炎の色はどう変わる?温度だけでは決まらない理由

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ガスコンロの炎は青いのに、ろうそくや焚き火では黄色やオレンジ色の炎が目立ちます。

さらに、花火では赤や緑など、普段の火ではあまり見ない色まで現れます。

「炎の色は温度で決まるのでは?」と思うかもしれませんが、実際にはそれだけではありません。

炎の色には、温度だけでなく、燃えている物質、酸素との混ざり方、すすの有無、原子や分子が出す光などが関係しています。

高温になった物体が熱によって光る場合は、温度が上がるにつれて赤からオレンジ、黄、白っぽい方向へ見え方が変化します。しかし、炎の青色などには別の仕組みで生じる光も含まれます。

そのため、「青い炎は高温、赤い炎は低温」と炎の色だけで単純に温度を決めることはできません。

目次

炎の色は温度だけで決まるわけではない

物体を強く熱すると、赤くなり、さらに温度が上がるとオレンジや黄、白っぽく見えることがあります。

炭や金属を熱したときに見える赤い光も、その一例です。

炎の中でも、高温になった細かなすすが光ることで黄色やオレンジ色に見えることがあります。

しかし炎では、それとは別に、燃焼によって生じる分子や、炎の中に含まれる原子などが特定の波長の光を出すことがあります。

私たちが見ている炎の色には、大きく分けて、

  • 高温になった粒子などが熱によって出す光
  • 原子や分子などが特定の波長で出す光

が含まれています。

炎によってどちらの光が目立つかが違うため、同じような色に見えても温度まで同じとは限りません。

温度が上がると赤から黄、白へ変化する光もある

温度によって色が変化する現象そのものは実際にあります。

金属や炭などの物体を高温まで熱すると、最初は暗い赤色の光が見え始め、さらに温度が上がるにつれて赤、オレンジ、黄、白っぽい方向へ見え方が変化します。

おおまかなイメージでは、

低温側:暗い赤 → 赤 → オレンジ → 黄 → 黄白色 → 白っぽい色:高温側

です。

これは、高温になった物体が熱によって光を放つためです。温度が上がるにつれて、目に見える範囲でもより短い波長を含む光が強くなり、全体の見え方が変化します。

炎の中にあるすすも高温になると光を放つため、ろうそくや焚き火で見られる黄色やオレンジ色の明るさに関係しています。

ただし、この色の順番を、そのまますべての炎の温度表として使うことはできません。

特に青い炎では、高温の粒子が熱で光る場合とは異なる仕組みの発光が大きく関わることがあります。

青い炎は温度による色の順番に当てはめにくい

炎の色を見ていると、

「赤、黄、白、青なら、青が一番高温なのでは?」

と考えたくなります。

しかし、青い炎は温度による色の順番へそのまま当てはめにくい色です。

高温になった物体が熱によって光る場合には、赤からオレンジ、黄、白っぽい方向へ変化します。

一方、ガスの青い炎などでは、燃焼の途中で生じる分子などが特定の波長の光を出し、その光が青く見えることがあります。

青色は、単に「非常に高温だから青くなった」とは限りません。

そのため、

青い炎 > 白い炎 > 黄色い炎 > 赤い炎

のように、種類の異なる炎まで色だけで一律の温度順位を付けることはできません。

白っぽく見える炎についても同じです。複数の波長の光や、高温になった粒子からの光などが重なって白っぽく見えることがあるため、「白い炎ならこの温度」と色だけで一律に決めることはできません。

白っぽく見える炎と青い炎についても、色だけを見てどちらが必ず高温とは決められないのです。

ただし、ガスコンロやガスバーナーのように同じ燃料を似た条件で燃やした場合は、空気とよく混ざった青い炎のほうが、すすを多く含む黄色い炎より高温になることがあります。

炎の色は温度を考える手がかりにはなりますが、色だけを温度計のように使うことはできないのです。

ろうそくの炎が黄色く見えるのは「すす」が光るから

ろうそくの炎を見ると、中央から上にかけて黄色く明るい部分が広がっています。

この黄色には、ろうから生じたすすの微粒子が深く関係しています。

ろうそくに火をつけると、芯の周囲で溶けたろうが吸い上げられ、熱によって気体になります。その燃料が周囲の酸素と反応して燃焼します。

ところが、炎の内部では場所によって酸素の届き方が違います。

酸素が十分ではない場所では燃料が完全には燃えきらず、炭素を多く含む非常に細かなすすができます。

そのすすが炎の熱で高温になると、明るい黄色からオレンジ色の光を放ちます。

ろうそくの黄色い炎は、黄色い物質が燃えているからではなく、高温になったすすが光っている部分が大きいのです。

ろうそくの炎には、芯の近くの下部などに青く見える部分もあります。炎の内部では燃料と酸素の混ざり方や進んでいる化学反応が場所によって異なるため、一つの炎の中にも色の違う領域ができます。

ガスコンロの炎はなぜ青い?

