6月21日は、世界の各地で音楽を楽しむ日として知られています。フランス語では Fête de la Musique(フェット・ド・ラ・ミュジーク) と呼ばれ、日本語では「音楽の日」や「音楽祭」と紹介されることがあります。
Fêteは「祭り」、musiqueは「音楽」を意味する言葉で、直訳すると「音楽の祭り」に近い表現です。
この日は、特別なホールだけで音楽を聴く日ではありません。街角、公園、広場、駅前、店先など、日常の場所に音楽が広がるところに特徴があります。
音楽を聴く人だけでなく、演奏する人も主役になれる。そうした開かれた雰囲気が、Fête de la Musiqueらしさです。
Fête de la Musiqueとは何の日?
Fête de la Musiqueは、毎年6月21日に行われる音楽の祭りです。
フランス文化省の公式サイトでは、毎年6月21日に行われる音楽の祭りとして案内されています。アマチュアとプロの音楽家による無料コンサートを通じて、フランスや世界であらゆる形の音楽を祝う日とされています。
この日の特徴は、音楽を限られた人だけのものにしないところです。
有名な演奏家だけでなく、学生、近所のバンド、合唱団、趣味で楽器を続けている人など、さまざまな人が音楽を街に持ち出します。聴く側も、きちんとした服装で会場に行くというより、歩いている途中で音に出会うような感覚です。
名前には「音楽祭」と「音楽をしよう」の響きがある
Fête de la Musiqueは、直訳すると「音楽の祭り」に近い意味です。
ただ、この名前にはもうひとつの聞こえ方があります。フランス語の Faites de la musique(フェット・ド・ラ・ミュジーク) は「音楽をしよう」という意味になり、Fête de la Musiqueと響きがよく似ています。
この言葉遊びは、この日の性格をよく表しています。
音楽をただ鑑賞するだけではなく、自分も歌う、演奏する、場をつくる。そんな参加する音楽の日として広がってきたのです。
6月21日に行われる理由
Fête de la Musiqueが6月21日に行われるのは、夏至と関係しています。
北半球では、6月21日ごろは一年の中でも昼の時間が長い時期です。Fête de la Musiqueの第一回は、1982年6月21日、夏至の日に行われました。
昼が長く、夜も外で過ごしやすい時期は、街に音楽が広がる祭りに向いています。
屋外で演奏し、通りを歩きながら音楽に出会い、夜まで人が集まる。6月21日という日付は、音楽を街へ開くという考え方と相性がよかったのです。
音楽をホールの外へ出す日
音楽と聞くと、コンサートホールやライブハウスを思い浮かべる人も多いかもしれません。
もちろん、そうした場所で聴く音楽にも大きな魅力があります。ただ、Fête de la Musiqueでは、音楽がもっと生活に近い場所へ出ていきます。
通りで誰かがギターを弾いている。広場で合唱が始まる。公園でジャズが鳴っている。店の前で小さな演奏会が開かれている。
ふだんは通り過ぎるだけの場所が、その日だけ小さなステージになります。
始まりは1982年のフランス
Fête de la Musiqueは、1982年にフランス文化省によって始められました。
当時のフランスでは、多くの人が楽器を演奏している一方で、音楽イベントに関わる機会は限られていました。そこで、すべての音楽家が表現できる大衆的な催しとして、6月21日の音楽祭が構想されました。
ここで大切なのは、音楽の種類に上下をつけないという考え方です。
クラシック、ロック、ジャズ、シャンソン、伝統音楽、合唱、電子音楽。どれが偉い、どれが軽いと分けるのではなく、さまざまな音楽が同じ日に街へ出てくる。それがこの祭りの大きな特徴です。
アマチュアもプロも参加できる
Fête de la Musiqueでは、アマチュアとプロの両方が大切にされています。
音楽を仕事にしている人だけでなく、趣味で楽器を弾く人、家族や友人と歌う人、学校や地域のグループで演奏する人も参加できます。音楽が得意な人だけの発表会ではなく、音楽を楽しむ人が街に出る日なのです。
こうした形だからこそ、音楽との距離が近くなります。
「上手な人の演奏を聴く日」だけではなく、「自分も音を出していい日」になるからです。音楽を始めたばかりの人にとっても、人前で演奏するきっかけになりやすい日といえます。
