インターネットで価格を比較でき、物流も高度に整った現代社会。
本来であれば、誰もが同じ条件で商品を手に入れられるように思えます。
それでも、チケットや限定商品、ゲーム機などをめぐる転売は後を絶ちません。
「もう行商の時代ではないのに、なぜ転売が成立するのか」と疑問に感じたことがある人も多いでしょう。
この記事では、転売を善悪で判断するのではなく、
なぜ現代でも転売が横行するのかを、仕組みと構造の視点から雑学として整理します。
行商が必要だった時代の転売構造
中世では「運ぶこと」自体が価値だった
中世の社会では、行商や仲買人は生活に欠かせない存在でした。
都市と都市、村と村をつなぎ、物資を循環させる役割を担っていたからです。
- 定住型の商店が少ない
- 輸送手段が限られている
- 地域ごとに物の偏りが大きい
こうした環境では、「遠くから物を運ぶ」ことそのものに価値がありました。
情報格差が価格差を生んでいた
どこで何が手に入るのかという情報も限られていたため、
情報と移動手段を持つ行商が、安く仕入れて高く売るのは自然な仕組みでした。
現代は行商が不要なはずなのに
情報も物流も整った社会
現代では、
- ECサイト
- 即日配送
- 価格比較サービス
が当たり前になっています。
理屈の上では、誰でも同じ商品を同じ条件で購入できるはずです。
それでも転売はなくなりません。
現代の転売が成立する最大の理由
「作れない」ではなく「絞られている」
現代の転売が多い商品には共通点があります。
- 限定生産
- 抽選販売
- 販売数量の制限
これは、生産能力の問題ではなく、
販売の仕組みとして供給が制限されている状態です。
中世が「物理的に足りなかった社会」だとすれば、
現代は「制度によって足りなくなっている社会」と言えます。
転売者は何を“運んでいる”のか
商品ではなく「入手機会」
現代の転売でやり取りされているのは、単なる商品そのものではありません。
- 抽選に当たる確率
- 発売日に並ぶ時間
- 情報を早く掴む手間
つまり、転売者が提供しているのは入手機会です。
中世の行商が距離を越えて物を運んだように、
現代の転売は「制約や手間を引き受ける」ことで成り立っています。
情報社会でも残る見えにくい格差
情報があっても行動できるとは限らない
情報は公開されていても、
- 発売情報を見逃す
- 抽選に申し込む余裕がない
- 並ぶ時間を確保できない
といった差は生まれます。
この「行動できるかどうか」の差が、
現代における新しい情報格差として残っています。
心理が転売市場を拡大させる
欲しさが判断を変える
転売市場では、
- 今買わないと手に入らない
- 定価ではもう買えない
といった心理が働きやすくなります。
生活必需品というより、
感情価値が価格を押し上げている状態と言えるでしょう。
現代特有の動きについて
一部では、商品を大量に確保することで供給を絞り、
市場価格を押し上げる動きも見られます。
本記事では、転売が成立する「前提構造」に焦点を当てているため、
その仕組みについては別の記事で詳しく扱います。
なぜ現代でも転売はなくならないのか
物流や情報の発達だけでは、転売は解消されません。
なぜなら問題の本質は、
- 限定という販売戦略
- 人の感情
- 時間と行動の不平等
といった、技術だけでは均せない部分にあるからです。
まとめ
現代でも転売が横行するのは、
物が足りないからではありません。
供給が制限され、入手機会に差が生まれ、
そこに人の感情が重なることで、転売は成立しています。
転売を単純に善悪で捉えるのではなく、
なぜ生まれ続けるのかという構造を知ることが、
現代社会を理解する一つの手がかりになるかもしれません。