ガスコンロやガスバーナーでは、きれいな青色の炎を見ることがあります。

この青色は、ろうそくの黄色い炎とは光り方が異なります。

ガスが空気とよく混ざった状態で燃えると、黄色く強く光るすすが生じにくくなります。そのため、燃焼中に生じる分子などから出る青い光が見えやすくなります。

炭化水素を含む燃料の炎では、燃焼の途中で生じる分子などが出す光も青色に関わります。

一方、燃料に対して空気が十分に混ざっていないと、すすが生じやすくなり、炎が黄色っぽく見えることがあります。

ガスバーナーでは空気の取り込み方を変えることで、黄色っぽい炎から青い炎へ変化させることができます。

同じ燃料を燃やしていても、酸素との混ざり方が変われば、炎の色も変化するのです。

ガスコンロなどで青い炎のほうが黄色い炎より高温になることがあるのも、この燃え方の違いと関係しています。

ただし、これは「すべての青い炎はすべての黄色い炎より高温」という意味ではありません。異なる燃料や燃焼条件の炎まで、色だけで比較することはできません。

物質によって炎の色そのものが変わることもある

学校の理科で「炎色反応」を見たことがある人もいるでしょう。

特定の元素を含む物質を炎の中へ入れると、普段とは違う色の光が見える現象です。

代表的な色としては、次のようなものがあります。

元素炎で見られる代表的な色
リチウム赤〜深紅
ナトリウム黄
カリウム淡い紫
カルシウムオレンジ〜赤
銅緑〜青緑

これらの色は、単に「その物質がその色に燃えている」という意味ではありません。

炎の中でエネルギーを受けた原子などは、特定の波長の光を出すことがあります。

元素によって出やすい光の波長が異なるため、ナトリウムなら強い黄色、カリウムなら淡い紫といった違いが生まれます。

たとえばナトリウムには、約589ナノメートル付近に非常に強い黄色の光があります。

このような元素ごとの光の特徴は、炎色反応だけでなく、光を波長ごとに分けて調べる「分光」という方法にもつながっています。

強い炎色がほかの色を隠すこともある

炎色反応の表を見ると、それぞれの元素が決まった色にきれいに分かれて見えるように思えるかもしれません。

しかし、複数の物質が混ざっている場合は、強く見える炎色によって別の元素の色が目立たなくなることがあります。

特にナトリウムの黄色は非常に目立ちやすく、少量のナトリウムが混ざっていても黄色が強く見えることがあります。

そのため、カリウムの淡い紫色などがナトリウムの黄色に隠れ、肉眼では分かりにくくなることもあります。

炎色反応の色は元素を見分ける手がかりになりますが、混合物では単純に一色ずつ見えるとは限らないのです。

「金属イオンがそのまま光る」とは限らない

炎色反応は、

「金属イオンの電子が高いエネルギー状態になり、元へ戻るときに光る」

と説明されることがあります。

入門的な説明として使われることはありますが、実際の炎の中ではもう少し複雑です。

炎へ入れた塩から生じた粒子は、炎の中で状態が変化します。観察される代表的な光には、電荷をもたない「中性の原子」から出ているものもあります。

「炎色反応では必ず金属イオンそのものが光っている」と限定せず、元素に由来する原子などが特徴的な波長の光を出していると捉えると、炎の中で起きている現象をより正確に表せます。

同じ炎の中でも場所によって色が違う

ろうそくの炎をじっくり見ると、全体が一色ではないことに気づきます。

芯のすぐ近くには暗く見える部分があり、その周囲や下部には青みのある部分、さらに上には明るい黄色の部分があります。

これは、炎の中で燃料と酸素の量、温度、化学反応の進み方が均一ではないためです。

炎の中心付近では、気体になった燃料がまだ十分に酸素と混ざっていない場所があります。

外側へ近づくにつれて空気中の酸素と混ざり、燃焼が進みます。

さらに、途中で生じたすすが高温になれば黄色く光ります。

炎は一つの色で均一に光っているのではなく、燃料が気体になり、酸素と混ざり、さまざまな反応をしながら燃えている領域です。

そのため、一つの炎の中でも場所によって色が変わります。

また、同じ「炎の色」でも意味は一つではありません。高温になった物質が熱によって光っていることもあれば、すすが明るく光っていることや、原子・分子が特定の色の光を出していることもあります。

炎の色を見ることは、温度だけでなく、燃料と酸素がどう混ざり、炎の中で何が光を出しているのかを考える手がかりにもなります。

まとめ

炎の色は、温度だけで決まるものではありません。

高温になった物体が熱で光る場合には、おおまかに赤、オレンジ、黄、白っぽい方向へ色が変化します。

しかし、炎ではそれ以外の発光も重なります。

ろうそくや焚き火で目立つ黄色やオレンジ色には、高温になったすすが放つ光が関係しています。一方、ガスコンロなどの青い炎では、すすが少なく、燃焼中に生じる分子などから出る青い光が見えやすくなります。

そのため、青い炎は赤・黄・白のような温度による色の順番へ単純に当てはめることができません。白っぽく見える炎についても、色だけから一定の温度を決めることはできません。

さらに、ナトリウムやカリウム、銅などを含む物質では、元素に由来する特徴的な色が現れることがあります。

炎の色は、何が燃えているのか、酸素とどう混ざっているのか、どんな粒子や原子・分子が光を出しているのかを映し出す手がかりです。色だけで温度を決めるのではなく、「何がその色の光を出しているのか」まで考えると、炎の見え方の違いが分かりやすくなります。

参考情報

  • NASA Technical Reports Server「Concepts and Foundations of Remote Sensing」
  • American Chemical Society(ACS)inChemistry「Shining a Light on Candles」
  • Wu, R. et al.(2021)“Study on Soot Emission Characteristics of Methane/Oxygen Inverse Diffusion Flame.” ACS Omega.
  • Royal Society of Chemistry(RSC)Education「Flame colours: a demonstration」
  • National Institute of Standards and Technology(NIST)「Persistent Lines of Neutral Sodium(Na I)」
  • Duncan, M. A.(2025)“Misconceptions and Insights about Flame Tests.” Journal of Chemical Education.

この記事を書いた人

気になったテーマを中心に、公開情報や資料を読みながら記事をまとめています。背景や違いが見えにくい話題も、公式サイトや公開資料を確認しつつ、できるだけわかりやすく整理してお届けしています。

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