかも論点の一つです。
1986年の最初の世界ハビタット・デーは“Shelter is my right”、2026年の世界建築の日は“Housing is a Human Right. Build It.”です。
1986年と2026年のテーマには、どちらも住まいと人の権利を扱っているという共通点があります。 40年の間には都市や住宅を取り巻く状況も変化していますが、住まいは現在も建築や都市を考えるうえで大きなテーマの一つです。
歴代テーマには建築が扱う分野の広さが表れている
世界建築の日のテーマは毎年変わります。近年だけを見ても、住宅以外のさまざまなテーマが登場しています。
| 年 | UIAが掲げたテーマ |
|---|---|
| 2022年 | Architecture for Well-being |
| 2023年 | Architecture for Resilient Communities |
| 2024年 | Empowering the Next Generation in Participatory Urban Design |
| 2025年 | Design for Strength |
| 2026年 | Housing is a Human Right. Build It. |
2022年の「Architecture for Well-being」では、人々の健康や生活環境と建築との関係がテーマになりました。
2023年は「Architecture for Resilient Communities」です。レジリエントとは、災害や変化に対応し、そこから回復していく力を指します。地域社会と建築の関係や、都市と農村のつながりなどに目が向けられました。
2024年の「Empowering the Next Generation in Participatory Urban Design」では、若い建築家や次世代が都市づくりへ参加することが取り上げられています。
2025年の「Design for Strength」では、災害や危機の中でも建築環境が耐え、適応し、再建できることが重視されました。
2026年には住宅が中心となり、「Housing is a Human Right. Build It.」が掲げられています。
健康、地域社会、次世代、災害、住宅と、世界建築の日で扱われるテーマは一つの分野に限られていません。建築物そのものに加え、人が暮らす場所や街のあり方も対象になっています。
建築は一棟の建物から街の暮らしへつながる
「建築」と聞くと、住宅や高層ビル、歴史的建造物など、完成した一棟の建物を思い浮かべる人も多いでしょう。
実際には、建物は周囲の環境と関わりながら使われています。
住宅なら、日当たりや風通しだけでなく、道路や公共交通とのつながりも暮らしやすさに影響します。学校や図書館のような公共施設では、利用しやすい場所にあるか、地域でどのような役割を担うかも大切です。
住宅や施設が集まれば街になり、道路、駅、公園、商店などと組み合わさって生活圏が形づくられます。一棟だけでは見えにくい建築の役割も、街全体に目を向けると分かりやすくなります。
世界建築の日で住宅や都市、地域社会がたびたびテーマになる背景にも、こうした建築と暮らしのつながりがあります。
建物の外観や大きさを見るだけでなく、誰が使うのか、どのような場所に建っているのか、そこでどのような暮らしが営まれるのかという視点も、建築を見る一つの手がかりになります。
まとめ
世界建築の日は、国際建築家連合(UIA)が設けた日で、毎年10月の第1月曜日に行われます。2026年は10月5日です。
同じ日には、国連が定めた世界ハビタット・デーも行われます。最初の世界ハビタット・デーは1986年にナイロビで開催され、テーマは“Shelter is my right”でした。
2026年の世界建築の日では、“Housing is a Human Right. Build It.”が掲げられています。近年も健康、地域社会、災害、次世代、住宅など幅広いテーマが選ばれてきました。
世界建築の日を知ると、建築が建物の形だけではなく、住宅や都市、人々が暮らす場所にも深く関わっていることが見えてきます。
参考情報
- 国際建築家連合(UIA)「World Architecture Day 2026: “Housing is a Human Right. Build It.”」
- 国際建築家連合(UIA)「The UIA」
- 国際建築家連合(UIA)「World Architecture Day」
- UN-Habitat「World Habitat Day」
- United Nations Digital Library「Human settlements : resolution / adopted by the General Assembly(A/RES/40/202)」