世界に広がった音楽の日
Fête de la Musiqueは、フランスだけの行事にとどまりませんでした。
1985年のヨーロッパ音楽年をきっかけに国外へ広がり、1997年にはブダペストで「ヨーロッパ音楽祭」の憲章が署名されました。その後も広がり、2017年時点で世界120か国以上が参加する催しとして紹介されています。
現在では、英語圏で Make Music Day(メイク・ミュージック・デー) と呼ばれることもあります。意味としては「音楽をしようの日」に近く、Fête de la Musiqueの参加型の雰囲気をよく表しています。
名前や開催の形は地域によって少し違いますが、中心にある考え方は似ています。
音楽を無料で、開かれた場所で、多くの人と楽しむ。そこにFête de la Musiqueの広がりがあります。
「世界音楽の日」とは少し違う見方もできる
Fête de la Musiqueは、日本語で「世界音楽の日」と紹介されることがあります。
ただし、国連が定めた国際デーというより、フランスで始まり、世界へ広がった音楽イベントとして見るほうが正確です。日付は6月21日で定着していますが、開催規模や内容は国や都市によって異なります。
つまり、決まった儀式がある日というより、音楽を街へ開く考え方が広がった日です。
この違いを知っておくと、ただの日付ではなく、音楽を街へ広げる取り組みとして見えてきます。
Fête de la Musiqueが大切にしていること
Fête de la Musiqueが大切にしているのは、音楽を身近にすることです。
音楽は、チケットを買って会場へ行くものだけではありません。家で口ずさむ歌、学校の合唱、地域の太鼓、友人とのバンド、道ばたの演奏も音楽です。
この日は、そうした音楽が街の中に出てきます。
上手に演奏できるかどうかだけが大事なのではありません。音楽を通じて、人が同じ場所に集まり、知らない音に出会い、少し立ち止まる。その時間に意味があります。
音楽のジャンルを分け隔てなく楽しむ
Fête de la Musiqueでは、音楽のジャンルを分け隔てなく楽しむ雰囲気があります。
クラシックの演奏も、ロックバンドも、伝統音楽も、合唱も、電子音楽も、街の中では同じ日に鳴ります。ふだん聴かない音楽に出会えることも、この日の魅力です。
好きな音楽だけを選んで聴く時代だからこそ、偶然の出会いには価値があります。
歩いていたら知らない国のリズムが聞こえてくる。いつも通る広場で学生の演奏に出会う。普段は静かな通りが、夜だけ音楽の場所になる。
その偶然が、音楽の楽しみ方を少し広げてくれます。
日本で楽しむならどう考える?
日本では、Fête de la Musiqueという名前自体はまだ広く知られているとはいえません。
それでも、6月21日を「音楽を楽しむ日」として考えることはできます。好きな曲を聴く、昔よく聴いていた音楽を探す、楽器に触れる、地域のライブや無料コンサートを探してみる。大きなイベントに参加しなくても、音楽との距離を少し近づけることはできます。
音楽は、特別な才能がある人だけのものではありません。
聴くことも、歌うことも、手拍子をすることも、誰かの演奏に耳を向けることも、音楽に参加する形です。6月21日は、そのことを思い出すきっかけになる日です。
Q&A(よくある疑問)
まとめ
6月21日のFête de la Musiqueは、1982年にフランスで始まった音楽の祭りです。夏至の日に、音楽をホールの外へ出し、街角や広場で多くの人が楽しめるようにしたことから広がりました。
この日の魅力は、プロだけでなくアマチュアも参加できることです。聴く人と演奏する人の距離が近く、ジャンルにも上下をつけず、さまざまな音楽が同じ日に街へあふれます。
音楽は、特別な場所だけにあるものではありません。歩いている途中で聞こえる演奏や、誰かが口ずさむ歌にも音楽があります。6月21日は、その身近な音に少し耳を向ける日です。
参考情報
- フランス文化省「Fête de la musique」
- フランス文化省「Historique de la Fête de la musique」
- Make Music Day「About Make Music」
